閑話3同窓会

朝田が二十四歳になる頃の、まだ若い時の話。


(懐かしいなぁ)


とある中学校に、足を運んでいた。


「こんにちは。招待状は?」

「持ち合わせていないが、これでは駄目かな?」

「…生徒手帳ですか。…認めます。どうぞ」


 薄々察していると思うが、ここは朝田の母校だ。彼は、招待状を何回か受け取っていたが、戦地に行っていたり、アメリカで撃ち合いをしたりとなかなか都合が合わない場合が多かったので、参加できなかったのだ。


 歩いて体育館へ行く。


「あん?誰だお前?」

「やあ、早乙女だよ」

「…え?」


 体育館が静寂に包まれる。


「お、おい、お前、死んだんじゃ!?」

「書類上は、そうだな」

「「「「「「「「「「「「「「「は!?」」」」」」」」」」」」」」」

「それよりも、書いてもらわないといけないものがある」


 理解不能なことが立て続けに起こって思考停止しているやつが多い。目の前にいるやつが自衛隊に行っていたのは聞いていたが、数か月前、死亡したという葉書が届いており、驚いたが、話してはならないという雰囲気があり、心の中からはほぼ消えていた。(一人の女性を除いて)そこへひょっこり本人が出てきたら誰でも驚く。


「まず、聞いていいか?」

「なんだ?」

「書類上は、と言ったけどどういう意味?」

「早乙女亮の死亡届は正式に提出済みだ」

「書いてもらわなければならない書類ってなんだ?」

「俺の情報を喋らないという確約書だ」

「書かなかったら?」

「身の安全は保障しかねる」


 そう言って右足のズボンの裾を引いて右足を見せる。そこには、膝下の中ほどから金属になった足があった。ほぼ全員が一歩後ろに下がる。


「奴らに法律なんてないからな」


 そこで彼の容姿を見ると、パリッとしたスーツに身を包んでいる。しかし、見る者が見れば、一着で諭吉さんが正に羽を付けて飛んでいくような値段の物だと知る。それが分かった奴は目を見張る。そしてロボット工学や、義足の知識があるものは、足の義足を見て、値段を想像する。またある者は、腕に着けた腕時計を見て、頭の中が¥になる。そしてこれらの人の極々少数の人は、金にしか目がいかなくなる。そして一部のアホは早乙女が精いっぱい背伸びしているように映る。


「とにかく、俺たちは、お前がどういう経緯でここにいるのかさっぱりなんだが」

「その経緯を話しに来たんだ。俺は防衛大学校を卒業してから自衛隊に入隊して、・・・」

「待って、その話、長くなる?」

「なる」

「三行で」

「「「いやそれは無茶でしょ」」」

「自衛隊で色々あってFBIに飛ばされた

色々あってとある宗教組織の弱みを握った

殺されそうでやべえ」

「その弱みって?」←キ〇ガイ

「知りたい?」←悪ノリ

「「「「「「「「絶対に言うなよ!?(言わないでよ!?)」」」」」」」」←最低限の教養のある常識人達

「知ったら殺される未来しか見えねぇ・・・」

「ま、これに署名してね♡」圧

「クリップボードは?」

「悪いけど自分の使って」

「質問だけど自衛隊ってまだ実戦は未経験だよな?」

「うん」

「どこでその足やった?」

「こう、拘束台の上に寝かされて、電ノコで・・・」

「分かったもう言わなくていい」


 事情が分かった一部の者は聞いたやつを酷く恨んだ。

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