次の停車駅は萱島です。

第17話 ｢次の停車駅は試作品です。｣

｢う、うわぁ〜！た、たくさんの資料がありますね〜！｣

｢ほんまやな〜！初さんかけそう？｣

｢い、池田くーん？わ、私のことなめてません？｣

｢なめてはないけど、初さん大変そうやな〜って思ってさ〜｣

｢こ、このくらい！余裕ですよ！見ててくださーい？か、描いてみせますから〜！｣

｢おー！それは楽しみやな〜！初さんが描いた絵を元にCGと3Dモデル作るから頑張ってな〜！｣

｢あ、ありがとう.........ございます！｣

｢みゆ、物語の話はできたん？｣

｢当たり前！お前みたいにチンたらしてないからな？｣

｢すみません.........てか読ましてーや！｣

｢お前みたいな人間にこの話の価値がわかるか？｣

｢わかるって！｣

｢まぁ〜これからのこともあるし読んでもらわなあかんな〜！まぁあらすじだけ説明したるわ！｣

｢めっちゃ上から目線やんけ.........｣

｢お前は上から目線で十分や！｣

｢そうやで！翔太くん！女子はな！好きな人に対して上から目線で話したくなるねん！｣

｢は！？まき！ちゃうって！｣

｢わかるわかる！私もヤン君には上から目線で話したくなるから！｣

｢ちゃうから！こんなやつ好きになるねんたら今まで振った奴の誰かと付き合うわ！｣

｢地味に傷つくんだが.........｣

｢勝手に着いとけ！お前が着いたところで誰も被害被らへんわ！｣

｢まきさん.........この人部長にこんなこと言うんですよ？ひどくないです？｣

｢え？こんなので酷いとか言うてたらどうなるん？｣

｢俺は今地獄を見てる気がする.........｣

｢冗談やってー！｣

｢頼むから冗談に聞こえない冗談言うのやめてくれ.........｣

｢へへ！でも本気の時もあるから気をつけてね〜！｣

｢みゆ.........まきってどんなやつ？｣

｢ああいうやつ.........ホンマに怖いのはなおよりまきやから気をつけや.........これだけは言うといたるわ.........｣

｢お、おう.........｣

｢みゆなんかゆった？｣

｢いや〜？気のせいやで？｣

｢そうか〜！｣

｢と！とりあえず！あらすじは？｣

｢あらすじ？えっと、まずアニメや漫画好きのヒロインがいてる。｣

｢なるほど！みゆと翔太くんみたいな感じやな？｣

｢ちゃうわ！｣

｢ちゃうわ！｣

｢お！2人していき揃って仲良し〜！｣

｢違うから〜！こいつを見本にしたらゴミみたいな話になるわ！ただ、こいつも電車のオタクはなんか.........毛嫌いされるって聞いたし.........なんか私たちと同じやから.........なんかと思って.........｣

｢ええんちゃうかな？高柳が言うように、この物語ではそういうことを伝えたらいいと思うで！NR好きの俺からしても嬉しいし！｣

｢それは良かった.........たしかに、池田を見本にしたら、ええな！｣

｢ぜひそうしてもらおう！｣

｢言われんくてもそうするわ！お前なんかは見本にせーへんし！｣

｢で！続きは？｣

｢続き？続きは.........｣

この後俺はみゆからあらすじを聞いた。

ざっと説明すると、電車のオタク。アニメのオタク。分野は違うが、同じオタクであることは間違いない。そんなオタクを毛嫌いするのは違うということを伝える話である。

｢じゃまた明日な〜！｣

｢バイバイ〜！！｣

｢あ、保育園行かな！｣

｢お前たまには、私がなんか買ったろか？｣

｢え？まじ！お前にしては珍しいな！大雨降るんちゃうか！｣

｢はぁー？｣

｢う！ごめんなさい.........｣

｢お前に1発くらわしたらストレス解消できるわ！もう1発やらせろ！｣

｢え？下ネタ？｣

｢.........｣

｢う！う！うぉー！ごめんなさい！｣

｢1発どころか10発やってやったわ！｣

｢すみません.........｣

｢でも今日は私が遅刻したし、お詫びに何か買ったるわ！｣

｢やった！｣

｢い、池田君.........きょ、今日もバス.........ですか？｣

｢え？あ〜！せやで！｣

｢あの.........もし良かったら一緒に帰りません？｣

｢あ！ええよ！｣

｢私.........私と帰るの嫌じゃないです？｣

｢え？いや、別に.........というか初さんが誘ったんちゃうん？｣

｢え！あ！そうですよね！変なことゆってごめんなさい！｣

｢じゃあお詫びにドーナツ奢れ！｣

｢え？｣

｢ごめん！高柳の真似！なんか1回ゆってみたくて！｣

｢いい.........ですよ.........｣

｢え？｣

｢ご馳走します！｣

｢いやいや！それは俺がだすよ！｣

｢いえ！大丈夫ですよ！｣

｢いやいや！そんな！｣

｢大丈夫ですよ！一緒に行きましょ！｣

｢じゃあ.........お言葉に甘えて.........｣

｢はい！｣

｢でもあれやな.........こんなん今まで無かったから、ちょっと嬉しいな！｣

｢え？堀溝君とかとは行かなかったんですか？｣

｢あ〜あいつとは何回も行ったことあるよ！そらね！いや.........その女子とっていうか、翔太以外の人というか.........｣

｢あ.........｣

｢その〜翔太とか高柳は昔からの友達やからアレやけど、学校の友達とってことかな.........｣

｢池田君.........なんかごめんなさい.........｣

｢いや！初さんは悪くないで！俺がなんか言うてしまったから！ていうか、高柳と学校の友達やし！ごめん！行こいこ！｣

｢はい！私も見て欲しい絵とかあるんですよ！｣

｢お！そうなん？そら楽しみやな！｣

高校に来て、初めて翔太と高柳以外の友達ができた。

ていうか、初さんは俺といて大丈夫なんかな.........

中学の頃のことを思い出すと.........翔太にも高柳にも相談できなかったあのことを思い出すと.........

｢もう待ちきれないです！先にスマホの画像見せますね！あ！ほらほら！これがあるシーンのキャラの試作品なんですよ！｣

｢.........なるほど！｣

｢池田.........君？さっきから、どうしました？｣

｢いや！大丈夫！ほんで？｣

｢いや、気になります。池田君のその素振りが.........｣

｢いや！ほんまに気にせんといて！｣

｢ダメですよ！｣

｢え？｣

｢これから一緒に作品を作っていくのに相手を信用せんと、隠すのは！｣

｢.........たしかに.........｣

｢でも、今言えないかもしれないですもんね.........たしかに時と場合があると思います。でも、今私が言えることは、心配しなくても大丈夫ですよ！池田君が作品のことで悩んでるのか、他のことで悩んでるのか、分からないですが私がいつでもそばにいてますから！｣

｢初さん.........｣

｢席も隣で同じクラス.........工業高校で男子が多くて相談しにくいこともあったりするかもですが、私でよければいつでも話聞きますよ！｣

｢ははは！初さんに慰めてもらうなんて、俺幸せやな！でも初さんか〜なんか頼り甲斐がないな〜背が低くて弱そうで.........｣

｢なんやってー！！池田君！今の言葉忘れませんからねー！もう話なんて聞いてあげません！｣

｢ええよー！だ！｣

｢あ〜！そんなこと言うんや！そんなこと言う人にはお仕置が必要ですね！｣

｢ははは！お仕置きなんて可愛らしい！｣

｢もう〜！バカにしてー！罰として！私の試作品の絵描き補助してもらいます！！土日は12時間解放しませんからね！｣

｢え！！それはマジ勘弁！ごめん！｣

｢知りません！試作品作るのには大事なことやと思うんですが？サボる気ですか〜？｣

｢いえ.........｣

｢では手伝いますよね？｣

｢はい.........｣

｢はぁ～い！決まり！池田君が悪いんですからね！｣

｢トホホ.........｣

俺は今1番幸せなのかも.........しれない.........