流星作戦までの流れ
第24話 みんなの想いの詰まったもの
単純な発想の流星作戦がこんなに全ての俺達の願いを込める事になるとはな。
思いながら俺はベンチで飲み物を飲んでいた。
いーちゃんが買ってくれたラテだ。
俺はそれを一気に飲み干しながら.....息を整えて前を見る。
横に居た山根が話し掛けてきた。
「すまねぇな。俺にも連絡してくれて.....有難う」
「半分はお前らが聞き付けてやって来たじゃねーか。.....それに来てくれて有難うはこっちの台詞だぞオイ」
「そうかな。俺達が居ても迷惑じゃないか?」
「そんな訳あるかよ。.....お前らが居て本当に良かったんだぞ俺は。.....持つべきものは友人だなって」
言いながら俺はラテの缶を捨てた。
それからいーちゃんと燕ちゃんを見る。
いーちゃんは、燕ちゃんもそうだがボーッと何かを考えていた。
どうやら夕日の事を思ってくれている様だが。
俺はそんないーちゃんの頭に手を添える。
それから燕ちゃんの頭にも、だ。
そして、大丈夫だ、と言い聞かせる。
「.....アイツは強いから。.....頑張ってくれているから大丈夫だから。有難うな。心配してくれて」
「でも.....不安です。病状の件.....良く無いんですよね?」
「.....今までもずっと乗り越えて来たんだから。そんなもの関係無いさ。アイツは勝つよ。今の状況にな」
「だと良いんですけど.....」
すると、はっちゃん、と声を掛けてくるいーちゃん。
そして俺を真っ直ぐに見てくる。
俺は?を浮かべていると。
封筒を取り出した。
それから.....俺に渡してくる。
「.....少しだけど。使って欲しいかなって。みんなから集めたんだ」
「.....集めたって何を?」
「.....20万円入ってる。この中に。治療費に充ててほしい」
「.....お前.....冗談だろ」
「.....管理人さんもみんな協力してくれたんだ。.....お金を.....集めようって。こっそりやっていたんだけど.....目標に届く前に倒れちゃったから。夕日ちゃんが。.....だから今日渡すね」
視界が.....歪んだ。
それは俺の涙で、だ。
そしてその場で崩れ落ちる。
何だってこんなに良い奴らばっかなのか。
思いながら、だ。
「.....有難う。お前ら」
「.....有難うはこっちの台詞だぞ。.....俺のバイト代がこうやって使われるんなら大歓迎だぜ。ろくな使い方しないしな俺」
「私も.....貯めていたお年玉を入れました」
「.....私は貯めていた貯金から。.....みんな心配しているんだね。.....夕日ちゃんの事」
有難う、としか言えなかった。
それ以外に.....何を言えと。
涙が止まらない。
それは嬉しいとかじゃない。
ただ.....もう.....感情が溢れて.....。
「はっちゃん。.....立って。ヒーロー」
「そうだぜ。立つんだヒーロー。まだ終わりじゃないぞ」
「ですね」
そんな事を言われたのもあり。
俺は直ぐに涙を拭っていーちゃんの手を取って立ち上がった。
それから.....20万円を胸に手を添える。
そして笑顔を浮かべた。
「有難う。マジに大切に使わせてもらう」
「.....おう」
「ですね」
「はい」
そして俺達は病院のベンチから立ち上がってから。
話し合った結果、交代で俺と一緒に夕日を看病をする事にした。
夕日の目は覚めてない。
病室でスヤスヤと寝ている。
少しだけ苦しそうだが。
「夕日。みんなが助けてくれたぞ。.....良かったな」
今日は俺と燕ちゃんという事になった。
燕ちゃんはギリギリまでこの場所に居るという。
俺はその姿を見ながら.....震える手を握る。
そしてゆっくり笑みを浮かべて頷く。
「.....大丈夫。落ち着いて」
「.....はい。.....目覚めなかったらどうしようって.....不安があるんです」
「それは無いよ。夕日は強いからね」
「.....はい。羽鳥さんのその心を信じます」
「.....うん。それで良いんだ」
それから燕ちゃんは、私。りんご剥きますね、と笑顔を浮かべた。
作業は俺がやろうと思ったが。
燕ちゃんは、良いんです。これぐらいしか出来ないからです、と断った。
俺は言葉に甘えてから夕日を見る。
「.....そういえば.....私と夕日ちゃんが出会った頃の話をしましたかね」
「.....聞いてないな。.....どういう出会いだったんだ?」
「.....えっとですね。.....私がお茶を溢したんです。.....それも丁度.....まだ小学校に通ってた頃の夕日ちゃんに.....申し訳ない気持ちでした。.....でも夕日ちゃんは、大丈夫だよ、って言って笑顔で私を見てくれたんです」
「.....それで知り合ったんだね」
「.....はい。.....だから友人として.....亡くなるのは.....嫌なんです。.....好きな羽鳥さんが悲しむ顔も見たく無いです。.....だから.....頑張ってとしか.....言えないんですけど.....もどかしいです」
果物ナイフでりんごを剥く燕ちゃんの手が止まる。
俺はその震える手を見ながら.....涙をグスグス流す燕ちゃんを見ながらそのまま目の前の夕日を見据える。
夕日は.....手が少しだけ動いた様な気がした。
俺は聞いてみる。
「燕ちゃんは.....夕日ちゃんの何処が好きなの」
「.....優しい所です。.....いえ。.....全部が好きです」
「.....優しいね。君はやっぱり」
「.....私は優しいってつもりで動いている訳じゃ無いです。.....夕日ちゃんが私の世界を変えたんです。全てを」
「.....そうか」
「夕日ちゃんが亡くなったら私は.....絶対に夕日ちゃんを許さないと思います」
そんな固い決意をしながら。
俺を見てくる燕ちゃん。
そして果物ナイフを置いてから.....りんごを器に移す。
それから俺の前に差し出してから.....夕日の側に置いた。
私は.....夕日ちゃんともう一度話したい。
だから.....頑張ります、と燕ちゃんは言ってくれた。
「.....そうだな。.....頑張って看病しような」
「.....です。.....学校帰りに寄ります。絶対に」
「.....程々で大丈夫だから。学校生活を乱さない様にね」
「.....はい!」
それから俺達は。
夕日の過去の話で他愛もない話をした。
そして時刻は18時になり。
燕ちゃんは帰った。
俺はもう少し居ようと思い。
燕ちゃんの切ってくれたりんごを食べた。
「.....夕日。.....りんご甘くて美味しいぞ。.....食べれたら食べような」
そんな話をしながら。
俺は夕日を見る。
夕日は睡眠が取れてなかったせいか。
スヤスヤとずっと眠っていた。
その姿を見ながら.....外を見る。
流星が流れていた。
「山根。.....少しでも.....まあ上手くいくといいな。お前の気持ち」
そんな思いを抱きながら。
俺は窓に手をついてから空を眺めた。
そして.....目を閉じてから開く。
よし頑張ろう。
そう思いながら、だ。
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