駅前ムーブメント

雨が降っているし寒い。


震えながら駅に向かう。常に死にたいという思いや、この世に楽しいこととかありえないという思いが、溢れている。


私と同じように、暗い顔をして、死にたい気持ちを必死に抑えて駅に向かう人々が、歩いている。


駅の前に、タスキを掛けた数人の男たち。何やらチラシのようなものを渡している。


爽やかな笑顔で、よろしくお願いします!を連呼。


「雨の中ご苦労様です!」


そんな侮辱の言葉をも、発していた。


雨だし、みんな寒いし、苦しい、死にたい気持ちなんだ、それを、なんだこいつらは、爽やかな笑顔で、何をよろしくするのか、旗も立ててあり、笑顔溢れる社会、希望とか、書いてある。


「ふざけんな!」


一人の、ボサボサ頭、黒い汚いダウンジャケットを着用した男が、サバイバルナイフを取り出し、「本人」というタスキを掛けた若いスマートな男に突っ込んでいく。


「アギャ!」


軽動脈を切断された若いスマートな男から血飛沫。


「みんな!やれえ!」


誰の掛け声だろうか。


わからないが、私たちは濡れるのも構わず、みんなで若いスマートな男に群がり、衣服を剥ぎ取り殴る蹴るの暴行を加えた。


「アギャ!」


疲れ果て痩せた汚いスーツを着た中年男性がカバンからサバイバルナイフを出して、全裸にされた若いスマートな男のチンポコを切断した。


「上級国民のチンポコだ!うわあああ!」


萎びた黒っぽいナマコのようなチンポコを掲げて、汚いスーツを着た中年男性が絶叫した。


すでに、「本人」のタスキを掛けた若いスマートな男は血を出し過ぎたためか、白目を剥き、口をあんぐりと開けて死んでいた。


しばらくの間、雨のなかで、傘も差さないで、私たち民衆、市民は、若いスマートな男の死体を、それぞれの持つサバイバルナイフで切り裂き続けた。


数人いた他の男性たちは、いつの間にかいなくなっていた。


「上級国民のチンポコだぞ!うわあああ!」



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