港町ポルトで香薬屋を営む天涯孤独の女性アマリア。
貧しい人からは治療費を受け取らず、自分は貧乏暮らしをしてしまうような人です。
ある日、香薬師協会の会長から「私は君の父親だ」と告白されたことから、運命が動き始めます。
魅力的な点は語りきれませんが、特に、真面目なストーリー構成にもかかわらず、随所でくすっと笑わせてくれるユーモアセンスが秀逸です。
アマリアが恋するのは「三短(短期出世、短気、短足)」の後見人ルイシュですし、彼の友人コンスタンサは薄毛治療(‼︎)の香薬開発で財を成しました。
アマリアはルイシュのことが好きすぎて、時々変な子になりますが、そんなところも可愛らしいのです。
とはいえコメディメインということでもなく、物語は綿密に練られていて、点のように散りばめられた伏線がやがて線となり、真実が一つ一つ明らかになる過程が巧みで素晴らしいです。時には、胸が苦しくなるような切ないシーンも用意されています。
ときめきと笑いと切なさと……とにかく魅力が溢れるこちらの作品を、ぜひ多くの方々にお読みいただきたいです!