第10話
〜現在 アレストの部屋〜
「待ってくれ!アントワーヌサン!!!」
アレストがアントワーヌの肩を掴む。
「なんだね?まだレモーネの話しかしていないが」
「そこだ!レモーネサンの姓!エル系統、しかもオーダムだったのか!?」
「あぁ、フルネームは言っていなかったな。しかし今は違うぞ。今は彼女はボクと結婚して、レイ・ストワードになっているから……」
「あー!タイミングがそうだったな!そういえば!戴冠式……結婚前の名前なんてわかるわけが無い。当然だった!」
アレストが頭を抱える。
「……まさか、魔女ってのはシャフマから来ていたんじゃないよな?」
「レモーネはストワード人だ」
「だよな……しかし何故……シャフマのエル系統で、しかも相棒と同じ『オーダム』の姓を……?」
「ルイスと同じなのか!?」
アントワーヌも驚く。
「あんた、魔族を封印したとかなんとか言っていたよな?それが『オーダム』の家系なんじゃないのか?」
「その通りだ。史実では、1000年前に『オーダム』の名を持つ魔女が魔族を封印した、とされている。それに立ち会ったのが『ストワード』の初代国王だ」
アレストが短く息をつく。
「……『オーダム』の魔女と、『ストワード』の国王……」
(相棒の母親が俺を復活させた……。そうか……そういうことだったのか……)
彼女の体には、魔女の血が流れていた。アントワーヌの話によれば、赤い瞳は魔族の形質であり、人間になるほどに薄まったとしてもその形質が現れることはある。
(相棒の血は、シャフマ王家『レアンドロ』とストワードの魔女『オーダム』……なんてことだ、こんな偶然が……)
それを証明出来るものが、彼女の赤い瞳しかなかったというのも長い歴史の中に埋もれたことを表しているのだが。
(もう1つ気になることがある。何故、ストワードで魔族を封印したオーダムの魔女がシャフマで有力貴族の証である『エル系統』をもらっているんだ?)
(……やはり、砂時計の呪いを利用したのは……)
「オーダムの魔女の起源は分からない。だが、魔族の封印が行われた1000年前に多大な貢献をしたことは事実だ。レモーネはそこの出自だったのだ。だから、魔法を使うことを許されていた」
〜4年前 ストワード王国〜
スタンはレモーネにたくさんの魔力の話を聞こうとした。しかし、レモーネには守秘義務があった上に自分自身で使える範囲の魔法しか分からなかった。
レモーネは迷っていた。
(魔に魅せられる人は、魔に取り憑かれやすい)
つまり、利用されやすいのだ。
(人為的に歪められた魔は、人間を利用して復活し、 復讐しようとしている)
だからあの毎日ランプを見つめ、レモーネに魔法の使い方を教わっているスタンは……。
(危険な目にあってしまう。その前に、やめさせないと……)
レモーネはスタンが怖かったのだ。そして、自分の知っていることをほとんど話さなかった。
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