爽やかな朝の出来事

「アババ、アババジンアババ」


良く晴れた日曜日の路上で、全裸の中年男性が、ステンレス製のお盆で股間を隠して立っていた。


私はコンビニにコッペパンを買いに行くところだった。


全裸の中年男性は黒髪短髪、彫りの深い端正な顔立ち、筋肉もかなりついていて、毛深くもなく、かなりハンサムレベルが高いと思われた。


「アババ、アババジンアババ」


その中年男性は、ただ、そのように発言した。冷静な口調だった。


私は何を言うことなく、彼の横を通り過ぎようとした。コンビニでコッペパンを買わねばならない。


すると、耳打ちするような口調で、彼は、


「私は太った50歳以上の男性が好きですが、1分あればスマホに夢中になっているそんな可愛いおっさんのズボンを脱がして雄の匂い染み付いたパンツを盗むことが可能です。」


と言った。


「え?」


私が立ち止まり彼の顔を見る。


彼は真顔だ。


「アババ、アババジンアババ」


また、言い始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る