第6話
「封印、か。それは聞いたことがあるな」
「オレはその時代に生きていたわけじゃないから本当かは知らないが……」
「そうなの?あんた何千年も生きているわけじゃないの?」
「まだ20歳だぞ」
「俺より年下じゃないか!」
「あと300年ほどは生きられるかもしれないが、こればかりは魔力の関係だからな。わからん」
「興味をそそられるねェ……」
アレストがジュノの顔を覗き込む。体温が上がっていることに気づいてジュノが後ずさる。
「!?急に何だ!?」
「年下で俺より背が高い……細身ではないが、美しい体をしている……ふふふふ、良いじゃないか……なぁ、俺と寝てみないか?」
人のいない山道とは言え、外で誘う大胆なアレストに慌てるジュノ。
「寝ないぞ!オレは、好きな人と寝るんだ!」
「んー、練習さ。練習。……いや、真面目な話、人間と魔族で子は作れるの?」
アレストがスッと身を引く。ジュノは心臓がバクバク言っているのを抑えるのに必死だ。
「オスとメスなら作れる。……だが、なかなか難しいのも事実だ。魔力がどうとか?よく知らないが」
「あぁそう。じゃあ混血もいるわけだ」
「今はほとんどが混血だ。オレは純粋な魔族の方だが、先祖には何人か人間がいる。魔力は薄まるが、生きることに支障が出ることはない。あまりにも薄まりすぎると人間として生まれる」
そんな話をしていると、視界が開けた。山道を抜けたのだ。
「おっ。やっと下山できたぜ」
「アレスト!」
リーシーが走ってアレストに抱きつく。
「無事で良かったです!途中ではぐれてから、心配したんですよ」
「くくく、この通り無事さ。心配ありがとう」
「あなたが送ってくれたんですか?……あっ!!!」
「オマエ!!!」
リーシーとジュノが驚いた顔をする。
「え?何?知り合い?」
アレストがきょとんとしていると、今度はミカエラが走ってきた。
「お!見つかったのか!良かったぜ!!っておい!やっぱジュノかよ!」
「おやおや、ジュノ。どうしてここにいるんですかい?」
……どうやらみんな知り合いだったようだ。
「ええと……」
「俺が話そうか?ふふふ」
「……なんてことがあったんだよな。ジュノクンとミカエラサンがきょうだいだとはねェ……。たしかに髪と肌の色が同じだったが」
その後すぐに里の病院で眠っていたルイスと合流し、2日で具合が良くなった彼女とフートテチを後にしたのだった。
「魔族ってのは、意外と身近な存在だったな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます