第21話「次の停車駅はサイト投稿です。」

「2番線準急の扉が閉まります。ご注意ください。」


「あれやな物語はあのまま出すん?」


「いや、少し変えるつもり。webにあげるためには、面白くしないとな。」


「せやな。まあ,みゆはアニメたくさん見てきたから、面白い物語とか朝飯前ちゃうん?」


「せやけど、私がいくら面白いと思っても、周りの人が面白くないと感じたら、受けへんからな…」


「確かにな~その辺が難しいよな~とりあえず方向性と物語の筋を通さないと、面白みがなくなると思うな」


「とりあえず、私たちは今世の中で毛嫌いされているオタクの誤解をなくせる、みんながオタクになりたいと思えるような物語を作りたいねん。

私はアニオタ、お前は鉄オタ、そのほかにもアイドルオタとかいろいろある。その全てのオタクが共感できるような物語を作りたい。」


「なるほど、方向性は分かった。次中身はどうなん?あの前見せてくれた試作品のまま?」


「うん。色々考えてみてんけどね。やっぱりあれがいいなって。」


「俺に無理やり合わせてへんか?」


「は?なんでお前なんかに合わせなあかんねん」


「あら、違うの?」


「違うし。ちゃんと理由があってあれにしたんやし。」


「そうなん?」


「最近思ってん。鉄オタの人って駅のホームの端っこで写真を撮ってるだけで、キモって思われるやん。あれが、理解できひんくってさ。なんでなんかなって。」


「あーなるほどね。それはあるな。確かにみゆみたいな、オタクちゃんも男子たちに、「彼女があれならひくわ」って言ってるの聞いたことあるもんな~」


「そのオタクが毛嫌いされるっていうのをこの物語を通じて解消したい。そして萱島を舞台にしたい理由は、オタクはあなたの身近な場所にいるよってことを伝えたい。日本橋はオタクがたくさんいてキモイから行きたくない。ってみんな思ってるけど、本当は身近な場所にいるよってことを伝えたい。」


「なるほど。ちなみにやけど、その男子と女子はどういう関係なん?」


「そこなんよな~迷ってるの」


「そうなん?」


「だってさ、例えば試作品みたいに、男子を鉄オタ、女子をアニオタにする。これでも別にいいと思うねんけどさ、どうやって結びつくん?」


「あ~なるほどね。確かに全然違うもんな。俺らが珍しいだけで。」


「せやろ?」


「じゃあこんなんは?女子はすごい真面目ちゃん。学校のルールは1つでも破ったら許さない。そして男子君は根っからのワルで全然学校のルールを守らない。やけど、ある日駅でその女子がオタ活をしているところを男子が見て女子がうんたらかんたら~とかは?」


「その設定はマジでくそやけど、ちょっと応用できそうやな」


「いやディスってるのかほめてるのかどっちやねん!」


「ディスってる。」


「そうか~」


「まもなく、萱島、萱島です。萱島から終点まで各駅に止まります。」


「まあ家帰って、ゆっくり考えてみるわ。ありがとう。一緒に考えてくれて。」


「え、あ、いいよ全然」


みゆにありがとうって言われた。

ありがとうというのが珍しく、ちょっと驚いた。

一方そのころ


「こんにちは~池田と申します~」


「はーい。あ、みゆの!どうぞ!どうぞ!」


「お邪魔しまーす」


「みゆ!池田君きてくれたで~!」


「え!も、もう?」


「あ、ごめん~ちょっと早く来てもうた」


「わ、私…へ、部屋着なんですよ…ちょっとまってもらってもいいですか?」


「あ、全然ええよ!何なら部屋着のままでもいいよ」


「いや…それは…」


「じゃあきがえておいで」



「ごめんなさい…お待たせしました…どうぞ」


「全然いいよ!」


「て、てか…どんな作品になるんでしょうか?みゆが考えている作品は…」


「あ~どうなんやろうな~確かに物語が決まらへんとキャラを作ることさえ難しいもんな。」


「そ、そうなんですよね~

一応私が作ったキャラ帳があるんですよね。こんな感じで。」


「どれどれ?あ~そうか。真面目ちゃんもいれば、めっちゃ可愛い子もいるし」


「そうなんですよね。まあキャラのことはまた話が決まってからにしません?と、とりあえず、動画配信ですよね?」


「そう!それな!どうしよっか?」


「どうしましょっか…」


「なんか、アニメ公式チャンネルは次回放送予定の予告を流したりしてるよな~でも俺たちアニメ作るんちゃうしな~」


「そ、そうですね~じゃあ何か企画を作るのはどうです?」


「なんかそれやと普通のTtuberと変わらんくない?」


「そうですよね…」


「なんか、聖地巡礼とか、制作の裏側とかを公開したりするのが、面白そうじゃない?」


「た、確かに!それいいですね!」


「まあ、ぼちぼちやっていきますか!」


「そ、そうですね!」


「いや~それにしても、初さんの部屋整理整頓されてていいな~!」


「そ、そうですか?」


「血液型何型やったけ?」


「え、A型です。」


「だからか!A型の人って整理整頓うまいっていうもんな!」


「そ、そんなことないですよ~!」


「とか言って少し照れてるやん?」


「まあちょっと」


「かわいいな~!」


「ちょ!そんな簡単にかわいいとか言っちゃだめじゃないですか!」


「え?そう?かわいいな~って思ったからさ~!」


「もう!池田君怒りますよ?」


「初さんが起こってもそんなに怖くなさそう!」


「…」


「初さん?」


「おんじゃ我ほんまを見せたろか?」


「いやあ!!いいですぅ!!」


「う、嘘ですよ!いやだな~!」


「ギャップ萌えがかわいい…」


次の日学校で借りた部屋でまた、会議を行った、暇つぶしをしにしめっちも来た。本当の理由は、仕事がしたくないという理由らしい。

最悪の公務員だ。


「とりあえず、作品を作っていかないことには、この部活は成立しない。というか、これは部活なのか?」


「確かに、堀溝の言う通りやな。何か、名前を決めたほうがええんちゃう?」


「私考えたんだよね!!「スタジオ・クスノキ」は?」


「えw全部カタカナ?w」


「うん!でもね!発音的にはよくない?」


「スタジオ・クスノキ…スタジオ・クスノキ…確かに音的にはいいな。」


「あと萱島駅の象徴と言えば、楠木でしょ?」


「まあせやな。じゃあ名前はこれで行くか!」


「異論なし。」


「じゃあみゆもそういったことだし、ついでにみゆ今考えてる物語について、話せることあるなら、話してみて」


「うん。ちょっと考えてみてん。みんなも聞いて、もしこの辺アレンジしたら、面白いんちゃう?と思ったら、どんどん教えてほしい。」


「も、もちろん!私もかけないキャラもあるしね」


「うん。特になおとはこの辺をすり合わせたいし。」


「とりあえず聞かせて。みゆの意見を」


「聞きたい!聞きたい!」


「まず、すっごい電車が好きな男の子がいたんよ。その男の子は普通にオタクやけど、普通に友達がいていた。で、その子のクラスにはすっごい真面目な女の子がいたんよ。その子はクラスの風紀委員やったんよ。その女の子にはあまり友達がいなかった。風紀委員という立場やからやっぱりみんなに嫌われて…本当はいい子なんだけどね。風紀委員の仕事をしているだけで、勝手なことを言われたりしてさ~」


「へえ~なかなか面白そうやん!」


「でもその子には隠された裏があったんよ!」


「う、裏?」


「実は大のコスプレ好き!!アニメコスとかめっちゃやってるんよ!けど学校では、風紀委員。これは絶対にばれてはいけない。ところが!!」


「ところが!!」


「電車好きの男の子君、このコスプレイベントの会場に行っちゃった。というのもあいつによると、電車ってそういう会場で、大きなイベントがあるときって、臨時列車が走ったりするんやろ?」


「その通り!阪慶でもあるで!」


「やんな。だからそれを使った。でまさかの出会いを果たしてしまう・・・っていう物語みんなどう?」


「なるほど…いわゆるギャップ萌えってやつか。」


「池田の言う通り!男子って女子のギャップ萌えに弱いらしいからさ!」


「そ、そうなんや…知らなかった。」


「まあ普段からつんつんしてる女子が好きな男子にたまにデレってするのはラノベの王道やな」


「真奈の言う通りやっぱり、こういう王道からどう物語を発展させるかがポイントになるんよね!」


「まあ、そこはみゆの腕前に任せるとするか」


「面白い物語ができるといいね!」


「よし!物語の方向性も決まったことやし、さっそく制作を始めるとするか!」


「うん!」


こうして、俺たち独自の物語の製作がいよいよ本格始動し始めた。

真奈も親に同意を得ることができ、サイトを開設できるようになった。

それと同時に動画チャンネルを作ったりSNSの開設も行った。

こういう色々なものを開設しているときが一番楽しいっていうが、それは本当なのかもしれない。

そんなこんなで、俺たちの一番最初の作品である「真面目ちゃんのオタクちゃん」という物語が出来上がった。


「緊張する…」


「まあ、一番最初の作品やもんな。」


「まあ私たちが作った作品やし大丈夫でしょ!」


「そ、そうだといいんやけど…」


「まあやってみないとわからんな」


「じゃあいくで…」


「うん」


「よし投稿した。まきSNSも投稿して。」


「了解!フォロワー120人いるし何人か見てくれるでしょ!私のアカウントでもリツイートしておいたし!」


「おー!てかフォロワーそんなに多いんか?」


「あんた、まきのSNSなめてるやろ。」


「え、そんなに多いん?」


「真奈の言う通り!なめてもらっちゃあ困るんだな~!」


「まきのフォロワー普通に100万人いるすごいやつやで」


「は!?」


「結構ネット界では、結構な有名人ってわけ」


「まじかよ…」


「まあヤン君との日常を上げてるだけなんだけどね~!」


「じゃ、じゃあフォロワーも集まりそうやなそこそこ」


「まかして!」


「な!なあなあ!!」


「なんやみゆ」


「閲覧数が…」


「え?うわ!!」


「す、すごい…え、閲覧数が…」


「100…」


「まあ120人のもいれば普通でしょ!それも20人はアカウントを自力で見つけてくれた人だけど、残りの100人は私のフォロワーつながりやしね!私昔からこういうのやりたいって言ってるし!」


「いや~やっぱりまきにSNSを任せてよかった。」


「それはよかった!まあここからだよね!フォロワーが増えるのは!」


「そうやな!みゆここからがんばろうぜ!」


「うん!みんな!ありがとう!これから頑張る!!」


こうして、記念すべき一つ目の作品がサイトに上がった。

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