風紀委員サマのありがたいお説教(1)
「悪いけど、ボク、時間ないよ。」
こういう時には関わらないのが一番だと思う。
疲れてるし、第一、件の犯人らしいのと関わるのなんて面倒過ぎる。
彼女の言葉につっけんどんな返事をして、そのまま家の方角へ歩いていくと、彼女は表情一つ変えず、
「そうですか。」
そう言って、ボクの後ろを着いてくる。
そのまま無視して歩いて、たまに歩調を速めたりしてみたけど、時折り視界に入るカーブミラーには、彼女が常に同じ距離を保ってボクの後ろを着いてくる姿が映った。
「キミ、こっちの方角なの?」
「帰り道なら、反対側です。お気になさらず。」
根比べに負けて話しかけると、冷たい返事。
暗に、このまま着いていきますよと言っている。
面倒くさいなぁ……ほんとっ
「はいはい、ボクの負けだよ。お時間よろしいです。」
悪態ついて振り返ると、彼女は律儀に会釈して礼を言った。
「お初にお目にかかります、
中学英語のスキットの出だしみたい。
次は今の調子でも聞いてきそうなほど、仰々しい。
「単刀直入に申し上げさせてもらいます。梔子真白さん、貴女の魔法少女としての在り方は芳しくありません。ですから、僭越ではありますが、不肖、私、立科花が講師となり、魔法少女らしさについての講義をさせていただきます。内容については、今から始めます、指導の中で順次お伝えしていきますので、しっかりとお聞きください。」
眼鏡を外しながら、そんな台詞を淡々と発して、立科さんは変身する。
淡いピンクと白を基調とした、スカートタイプの衣裳。まさしく100人に聞けば、100人が魔法少女と答える、そんな姿だ。
「その講義、ボク受けなくてもいい?単位なら足りてるから。」
「………これまでの講義の欠席者は0人です。」
そう言って指を鳴らすと、周りの看板や煉瓦が重力なんて知らないと言わんばかりに浮き上がる。
ーーー自他ともへ厳しくーーーーー能力は念動力ーーーーー
そういう能力かぁ……能力的にはボクに分は無さそう
ーーーーー現在までに、指導と称して17人の魔法少女を叩きのめしているーー
あーぁ、つくづく嫌いなタイプだなぁ、この子。
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