第27話「次の停車駅は電車旅1です。」

夏コミが終わり、大阪に戻ってきた。

みゆの心配はいいほうに裏切られ、みんなは新大阪駅に迎えに来てくれた。

大荷物で帰ってくることがわかっていたらしい。

でも、荷物の大半は、俺の家宛に郵送したので、あまり荷物はなかった。

みんな集まっていたのでせっかくだからということで、市内で遊んで帰った。

次の日は一日休んで、その次の日みゆと二人で、遊びに行くことになった。


「あ、おはよう。」


「おはよう…珍しい…お前が私より早く来るなんて…」


「…」


「何?」


「いや、その…みゆと私服で出かけるの初めてやから…こんなに可愛らしんやと思って…」


「きも。おしゃれしてこんかったらよかった。」


「なんで~や!てかほんまにいいんか?」


「何が?」


「いや、なんか電車にたくさん乗ろって言うてたから…お前だって興味ないやん…と思って…」


「じゃあ何?いやなん?」


「いやってわけじゃないけど…」


「じゃあええやん。普段私たちの趣味に興味もないのについてきてるのはなんなん?」


「いやそれは…お前にお願いされたから…」


「いちいちお願いしなあかんの?じゃあ、お願いします。今日は電車で遊びに行ってください。」


「いや…ほんまにええの?多分だるいで?」


「いいの!いつも、お前から話聞いてるだけやからたまにはなって思っただけ!!お返し!!」


「なんや!じゃあ先にそれ言えよ!やったら今日は一日楽しむか!!」


「は~やっとわかったんかよ…」


「じゃあ今日は地下鉄も乗りにいこっか!」


「地下鉄?阪慶だけじゃないん?」


「お前俺は撮り鉄やぞ?阪慶推しでも、ほかの電車の写真は撮りたくなるやろ?」


「まあせやな。いいよ。行こか。」


「じゃあ今日はこれや!阪地下乗り放題切符!これは阪慶と大阪地下鉄が手を組んで作った超お得な切符!!

これ一枚1500円支払うだけで、前線乗り放題やねん!!」


「ふ~んそれはすごいな~」


「3年前くらいまで萱島でも買えててんけどな~なんか阪慶の方針で、萱島では買えなくなってしまったんや…」


「それは残念やな…」


「てか、最近阪慶なめてるで?1時間に6本あった準急を4本に減らしやがった。なめてるやろ?」


「え?なめてるか?10分に一本が15分に1本になっただけやろ?そこまで影響あるか?」


「あるよ!!一本逃したときのダメージが大きい!!」


「いや~わからんな~」


「普通は以前通り6本来てる。でも準急は減らしてその減らしたところに、快速急行とかくそみたいな電車増やしやがって!!萱島には止まらんねん!!なめてるやろ!!」


「どこが?」


「お前な?萱島にはクスノキがあるんや!それだけで止める理由になるやろ!」


「いや、ならねーよ」


「飛ばす意味が分からん!」


「いやわかるやろ。寝屋川市駅より、萱島のほうが圧倒的に小さいし、何なら準急停まる意味もよくわからん。」


「よし!説明しよう!」


「いや、別にせんくていいよ」


「萱島の後ろには」


「始まった」


「寝屋川信号所という場所があるんや。通称「寝屋信」

その寝屋信をから天満橋まで、複々線という、上り2本下り2本計4本の線路があるんや。

で、その寝屋信の下には、阪慶の寝屋川車庫と寝屋川車両基地がある!

だから、ラッシュが終わると、電車の本数を減らすために、萱島止まりの電車を作って、そのまま車庫に電車をしまう。つまり、門真市とかから京都に行く人は、萱島で足止めを食らてしまう。

それも10分以上」


「それは大変やな…あ、だからその人たちがホームであふれかえらないように、準急をタイミングよく止めて、乗客の分散を図ってるんか!」


「大正解!でも、その準急の数を減らしていくんやで?意味不明じゃない?

例えば、守口市駅をある起点として考えよう。

守口市駅はほぼ全ての電車が止まる。

必ず、普通とも連絡する。

そして、守口市駅から萱島まで、準急やと4分普通やと10分かかる。

でもな?阪慶は萱島で10分待たせるのはあかんということで、萱島に準急を止めるようにした。なのになぜ萱島-守口市駅間の10分はどうでもいいと思うねん!おかしいやろ!!」


「ま~おかしいと思うけど、一番おかしいと思うのはまだ切符も買わずに改札の前で、熱く語りだすお前のほうがよっぽどおかしいと思うけどな?」


「あ、はい。すみません…つい…」


「とりあえず、電車に乗ろ?私もお前の話を聞いてたら、「準急」に乗りたくなったわ。」


「…うん!!」


こうして、俺たちは萱島で連絡票をもらって、萱島の駅構内に上った。

いつも通りの、3番線と4番線…

だが今日は学校に行くんじゃない。

みゆと二人で遊びに行く。

それもお互い私服…

特別な3番線と4番線だった。


「どこ行く?」


「じゃあ梅田に行こ!まずはランチやな!」


「せやな。」


「今日の準急はK1001A列車やな!守口市で連絡するのはおそらくR1101A列車やな!」


「なにそれ?」


「これは列車番号っていうねん。準急の場合で言うと、K1001AのKは準急列車を意味してねん。ほんで、10っていうのは、朝の10時台に始発つまりその電車の運転工程の運転を開始するってこと。」


「なるほど。結構意味があるねんな~」


「そして01は10時台にその始発駅を出発する一本目の電車であるってこと。でAというのは、行先を示してるねん。

例えば、Aというのは、淀屋橋行きを表している。」


「なるほどね!!この番号にこんな意味が込められているんか!!こう見ると意外と面白いな!」


「やろ~?ちなみに阪慶とNRの場合は運転席の左側にこの列車番号を示すものが置かれていて、そこには何時にどこの駅を通過して、どこの駅に何時何分に到着するかも書かれれている。そしてそこにはその駅での停車時間も書かれているってわけ。」


「停車時間も書かれてるん?それは知らんかった…お客さんが全員乗り降りするまでやと思ってた。」


「もちろん、それは間違ってないけど、やっぱり目標時間を決めとかないとあかんやん。例えば、あんまりお客さんが乗らない駅とかもあるわけやん。特に橋本とか。

そういう駅ではお客さん乗らんかったら、駅員によっては、開けてすぐ閉める人、1秒しか開けない人もいるかもしれへん。

そういう場合早く出発したら、前の電車で渋滞するかもやし、もしかしたら走ってきてるお客さんもいるかもしれへん。電車にぎりぎり間に合いそうで。そういうときのために基本は10秒以上は扉を開けたまま止まってるんよ。」


「そうなんや。知らんかったな~」


「まあ、そういう秘密もあるってことや。ちなみに運転手の真横にあるからじろじろ見ると運転手の気に障るから控えめに見てあげな。」


「いや、別にええわ」


「皆様、まもなく3番線に準急淀屋橋行きが7両編成で到着します。

黄色または緑の乗車位置丸印の2番から8番でお待ちください。停車駅は守口市、京橋、天満橋、北浜、淀屋橋です。守口市で、各駅停車に連絡します。京橋で中之島行きに連絡します。」


「これも思ってんけどさ、なんで2番から8番なん?」


「これは、階段の位置とかで変わるねん。

萱島の場合1番は駅員室があるから、階段がないんよ。

でも守口市では1番の前に階段があるけど、8番の前にはない。

8両編成はホームいっぱいいっぱいやから、調整はできひんけど、7両とか6両は調整できるやろ?だから、このように調整するんや。」


「なるほどね~」


「お待たせいたしました。3番線の電車は準急淀屋橋行きです。次の停車駅は守口市です。」


「お、今日は13072やな~」


「それはなんなん?」


「これはキャラクターみたいなもん!」


「あ~なるほどね~!」


「これは阪慶の中でも一番最新の車両で、2次車やねん!」


「2次車?」


「2次車っていうのは、その電車が何番目に作られたかを表してるねん。

電車っていうのは一気にいっぱい作らへんのよ。例えば10台作ってみて実際に営業運転をしてみる。そしたら改善点が出てきたりする。例えば、もう少し窓を大きくしたら景色よくなりそうやな~とか、もう少し車内を明るくしたいから、照明を増やしたいな~とかな

あとは最近電車の車内での事件も多いやん痴漢とか。そういう事件を防いだりするために、防犯カメラをつけたいな~とかなったりするやん。あとは乗り心地をよりよくするために、足回りを改善したりとか、あったらあかんけど、問題点があったりとか、いろいろ改善点が出てきたりすると思うんよ。」


「あ~確かにせやな。

後々改良するとなるとお金かかっちゃうもんな。」


「それを防ぐためにちょっとずつ作って、運用していくってことやねん。」


「なるほどな~」


「まあ、色々楽しみながらいこか~!」


「せやな!」


「3番線準急の扉が閉まります。ご注意ください。」


つづく


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そろそろダイヤ変更があるらしいですね。

この、物語の時刻表…電車好きの人ならわかるある驚きが隠れています。


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