春のお兄ちゃん離れと恋模様 4

 今日はずっと 楽のことばっかり かんがえてた。

 

 

 学校にいるときも 学どうに来てからも ずっと。

 

 

 いつも楽しみなおやつも あそびも 今日はぜんぜん楽しくなくて はるくんどうしたの?ってなんかいもきかれて おねつ?ってねつまではかられた。

 

 

 

 

 

 ちがう。

 

 

 

 

 

 ちがうよ。

 

 

 

 

 

 楽がいない。せっかくまつぼっくりをわたそうっておもってたのに いつもぜったいいるはずの楽がいないんだ。

 

 

 しかも。

 

 

 

 

 

 きゅうしょくのとき きいた。

 

 

 今日がおたんじょう日の人って まい日のほうそう。

 

 

 

 

 

 今日、楽の名まえがよばれてた。

 

 

 

 

 

 クラスのだれかの名まえがよばれると みんなでおめでとうって言うんだよ。

 

 

 なのに今日、楽はいなくて。

 

 

 

 

 

「春、楽は?」

 

 

 

 

 

 おむかえに来てくれたなっちゃんがもってるふくろは おっきいおっきいまつぼっくりがはいってるふくろ。

 

 

 

 

 

 なっちゃんが わすれずもって来てくれたのに。

 

 

 

 

 

 なんだよ。楽のばか。

 

 

 たんじょう日にねつとか ばかだ。

 

 

 せっかく、わたそうとおもったのに。

 

 

 たんじょう日なら、ついでにおめでとうって言ってやっても よかったのに。

 

 

 

 

 

「今日、やすみだった」

「やすみ?めずらしいな」

「ねつだって」

「ねつかあ。まあ さいきんちょっとさむいしな。春もきをつけねぇとな」

 

 

 

 

 

 あしたわたそうって。

 

 

 なっちゃんが おっきい手で おれのあたまをなでる。

 

 

 

 

 

「なっちゃん」

「ん?」

「………楽んち、行く」

「へ?」

「楽んち行って これ わたしたい」

「………春」

 

 

 

 

 

 だって。

 

 

 だって。

 

 

 

 

 

 今日も おれのあたまの中の楽は とがった口のままだから。

 

 

 それが おれは いやなんだ。

 

 

 

 

 

「ちょっと まってろ」

 

 

 

 

 

 なっちゃんがわらって ポケットからスマホをだして どこかにでんわをかけた。

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