第7話 小説のルールについて




 ここからは、コンテストに関する助言です。


 ある程度実力が身について、


「面白い物を書けるようになった!」


 そう感じたら、出版社の公募やコンテストに作品を送ってみるのも良いでしょう。出版を目指すなら、コンテストへの応募は王道的な方法となります。


 ただし、出版社等のコンテストには、多くの場合、厳格なルールが存在します。


 「応募要項」ってやつですね。


 これを破っている作品は、まず、受賞しません。一次審査さえも通りません。なので、応募要項に関しては、穴が開く程読み返して、必ずルールを守るようにしましょう。


 また、小説の「作法」を破っている作品も一次審査を通りません。(カクヨムのコンテスト等、一部のweb小説コンテストは除く)


 これは簡単にいえば、小説のルールです。


 因みに僕は、このルールを知らなかったばっかりに、かなりの時間を無駄にしてしまいました。ルールを破っている作品は、どれだけ作者の実力が高かろうが、どれだけ面白かろうが、一次審査を通過しません。

 だけど作法を守った作品を送った途端、一般公募の一次選考ぐらいは通過するようになりましたから。



 はい、怖いですね、恐ろしいですねえ!


 なので、もしも公募やコンテストに作品を送ろうと考えている人は、今の内に小説の決まりを学んでおきましょう。


 ◇


 まず、代表的な決まり事は四つです。


 一つ。 

 行頭は必ず一字下げる。(台詞は除く)

 

 二つ。 

 カギカッコの最後には 。 を記さない。


 三つ。 

 ! や ? の後には一文字分の空白を入れる。


 四つ。 

 … と、 ― は、必ず二個セットで使う。



 ◇


 では、例を上げます。⬇️


 まずは一つ目。


これ。文章の始まりに一文字分の空白を入れる。(全角。台詞は行頭を下げない)

 携帯端末が鳴り、吉報を知らせた。真子ちんが目を覚ましたのだ。でも、私は気が重かった。目を覚ました真子ちんに、あれから起こった事をどう伝えたらいいだろう。これまで真子ちんは気丈に振舞ってきたけど、彼女は本当は、とても傷付きやすくて脆い。


 これに関しては国語の授業でも習ったと思います。




 で、二つ目。


「どうして。真子ちんが働ける状態じゃないのは解るでしょう」

        ↑

        これ


 作文の授業では、台詞の最後に 。を入れるよう習ったと思います。

 ですが、小説では表記しません。表記したら落とされます。





 続いて三つ目。

              これ

              ↓

「ユダを置いていけるとでも? 私はマリアとは違う。我儘な女なのよ」

              

 ? や、! の後には空白を入れましょう。台詞の最後である場合は除く。





 それと四つ目。


「マルタ、どうしてここに。何故、逃げなかった……」

  ↑

  これ


 … や、― は、必ず二つセットで使うようにしましょう。


 …… とか、―― みたいな感じですね。長い傍点を撃ちたい場合は、…………。 みたいに、必ず、二つセットの倍数で表記しましょう。


 ◇


 以上の四項目が、基本的な小説のルールとなります。

 他にも決まり事はあります。


 例えば、台詞内で過去の台詞を引用する時は、二重カギカッコを使う。


「主は、仰いました『わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない』。と」


 とか、


「杏ちゃんはいったよね? 『可憐ちゃんに関わることだから、貸しはなしだよ』って。僕は覚えてるからね!」


 みたいな感じです。



 また、数字を使う場合は、漢数字かアラビア数字かで作中の表現を統一すること。

 漢数字で表記する場合には、特定のルールが存在します。


 ✖️ 二千九百七十二年

 ○ 二九七二年


 ✖️ 一万八千八百人

 ○ 一八八○○人


 みたいな?

 他にも、いくつかの決まり事があります。これに関してはインターネットで調べてみる事をお勧めします。



 さて、ここまで紹介した小説のルールについては、作家はあまり教えたがりません。


 理由は簡単です。ルールを教えてしまうと、コンテストで戦うライバルが増えるからです。一次選考を突破する作品が増えちゃいますから。


 つまり、今回教えた内容は、まあまあ重要な情報だという事になります。覚えて得をする事はあっても、損をする事はまずありません。


 代表的な四つのルールだけでも、必ず覚えておきましょう。


 それから、カクヨム作家の小説を見比べてみる事をお勧めします。小説のルールを守っている作家は、コンテストを視野に入れている人です。

 つまり、物語の作り方や小説の書き方を理解している場合が多いのです。かくいう小濱の作品も、今は小説のルールを守っています。


 読者の中にも小説のルールを知っている人がいます。小説のルールを守っておけば、ハイレベルな読者が作品を読んでくれる可能性も高まります。

 


 今回はここまでといたします。


 次回は、以前予告した通りシナリオを掲載します。前、後編で分けて掲載します。


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