【前野視点】幽霊ヴェイグリア(1)

ああ、今日もやっちゃった………

知らない人の前だからってあんなにあがっちゃうなんて……はぁ、ホント私ってダメダメだなぁ。


「落ち込んでも仕方ないよ。」


ベンチに座り込んで頭を抱える私とは対照的に、真紀ちゃんはブランコを漕いで、さっきの会議のゴタゴタなんて無かったみたいにあっけからんとしてる。


「で…でも………あんなにあがっちゃうなんて………きっと変なやつだって思われちゃうよ…杉崎先輩も梔子先輩もあんなにクールだったのに………」


「べつにさ、イヤホンさんは真面目で、クチナシ先輩は興味なくてぼーとしてただけじゃない?」


「そうなのかなぁ………」


そうそう、そんな真紀ちゃんの励ましの相槌も素直に私は受け止められません。

やっぱりこんな私が真紀ちゃんとコンビなんか組むべきじゃないんじゃ……………


同じ学校ってだけで組み始めたわけだし、きっと探せばもっと真紀ちゃんにふさわしい魔法少女ひとがいる筈………あいたっ!


「鶴ちゃん、またマイナスに考えてたでしょ。駄目だよ、それ。」


「ご、ごめん……」


俯く私に真紀ちゃんのチョップが飛んできた。

ちょっと痛かったけど、それ以上に優しさを感じた。


「鶴ちゃん、もっと自分に自信持ちなよ。鶴ちゃんと私はグッドなコンビなんだから。それにさ、鶴ちゃんの……………??」


「…?真紀ちゃん、どうしたの?」


「あれ、何?」


急にポカンとしてある一点を見つめだした真紀ちゃん。

どうしたのと聞くと、すっとサラリーマンの男の人を指差した。


「えっ!?」


私もそっちを見てビックリして動けなくなってしまう。

電話をするサラリーマンの男の人のその後ろに、ハエみたいな頭の半透明の人間が浮いていた。

何をするでもなく、ふらふら男の人の周りを浮かんでいる。


「…ヴェイグリアの幽霊?」


真紀ちゃんの言葉に、私は驚いちゃっててうんともすんとも言えなかった。

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