ストラグルガールズ

第6話 騒がしさを止めた声

「テスト免除になったし、今日これからどうする？二人とも、どこか行きたいところない？」

　教室から移動をして、学園内にある食堂に来たノエル達。テーブルに置いた、たくさん盛られたご飯を前にノエルにニコニコと笑顔で問いかけるミコト。その質問にノエルが顔を伏せて答えずにいると、テストを終えた生徒達が次々に食堂に集まり、三人に気づいた人達が横目で見ながら通り過ぎていく

「行きたいところって、一度家に帰りたいんだけど……」

「家？どっちの方？」

　ポツリと呟いたノエルの言葉に、ミコトがご飯を頬張りながら聞き返すと、ノエルがバンッとテーブルを叩き、勢いよく立ち上がった

「さっきまでいた私の家よ！帰る！」

　突然響いた叫び声に、食堂内にいた生徒達がノエル達を見て静まり返る

「えー……。めんどくさい」

　と、ミコトがノエルを見ながらそう言うと、ノエルがミコトを睨みつけ、モカが慌ててミコトの方に振り向き声をかけた

「ちょっと、ミコト……」

「それに、あんな簡単な魔法すら使えない世界に行ったって何が良いの？」

　モカの話を遮るように、少し言葉強めにミコトが言うと、何も言い返せず少しうつ向いたノエルを、ミコトが一瞬チラッと見てご飯をまた頬張った

「魔法使うのは絶対禁止って言われてるしさ。あっ、でも美味しいご飯はたくさんあるんだよね。授業で習ったよ」

　そう言うとミコトの言葉に、ノエルがまた何も言い返せずにいると、コツコツと足音を立てながら誰かが三人に近づいて声をかけた

「ノエルさん」

「……はい」

　名前を呼ばれ振り向くと、ノエルにニコッと微笑むヒカリがいた

「お帰りなさい。と言いたいけれど、今はそれどころじゃないみたいね」

　ノエルに話しかけながらミコトの方を見たヒカリ。視線に気づいたミコトが、見て見ぬふりをしながらご飯を頬張った

「後で少しお話ししましょうか。ミコトさんも一緒に来てくださいね」

「えー。私もなの？」

「ミコト……」

　めんどくさそうに呟いたミコトに、慌ててモカが注意をする

「じゃあ、皆さん。また後でね」

　またニコッと微笑みノエルに手を振りながら離れていくヒカリ。その後ろ姿をモカがホッと胸を撫で下ろしながら見ていると、食堂の前の廊下が少しざわめきはじめた

「いた！ノエルさん！」

　ヒカリが食堂から出てすぐ、叫び声と共にズカズカと無理やり生徒達の肩を掻き分けながら、誰かが近づいてくた

「あれ、サクナ委員長。どうしたんですか？」

　ニコッと微笑みながら、サクナに声をかけるミコト。その呑気なその声に、一瞬苛ついた顔でミコトを見てすぐ、ノエルに振り向いてグイッと顔を近づけた

「私はあなたと対戦しないといけないの。今すぐ校庭に来なさい」

　突然サクナに言葉強めに言われて顔を引きつかせ戸惑うノエルに、ミコトが呆れながらノエルの変わりに話しかけた

「いや、委員長。ノエルは魔法どころか何にも覚えてないのに、今すぐ対戦するのはダメですよ」

「そうですよ、サクナさん。さっきの対戦での魔力も回復してませんから、後日に……」

　そうサクナと一緒に来ていた生徒にも言われて、少し苛立った様子で、更にノエルに顔を近づけたサクナ

「……なら仕方ないわね」

　と、ポツリと呟くと顔をノエルから離れるとクスッと微笑みながら食堂の入り口の方へと歩きはじめた

「またね、ノエルさん」

　そう言い残して食堂から出ていったサクナ。まだ少し戸惑っているノエルは、ボーッとその様子を見ている

「あーあ、面倒なことになりそう……」

　モカがため息まじりにそう言うとミコトがガタッと音を出しながら椅子から立ち上がると、まだボーッと入り口の方を見ているノエルに近づき、手をぎゅっと掴み引っ張り、エヘヘと笑いながらノエルに声をかけた

「大丈夫だよ。それよりさっさと先生のところ行って、みんなでデザート食べに行こう」