春のお兄ちゃん離れと恋模様 5

 ………ぴんぽーん

 

 

 

 

 

 なっちゃんが 楽んちのピンポンを おした。

 

 

 おれは なんかどきどきしてきて なっちゃんのうしろにかくれた。

 

 

 

 

 

『はい』

「ほったです」

『あ、春くんのおにいちゃん‼︎ちょっとまっててね』

「はい」

 

 

 

 

 

 来ちゃった。楽んち。

 

 

 だって せっかくなら たんじょう日なら、今日わたしたいって おもったから。

 

 

 

 

 

 なっちゃんが 母ちゃんに 楽の母ちゃんに 行ってもいいかをきいて れんらくしてくれて来た楽んち。

 

 

 楽とはほいくえんからずっといっしょだけど 1かいしか来たことがない 楽んち。

 

 

 

 

 

 どきどきしすぎて なっちゃんのうしろから 出られない。

 

 

 

 

 

 おれ なんでこんなに どきどきしてるんだろ。

 

 

 楽なのに。

 

 

 ただ まつぼっくりを わたすだけなのに。

 

 

 

 

 

 ガチャって げんかんがあいて、楽の母ちゃんが こんばんはって。

 

 

 

 

 

「こんばんは。すみません、きゅうに」

「いいえー、ありがとう。春くん、おみまいにきてくれたの?」

「おい、春」

 

 

 

 

 

 あいさつぐらいしろよって なっちゃんに言われて おれはなっちゃんのうしろから こんばんはって いった。

 

 

 楽の母ちゃんが、ちょっとまってねって、楽ーって。

 

 

 

 

 

「楽ー?春くん来てくれたよー」

『春⁉︎』

 

 

 

 

 

 うちのなかから 楽のこえが きこえて。

 

 

 どたどたどたって すごいおとが きこえて。

 

 

 

 

 

「春っ」

 

 

 

 

 

 でてきた楽に。

 

 

 

 

 

「ん」

「ん?」

「やるっ」

「おれに?」

「それやるからっ、つくれよ、ことしも」

「え、なにを?」

「じゃあなっ」

「あ、おい、春」

 

 

 

 

 

 なっちゃんのうしろから かみぶくろをわたして。

 

 

 おれは 行こって なっちゃんをひっぱった。

 

 

 

 

 

 まじかって わらうなっちゃんに なんだよっておもった。

 

 

 いいのか?ってきくなっちゃんに いいんだよって こたえた。

 

 

 

 

 

 だって 楽だし。楽だし。楽だし。

 

 

 

 

 

 あ。そうだ。

 

 

 

 

 

「たんじょう日に ねつなんて だっせぇぞ‼︎楽‼︎」

 

 

 

 

 

 なっちゃんの むこうにみえた 楽が。

 

 

 

 

 

 わらってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つぎの日のかえり。

 

 

 おれは 楽から おっきいおっきいまつぼっくりの クリスマスツリーを もらった。

 

 

 これで4つめ。

 

 

 

 

 

 3つはもう きのうならべたから、今日かえったら これをならべようって おもった。

 

 

 

 

 

「春。これも やる。おれのいちばんの たからものだ」

 

 

 

 

 

 そういって 楽がくれたのは。

 

 

 

 

 

 あおくて おっきい。

 

 

 おっきい、きれいな ビーだまだった。

 

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