第2話、両親のスキルって...。
「おい...。今何て言った....?
...もう一回言ってみろ。」
「おっ?なんだ?
糞ザックのクセに怒ってるのか?
そんなに聞きたいなら言ってやるよぉぉ!!
お前の両親はゴミ....ぶぇぁ!?」
言い終わる前に俺はキンダルを殴っていた。
そして倒れたキンダルの顔を俺は何度も足で踏んだ。
「おい...。キンダル...。もう一回言ってみろよ...。」
何度も何度も執拗にキンダルの顔を踏んでる俺。
その以上な光景に周囲の人達は恐怖で動けないで居た。
キンダルの金魚の糞達もだ。
「おい...。キンダル...。俺の両親が何だって...?」
「しゅ、しゅみましぇんでひた...。」
「あ?聞こえないぞ!キンダル...。」
「しゅみましぇんでひた...。ゆるひてくだしゃい...。」
顔を踏まれてるキンダルはまともに喋れない中必死に俺に謝ってくる。
「俺の事はいい...。次に両親の事をそんな風に言ってみろ。お前を踏み殺すぞ...。」
「はひ...。もういいましぇん...。」
泣きながら謝るキンダルに俺は足を退けて、
「もう行け。」
そう言うと逃げるように俺の目の前から消えていった。
「キ、キンダルさん!!待ってください!!」
金魚の糞達もキンダルの後を追って行った。
俺は一体何を...。
まるで自分じゃない感覚に陥った。
そんな俺の元に神父さんが近づいてくる。
「ザック君。君のスキルが発動したんだよ。」
「スキルが?何で?」
「君のスキルは[糞を踏む者]だろ?
さっきの子...えっとキンダルだったかな。
彼が胸糞悪いことを君に言ってたよね?」
「は、はい...。」
「それにスキルが反応したんじゃないかな?」
「そんな事で反応するんですかね...?」
「それは神のみぞ知るかな...。
スキルは神の力の一部だから私には何も言えないんだよ。
一般スキルなら解析が出てるんだけどね...」
「そうなんですね...。分かりました。」
「そんな気落ちしないで!君のスキルは君にあったスキルのはずなんだから。」
「はい...。色々ありがとうございました。」
俺は教会を出てトボトボと歩き出した。
まさか、こんな変なスキルもらうなんて...。
一体俺が何をしたって言うんだ...。
神様のバカヤロー...。
家に近づく度にザックの気持ちはどんどん下がっていった。
そして、家の前に着くと怒鳴っている声が聞こえる。
「お宅の息子にヤられたんでございますわよ!!
私の可愛いキンダルちゃんの顔をこんなに腫らすなんてどういう教育しているんざますの!?」
「奥さん。落ち着いてください...。
うちの息子には重々言っておきますから...。」
キンダル親子がうちに怒鳴り込んできたのだ。
成人してて親同伴で文句言いに来るってどんだけ甘やかされているんだよ...。
子が子なら親は親だな...。
しかも、キンダルは大袈裟に松葉杖ついて包帯をグルグル巻きにしてきた。
腕とか足に何もしてないし、完全に金を揺すってくるんだろうな...。はぁ~...。
俺は深くため息をつく。
それにしてもキンダルの奴まだ懲りてないみたいだな...。
俺はわざとらしく親子の前を通る。
「ただいま。どうしたの...?何かあった?」
俺がそう言うとキンダルが怯えてキンダル母の後ろに隠れた。
怖いなら来なきゃ良いのに...。
「アンタねぇ!?うちのキンダルちゃんをこんな顔にしたのはぁぁ!!」
「...そうだと言ったら?」
「謝罪しなさい!!そして慰謝料よ!!
ここまで怪我させたんだから当然よね!!」
ほら来た...。
親も糞野郎だな...。
俺はキンダル親子を睨む。
「な、何よ...。やるっていうの...」
俺が足を一歩近づこうとすると、
「コラァァ!!ザック!ダメでしょ!!
弱い者いじめなんかしちゃ~!」
「母さん。弱い者イジメなんかしてないよ...。
ちょっと嫌な事を言われてさ。
だよね...。キンダル?」
怯えたキンダルは高速で頷いていた。
「...それに何だい?その手と足は...?
君は教会から走って帰ったじゃないか?」
俺がそう言うと怖くなったのか一目散に走って逃げ出していった。
「あっ!?ちょっとキンダルちゃんどこ行くのぉ!?アンタ達覚えてなさいね!!」
そう言うとキンダルの母も足早に去っていった。
何だったんだ一体...
はぁ~。俺は呆れたように溜め息を付いた。
「ザック。話があります。家の中に入りなさい。」
説教か...めんどくさいな...。
俺は母アメリアの後ろをついてリビングの椅子に座った。
「ザック。何があったか包み隠さず言いなさい。私には嘘は通じないからね。」
いつも以上に真剣な眼差しで見てくる母に嘘は言わないで真実を話した。
「......って事だったんだよ...。殴った事は事実なんだ...。」
「成る程...。少しそこに座って待ってなさい。」
母さんは席を立つと外に出た。
そして、数分後に親父と一緒に帰ってきた。
「ザックゥゥ!!」
父タイアードは大きな声を上げ家に入ってきた!!
ドガッ!!
勢い良く扉が開く。
終わった...これは完全説教だな。
「ザックゥ!!良くやったぁぁ!!
さすがは自慢の息子だ!」
「エッ!?」
俺は怒られると思ってたから親父の発言にビックリした。
「いきなりそんなことするんだから良いスキル貰ったんだろ?」
親父は笑顔で言ってくる。
俺は恥ずかしくて言いたくはないし、そんな良いスキルだと思っていない...。
俺が
黙っていると母アメリアが、
「この子のスキルは[糞を踏む者]。
私たちと一緒でユニークスキルを貰ったの!!さすが自慢の息子ね!」
えっ....。
アメリアの反応も思ったのと違うし、なんでスキルの事を知っているんだろう...。
まだ言ってないのに...。
「フフン。なんで知っているの?って顔をしているわね。
私のスキルは[看破する者]って言うユニークスキルなの。
お母さんには何でもお見通しなのよ!」
マジか...。
じゃぁ今までいい子の仮面を被ってきたのもバレバレだったって事?
だるぅ~...。
なんか急にバカらしくなってきた..。
「それじゃ父さんのスキルは?」
「ん!?俺か?俺のスキルは....」
やけに貯めてくるな。
ま、まさか[勇者]とか、ものスゴい スキルなんじゃ...。
「[どこまでも早く走る者]だ!!」
「は!?」
俺は驚きのあまり顎が外れそうな位に口が開いた。
なんだよそのしょうもないスキルは...。
貯めてまで言うスキルじゃないだろう...。
「ほらほらアナタ!ちゃんと説明しないとザックがあんぐりしているわよ。」
「あぁ...。すまんすまん。
このスキルはいいぞ!なんたってどこまでも早く走れるからな!」
「アナタ!バカなの?もういい。
私が説明するわ。父さんのスキルの良い所は、一緒に居る人のステータスまで影響するの。だからザックのステータスもかなり高くなってるわよ。スピードとスタミナが特に。」
あぁ...。
あの地獄のマラソンのせい?おかげ?か...。
だからキンダルを殴ったときに、
ものスゴいスピードで距離を詰められたのか。
タイアード...。親父ながらおそろべし。
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