人物紹介(挿絵)

 亀が愛した水底の宝石 -Precious sapphire on the seabed-


 ■メインキャラクター


 挿絵:https://kakuyomu.jp/users/nekomiti/news/16816700429054807486


 ・ブランカ・ロセッティ - Blanca Rossetti

『亀が愛した海の宝石』〈ザフィーロ〉の観光用ゴンドラの船頭ゴンドリエーレ

 恵まれた容姿と卓越した操船技術、そして天使のようなカンツォーネで『水の精霊オンディーナ』と称されて大層な人気だったが、〈ザフィーロ〉を襲った災厄で全てを失った。


 ザフィーロの加護を得てからは現実逃避のように街の住人たちと代わり映えのしない日々を繰り返していたが、ふと霧の壁の向こうにゴンドラを進めて見たところ、小さな川でトマソンをいた。


 精霊の加護により”魔法”に近い特殊な能力を得た『愛し子ブレスド』と呼ばれる人間。

 不老不死に加えて”流れ”がある限り、どこへでも好きに移動する事ができるという、この広い世界においては理不尽かつ異常極まりない強力な能力を持っている。



 ・ザフィーロ

 世界を旅した巨大な島亀が死後に神格を得て昇華した精霊。

『流れ』の概念を司っており、水の流れる世界中のありとあらゆる場所へ自在に移動する事ができ、時の流れもまたその加護の掌中にある。


 災厄ののちに目覚め、失意のうちに持てる加護の全てをブランカに与えたが、それでは何の救いにもならなかった。

 街の住人たちが不死者アンデッドとして彼の世話を焼いてくれた事には感謝しており、街の住人たちは無自覚だが、彼らにも僅かにザフィーロの加護がある。

 時間の止まった世界にあって、彼らにとって都合が悪い時間停止現象が起きないのはザフィーロの補助によるものだ。



 ・トマソン・クック - Thomasson Cooke

〈アインガルド帝国〉に本店を置くクック商会の商会長。

 本店は貴族から降嫁した妻に任せ、彼自身は各地を巡り商材を見つけ、支店に取り次いでは商談自体はそちらに任せるというスタイルで販路と商材を広げるコネ作りの旅をしている。


 善良で素朴な絵に描いたような善人で、彼自身は無自覚だが、その善性は旅の中で出会う人々の氷のような心を溶かし、それがまた自身の助けともなっている。

 世間一般で言うところの商才には欠けているが、優秀な人間の助けを得るのが無自覚に上手く、それでもって彼の商会は大きく勢力を伸ばしている。

 本店で辣腕らつわんを振るう彼の妻も、そのほだされた優秀な人間のうちの一人だ。


〈リェルヴァーデ〉が〈アインガルド帝国〉領となってしばらくが経ち、そろそろ〈シェンゲン地方〉も落ち着いた頃かと商材探しの旅に出たところ、森で魔獣に襲われてしまった。



 ■サブキャラクター


 ・アガタ - Agata

 港近くの旅人向けの宿屋の女将おかみ

 元気で人当たりが良くふくよかな、典型的な”エートス風”の『肝っ玉母さん』と言った風体の女性で、誰もが心を開く街の皆の相談役。


 息子は既に独り立ちして街の外で暮らしており、主人は他界。

 災厄当時から息子の安否は知れないが、きっと無事だったのだろうと信じている。


 百年が経った今ではどちらにしろ死んでしまっているはずなので、息子については考えるのをやめ、一人生き残ったブランカの母親代わりになろうと世話を焼いている。



 ・ルイージ - Luigi

 偏屈な船大工の老人。

 街の崩壊後は時間が止まった事により船が損耗しなくなり、修理の仕事が不要になった。

 不死者化しなかった住人たちの分の業務が滞り、ブランカを誤魔化せるだけの街の機能を維持できなくなったこともあり、船大工兼運び屋として商店を維持する住人の手伝いをしている。


 その船大工としての腕は特級ながら、偏屈ゆえ船の操船技術が一定の水準を満たさない船頭ゴンドリエーレの船は絶対に修理しないと言うこだわりを持つ、地域住民から愛される頑固じじい

 この地区では、彼に船の修理を頼んで怒鳴り追い出されずに済んだら一人前という謎の通過儀礼イニシエーションがある。

 ブランカの年齢でルイージに認められるのは異例中の異例で、彼の才能の程が窺える。


 崩壊後は彼を孫のように気にかけて、摩耗しないはずの船の修理をずっと続けていた。

 修理が不要という事実が、彼に街の現状を類推する手がかりになってしまうからだ。



 ・エレナ - Elena

 ・ロドリゴ - Rodrigo

 街の中心街に店を構える野菜屋と魚屋の店員。

 二人はいつも元気いっぱいで、街の在りし日からずっと『商人通りカッレ・メルカンテ』で客を取り合っては揉める光景が日常茶飯事だった。


 街の崩壊後、外からの客が訪れなくなったこの〈ザフィーロ〉で、今となってはもうブランカの食事にしか使い道のない食料をずっと並べ続けていた。

 ブランカの夕食が魚料理になるか肉料理になるかはいつもこの二人の”決闘”で決められている。

 なぜエレナが肉料理を推すのかと言えば、魚料理の王道であるアクアパッツアには、トマトや香草ハーブなど少しの野菜しか入らないから、らしい。


 二人が”仕入れる”食材は、街の崩壊当日の朝に街にあった積荷から拝借している。

 時が止まっているため、次の日になると全ての資材が元通りになっているらしい。



 ・ジャンパオロ - Giampaolo

 総督府付属のザフィーロ資料館の管理人。

 若い頃は総督府で働いていた役人だったが、年を経て激務に耐えられなくなった彼に元首ドージェから贈られた資料館の管理人という仕事に誇りを持っている。


 だが、街が崩壊してからは時間が止まり、ありとあらゆるものが管理が不要になってしまったので、この街では一番の暇人となってしまった。

 永らく出番がなかったために、トマソンをもてなす事自体は彼にとって望外の喜びだったようだ。



 星屑の書斎 -Stardust study-


 ■メインキャラクター


 挿絵:https://kakuyomu.jp/users/nekomiti/news/16816700429054835411


 ・『白紙の語部』クリア・ウェンデル - Clear Wendell

 生まれつき身体が弱く、長くは生きられない運命にあった少年。

 家や病室から出られないため、本と時折遊びに来てくれる目の下に傷のある少年だけが彼の友達だった。


 神や精霊にとっては『死の荒野』と言っても過言ではない、”魔”に纏わる全ての概念が死滅した危険な惑星────『神無き世界』地球にやってきた『希望のやじり』オルバースによってその魂を掬われて、『可能性の赤子』メシエの守る世界の精霊の一柱となった。


『希望のやじり』と『流転の水車』の権能を併せ持ち、『星屑の書庫』アーカーシャの別館として、生きとし生ける者全てと、そして去りし死せる者全ての旅路────物語を語り、記し、蔵書する役目を託された。



 ・『希望のやじり』オルバース - Olbers

 世界が前に進む概念、希望を司る大精霊。

 その性質は前向きで優しく世話焼きで、希望の名に恥じない性格をしている。

 ただし思慮深さは一歩及ばないため、思いついたら実行してしまう無計画さも相まって時々とんでもない事態を招く。

 遥か昔にそれで取り返しのつかない失敗をしてしまった事があり、それ以来、若干思慮深くなった。


 クリアの名付けを受けて”名”を手に入れたためか、その姿はクリアに瓜二つに作られている。


 ・『流転の水車』ダーレスト - D'Arrest

 世界を巡る生命の大河の流れを管理する水車を司る大精霊。

 老獪ろうかいで落ち着いた思慮深い性格────と見せかけて他人に対する気遣いというものが欠けており、比較的自分勝手な性格。

 ただし気に入ったもの、もしくは面白いものには甘いので、彼が親切に見えるか不親切に見えるかは、人によってその意見が真っ二つに分かれることだろう。



 ■サブキャラクター


 ・『星屑の書庫』アーカーシャ

 メシエの記憶を管理する星海の書庫を司る大精霊。

 明確な意思を持たず、そのあり方は”地形”や”土地”に近い。

 ただそこに在り、メシエの記憶を蓄え続ける神羅万象の記録を保管する書庫として存在している。



 ・『可能性の赤子』メシエ - Messier

 神羅万象に自らの持った可能性を分け与え、全ての可能性を失い赤子のままで眠り続けるこの世界の主。

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