春のお兄ちゃん離れと恋模様 3

 楽が いない。

 

 

 楽が 来ない。

 

 

 

 

 きのうの朝、春おきろ‼︎ってなっちゃんにおこされて まだねむいようって ふとんにもぐってた。

 

 

 そしたら、まつぼっくりあったぞって。

 

 

 

 

 

「えっ⁉︎」

 

 

 

 

 

 びっくりして目がさめて、ぱちって目をあけたら、なっちゃんがもってた。

 

 

 おっきいおっきいまつぼっくり。

 

 

 しかもふたつも。

 

 

 

 

 

「なっちゃん‼︎」

「おととい7時に行ってなくて、きのう6時半にいってなくて、じゃあ5時ならどうだって行ったら、あったぞ」

「5時⁉︎なっちゃんそんなにはやくおきたの⁉︎」

「おう。ちなみにいまは まだ5時半だ」

 

 

 

 

 

 日よう日なのに おこしてごめん。でも 春にはやく見せたくてって。

 

 

 おれは なっちゃんに なっちゃんだいすき‼︎ってとびついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして 今日。月よう日の 朝。

 

 

 

 

 

 いつも おれより はやくしゅうだんとうこうの しゅうごうばしょに来てる楽が いなかった。

 

 

 いなくて、来なくて どうしたんだろうねって 言ってたら、楽の母ちゃんが れんらくノートをもって来た。

 

 

 

 

 

「めずらしく楽、ねつがあるから 今日はおやすみするね」

「え」

 

 

 

 

 

 今日、なっちゃんに学どうのおむかえのときにもって来てねって おねがいしてあるのに。

 

 

 見つけたから なっちゃんが見つけて来てくれたから だからことしも作ってよって。

 

 

 おれ 楽のクリスマスツリー、すきだからって。

 

 

 

 

 

 なのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほったはるくん」

「………はい」

 

 

 

 

 

 朝の会。

 

 

 いつもなら はいって大きい声でちゃんとへんじをするけど。

 

 

 今日は きこえないよってせんせいに言われるぐらい、小さいこえしか、でなかった。

 

 

 

 

 なんだよ。なんで やすんでるんだよ。

 

 

 

 

 

 今日、あげようとおもったのに。

 

 

 おっきいおっきいまつぼっくり。

 

 

 ふたつとも 楽に。

 

 

 

 

 

 ひとつはクリスマスツリーにして またおれに。

 

 

 もうひとつは、楽にって。

 

 

 

 

 

 なんだよ。

 

 

 楽の ばか。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る