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「ついた」

 

 

 

 

 

 赤くついたアトに俺はすっごい満足で、それを指でなぞった。

 

 

 

 

 

 印。証。

 

 

 アンタのココロは俺のもの。俺を好きでいて、俺に好きって言って。俺もいる。アンタを好きでいる。アンタに好きって言う。

 

 

 

 

 

「………見せて?見たい」

「ん?ここ」

 

 

 

 

 

 仰向けで俺の頭を抱えるみたいにしてた柚紀が、腕を解いた。

 

 

 だから。ここって、今俺がつけたばかりの赤いあとを、指差して、見える?って。

 

 

 

 

 

「………ついてる」

「ついてるな」

 

 

 

 

 

 頭を上げてそれを見て、柚紀の指もなぞった。それを。

 

 

 

 

 

 何を思ってるのか。

 

 

 何かを思ってるだろうその顔が。笑みを浮かべる顔が………キレイって、思った。

 

 

 

 

 

「………っ」

 

 

 

 

 

 思った、から。

 

 

 

 

 

 身体へのキスの再開。そして。………そして。

 

 

 

 

 

 好きな人に好きって言われながら、思われながら抱かれるって、それはどんな気持ちなんだろうって言ってる柚紀には、好きって言いながら、思いながらやりたいって思って、とにかく何もかもを、初めてなりに丁寧にやった………つもり。

 

 

 上半身も下半身も、俺が柚紀にされてたより時間をかけた。キスもいっぱいした。

 

 

 さすがに、触る以上のことは、その先のことは聞かないと分かんなくて、教えてって聞いた。

 

 

 そしたらちょっと待ってねって、柚紀がベッドの下から「なっちゃんとやるために買ったんだよ」って、ごそごそと何やら取り出した。

 

 

 

 

 

「残ってたやつじゃないよ。新しく買ったやつだよ」

 

 

 

 

 

 ほらって、小さい段ボール箱をぱかっとして見せられた、未開封のそれ、は。

 

 

 俺にとっては初めましての、アイテム、だった。

 

 

 それ、いつ買ったの?って思わず聞いたけど、柚紀はへへって照れ笑いで誤魔化した。

 

 

 

 

 

 それを渡されて、やり方聞いて、え、大丈夫なの?っておそるおそる指でして。指でしてから。

 

 

 

 

 

 ………柚紀に、入った。

 

 

 

 

 

 入ってすぐは、動けなかった。

 

 

 うわ。と、ああ。で。

 

 

 

 

 

 後ろからの方がやりやすいよって柚紀は言ったけど、俺は断固拒否った。

 

 

 やりにくかろうが何だろうが、絶対普通にやるって言って。

 

 

 

 

 

 だって。

 

 

 

 

 

 だって、好きって言われながらだろ?好きって思われながらだろ?

 

 

 後ろからだってそりゃできるけど、違う。何かそれは違う。絶対。

 

 

 身体を繋げることだけが大事なんじゃない。それが目的なんじゃない。

 

 

 柚紀が求めてるのだって、身体だけじゃないだろ?

 

 

 

 

 

 だから、ちょっと時間かかって、もたもたして、初めて感丸出しでカッコ悪かったけど。

 

 

 正面同士で。俺が上。柚紀が下。入れて、入って、まず、とにかく抱き締めた。

 

 

 ぎゅうって、ぎゅうううううって。抱き締めた。

 

 

 

 

 

「………柚紀」

「………ん」

 

 

 

 

 

 好きだよ。柚紀が好きだ。すっげぇ好き。好きだから。な?

 

 

 

 

 

 入れて、抱き締めて、キスして、ぎこちなくだけど動いて、しぬほど好きって言って。

 

 

 

 

 

「………なっちゃん」

 

 

 

 

 

 俺は柚紀で、どーてーくんを卒業した。

 

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