第6話 起承転結について
今回は起承転結の話です。
これに関しては、小中学校の時に、これでもかと習った筈です。なので、今回はさらっとおさらいする程度に留めます。
まずは「起」
起とは、物語の始まりを意味します。
小説における物語の始まりは「掴み」を意味します。これはシナリオも同じです。
掴みとは何か?
何か「事件」が起こる。と、いう事です。事件という言葉がしっくりこなければ「イベント」が発生する。と、解釈して貰っても構いません。
例えば、有名なカミュさんの小説では、一行目でもう、ママンが死んでいます。
いきなり大ピンチな一行から始まる小説も多いですね。
では、何故、起では事件が発生するのでしょう?
それは事件を通して、主人公等キャラクターの人格や行動が見えて来るからです。
昔、世阿弥さんという偉い人が言いましたね。
「まずは花を描きなさい」
花とはつまり、主人公の魂。信念とか品性とか、そういった物です。キャラクターの美点だと理解してください。それは例えば、困難に直面してただ一人冷静に物事に対処する強さだったり、勇気だったり、矜持だったり、優しさや、心の清さだったりするかもしれません。事件を通してこの花が見える事によって、読者はキャラクターに興味を持ち、物語の続きを気にしてくれるのです。
なので、ただ、事件だけを描けばよい。という話ではありません。
起は、事件を通して「花」を描くパートなのです。
実は、書き慣れている優秀な人でも、ここを誤解している場合があります。物語の冒頭でなんやかや事件が発生してハラハラドキドキする作品なのに、しかも、ざまぁ作品であれば、ちゃんとヘイト対象が示されて主人公がドン底に叩き落とされて復讐に胸を激らせて、あ、ざまぁする作品なんだな、と、読者に示しているにも関わらず、その作品の読了率に目を通してみると、何故か異様に低い。みたいな事がよく散見されます。
これは、起で「事件さえ起こしときゃ良い」と、勘違いしているからです。
なので「起は事件を通して花を描くパートである」と、いう事は肝に銘じて下さい。逆に言えば、これが出来ている作品は、多少下手でも最後まで読んでもらえる確率がぐっと高まるでしょう。
続いて「承」
承とは、説明の事です。このパートでは、作者は物語の形を借りて、様々な事を説明します。
その世界は何処か。時代はいつか。主人公はどんな人物か。主人公の目的は何か? 何を愛し、何を憎み、求めているのか? 主人公を囲む人々はどんな連中か。敵は誰か? その世界のルールはどうなっているか。「起」で、発生した事件は、何故発生したのか……
等々です。物語の大半が、この「承」に分類されると言って構いません。
承は、説明的なパートであるだけに、難しいパートでもあります。
いかにそれを説明と感じさせず、飽きさせず楽しく上手に物語として語るか。が、試されます。
で、世界的に大ヒットした少年漫画やアニメやドラマを思い出してみて下さい。実は、それらの作品のパートの大半が、この承に分類される事に気がつく筈です。つまり、承を承と感じさせず飽きさせず、面白く書くことが出来れば大ヒット作になる。と、いうことです。
そして「転」
転は、物語が終わりに向けて動き出す事を意味します。推理物で例えるなら、名探偵が決定的な手掛かりに気付いて、誰が犯人か分かっちゃう場面ですね。バトル物の場合は、真の敵の正体がわかって、対決に向かおうとする場面とかです。
このように、物語が終わりに向かう。そのスイッチが入る事が「転」の始まりとなります。転は、物語的には一番盛り上がる場面でもあります。
このパートは、深く説明しなくてもわかりますね? 全ての作家さんが全身全裸、いや、全身全霊で情熱を叩きつけるパートです。思い切りやって下さい。
最後が「結」
ここでは物語の結論が語られます。
結は、物語全体からしたら、かなり短いパートとなります。バトル物で言ったら、最後の敵を倒してしまった後の話です。推理物だと、真犯人のトリックが暴かれて、事件に至る動機や経緯を語り出しちゃう辺りからが、結の始まりとなります。
結はとても短くなる傾向にあるので、掘り下げるのが難しいパートです。しかし、作品の中では最も重要な場面でもあります。
何故なら、その物語で伝えるべきメッセージが、この結に込められる事が多いからです。極端な事を言えば、物語は「結」を描く為にあります。
ぶっちゃけ、結が締まらない作品を書いてしまったら、その作家さんの次回作は読まれない。そう言っても過言ではないぐらい、重要なパートでもあります。
特に、最後の一文はビシッとキメて下さい。その一文で、読者さんが貴方のファンになるかならないか? が、決まります。
さて、ここまで偉そうに周知の知識を語った訳ですが、何故、小濱はここまで起承転結のような基本を重要視するのでしょう?
それは、起承転結や序破急や三幕構成は、人間が作った物ではないからです。
起承転結等は人間が「発見」した概念なのです。
「どうやら人間ってやつは、これこれこんな風に物事を説明されたり語られた場合に、最も興味を持つらしい。話にのめり込んで、しっくりと理解が出来て、記憶にも残るみたいだぞ」
ってな感じで、発見された法則なのです。
つまり、人間という生き物の仕様に即しているのですね。
良い物語を書きたかったら、起承転結等の基本は大切にしましょう。
因みに、僕が物語を書き始めた頃には起承転結を、更に起承転結で分けて書いていました。
起の、起承転結
承の、起承転結
転の、起承転結
結の、起承転結
計、十六分割のパートを作って物語を構成していました。
まあ、これは小濱のやり方なので、天さんにはここまでやれとは言いません。
で、小濱は今はどうしているかというと……。
全くプロット(筋書)を書いていません。起承転結の法則が体内に染み込んじゃってるので、書く必要がないのです。
例えば、僕がカクヨムに挙げている「可憐な可憐に殴られる!」シリーズは、全てプロットなしで書かれています。
でも、起承転結はちゃんと成立している筈です。無意識に筆を走らせている時は、序破急になっていることも多々あります。「私、宇宙人なんだけど?」は序破急に該当します。無理矢理、起承転結に当て嵌めたら、転がくっっっっっそ長いです。ふふ。
脳内プロットで序破急や起承転結を実行できるようになるまでには、書いて、書いて、書きまくる以外方法がないので……これに関してはアドバイスのしようがありません。
なので、きちんと基本を意識するように心がけましょう。また、良い映画をたくさん観るのもお勧めです。観れば観る程、無意識に、ストーリーの法則が身につきます。
それと、天さんの文章には段落が存在しません。カクヨムに挙げるだけならばそれでも構わないのですが、天さんはいつか出版をしたいと言っていましたね。
で、あれば、今の内から正しい文章表現を身に着けておきましょう。
段落があるとないとでは、読者の見方が変わる場合があるからです。
ただ、残念な事に、小濱は文法の指導は出来ません。
無学過ぎて文法を理解していないのです。
文法には、主語、述語、修飾語、助詞、等々の明確な分類があります。ですが、僕に解るのは主語ぐらいだったりします。つまり、僕は文法を感覚的に理解しているだけなのです。
もしかしたら、小濱同様の欠点を持つ作家さんもいるかもしれませんね。
でも、感覚的理解でも小説は書けます。書いていて、
「あれ? これってなんだか日本語としておかしい気がするな」
そう感じて書き直す能力があればそれで十分なのです。言ってしまえば、小濱作品は文法を知らない人が書いた作品となります。でも、多分、読んでいてあまり違和感は感じないかと思います。
アホ程本を読んだからです。
文法を感覚的に理解するためには、沢山の本を読むしかありません。
個人的には、ちゃんと物語のある「小説」が、お勧めです。
小説を読み込めば、
語彙力は、天さんの一文一意をより、高度な物へと導いてくれる筈です。
また、小説的表現や詩的表現を求めるのであれば「恋愛小説」の類を読んでみる事をお勧めします。それ以外にも色々な名作を読んで、潜在的文章力を高めてゆきましょう。
読書は楽しいだけではなく、天さんの財産になります!
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