第七話  教会

 七  教会


 神を信じ、神を崇め神の教えを説く聖なる場所教会。

 此処は街から少し離れた場所にある。近くに住む人、街に住む人、色んな人が神に救世を求めている。それを現実世界に引き出すのが牧師様の務め。牧師は今日も神に祈りを捧げる。そうすることで神とコミュニケーションが取れるから。そして祈りを捧げている牧師の後ろには彼と同じように神に祈りを捧げている子供たちがいた。この子どもたちは両親に捨てられたか、戦争により両親を失い孤児になった子たちが殆どだった。

祈りを捧げ終わり、牧師が勉強だと言うと子供たちがはいと大きな返事をして教会の裏にある離れに元気よく走っていった。勉強とは孤児になり文字も喋ることもままならない子が大半なので牧師が一から物事を教えているのだ。離れの中は綺麗な木材に囲まれ、一人一つ机と椅子が置かれている。牧師が紙とペンを渡し授業を始める。授業は現代で言う国語とか算数などだ。時々理科やこの国の歴史を学ぶこともあったり、身体を動かして体力もつけたりしている。服や食べ物などは街の方から支給してくれたもの、自分たちで手作りしたものがある。子どもたちの中には戦争によって片足を無くしてしまった子、生まれた時から障害を持っている子、血縁関係の者から酷い扱いをされトラウマがある子、普通に元気に暮らしている子、様々な子どもがこの教会に入る。

しかし彼らは教会に来てから暗い顔をしなくなった。ずっと笑顔でいた。時々里親として自ら希望してくれる人たちがいるが、その人たちには多数の検査などを通過して里親として合格を与えられる。里親に迎えられた子供は一時は悲しむが素敵な家族に出会い新たな人生を歩むことでまた変わってくる。それを牧師は一番に望んでいた。本当は家族というものに触れてほしい、と。彼らにとって一番最適な過ごし方、安心という意味は分からない。だけど今は最低限の事をしていると思いたい。

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