第8話反目の自殺
恐怖の市営団地へと足を踏み入れる私、今日は七階の「709号」と書かれた部屋へと入っていった。
「ちょっと、早く掃除機かけ終えなさいよ!私がゴロゴロ出来ないじゃないの!!」
年老いた女性が、掃除機をかけている女性に文句を言っていた。
「ははあ、これは嫁姑問題ってやつか?」
姑は嫁が掃除機をかけ終えると、テレビをつけてごろ寝をしながら見た。
嫁の方はというと、今度は洗濯物にとりかかっている。
「洗濯が終わったら、今度は息子の部屋の片づけをしなさい。いいわね!?」
姑はごろ寝のまま、横柄な態度で嫁に命令した。
「これは大変だなあ・・・。」
私の嫁は運良く私の母親と上手くやっているが、この嫁は運悪く嫌な姑と当たってしまったようだった。
嫁は姑の言うことに頷いて、家事に勤しんでいた。
場面は変わって夕食の時間。
「おい、今日の煮物味が薄いぞ。」
「あら、本当だわ。真澄さん、醤油が足りてないんじゃないの?」
「え?私はいつも通りに作りましたけど?」
「いいや、絶対にミスがあったはずだ!!この煮物は食べられんな。」
「そうね、食べられないわね。」
「二人とも、真澄さんに失礼だぞ!!謝りなさい!」
年老いた男が夫と姑を叱った、この男は舅だろう。
しかし夫と姑は、無視して夕食を食べ進めた。
この家にも真澄さんの味方がいることだけでも、幸いだ。
そして場面は変わった、真澄さんはテーブルの上で何かを書いている。
そしてその近くの天井には、あからさまにロープの輪がつけられていた。
「真澄さん、これから死ぬんだ・・・。」
悟った私はやりきれない気分になった。
そして真澄さんは椅子に登って、ロープの輪に顔を通した。そしてロープは首に食い込み真澄さんの命が絶たれた。
後の調査で、一連の出来事が載っている新聞記事を発見した。
それによると真澄さんの夫と姑のイビりの証拠が記されたノートが、義父の手によって警察に提出されていたことがわかり、夫と姑は警察に捕まり書類送検された。
「首をつった真澄さんを見て、朝置いてあった封筒の中身がわかった私はすぐに警察へ行きました。」
義父は記者にそう言ったそうだ・・・。
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