第25話 流星作戦まで残り4日

流星作戦は4日後。

4日後は1月の終わりになる。

その事について山根に再度確認したが。

山根はマジにやる気だった。

何故かと言えば.....学校に放課後、備品とか言ってこっそり天体望遠鏡とか運び入れているし。


それにパソコンも、だ。

俺も手伝わされた。

だけど.....まあこういうのも悪くないか、と思ってくる。

それは山根のせいかもしれないけど、だ。

全くコイツのアホさには呆れる。


「取り敢えずは空き教室に隠そうと思う。.....屋上側の」


「.....お前な。これバレたらマジやばいからな。警備員とか居るんだぞ」


「.....当たり前よ。.....その点は知っているぜ。.....警備員の動きとかな」


「.....知ってんのが怖いわ.....」


警備員の動きを何で把握しているんだよ。

何処で知ったんだよ、と思う。

すると山根は、ツテがあるんだよそれなりに、と笑顔を浮かべる。

コイツ最低.....。

思いながら俺は苦笑する。


「ハッハッハ。有能だろ?」


「単なる馬鹿の極みだろ。.....全くお前は」


「ハッハッハ。青春だな」


言いながら空き教室の鍵を掛ける。

流星作戦まで残り4日か。

しかし.....それまでに退院出来れば良いけどな夕日が。


思いながら俺は夕焼けの空を窓から見た。

今日も行かないとな。

絶対に.....夕日が悲しむし。


「今日は俺の番だったな」


「.....そうだな。お前の番だが.....嫌だったらキャンセルしても良いぞ。都合の悪い事とかあるだろ」


「ノープロブレムだぜ相棒」


「.....そうかよ。.....んじゃ一緒に来てやってくれ」


「あったり前よ。俺の好きな人の側に居れて相当に嬉しいわ」


「.....そうかよ.....」


山根はニヤッとしながらそのまま廊下を歩き出す。

俺と一緒に、だ。

それから下校してから夕日の居る病院に向かい。


病室に向かうと.....夕日が起きていた。

大谷さんまで居る。

そして、あ。山根さん。お兄ちゃん、と声を掛けてくる。


「おす」


「.....元気か。夕日」


「うん。バリバリ元気だよ。.....ゴメンね。.....色々と迷惑を掛けて」


「.....掛かってないぞ。.....大丈夫。みんな支えてくれているから」


大谷さんが、愛しいお兄ちゃんが来てくれて良かったわね、と笑顔を零す。

だけど夕日は、手間が掛かる兄ですけどね、と苦笑い。

いやいや何言ってんのよ、と思いながら山根を見る。

山根は笑っていた。


「.....ったく夕日。お前早速毒舌だな」


「うん。だって本当でしょ?アハハ」


「冗談はキツい。その冗談は」


「アハハ。良いご兄妹ね。やっぱり」


さて。私は帰りましょうか、と腰を上げる大谷さん。

用事があるからね、と言いながら。

俺はその姿に、有難う御座いました、と頭を山根と共に下げる。

大谷さんは、じゃあ.....あのフルーツ。みんなで分けて食べてね、と指差す。


その方角に途轍もない量のフルーツが。

俺は、え!?あんなに.....、と絶句したが。

大谷さんは、だって夕日ちゃんだし、と笑顔を浮かべた。

そして真剣な顔になり、心配だったから、と言う。


「.....でも元気そうで良かったわ。.....夕日ちゃんが仮にも」


「.....はい.....昨日目覚めたんですけどね。深夜に」


「.....そう。.....あ。貴方も無理はしない事。夕くん」


「.....俺は大丈夫っすよ。.....夕日の為なら」


「駄目よ。無理は禁物」


それはお姉さんとの約束。

と言いながら人差し指を差し出してくる。

すると.....胸の谷間が見えた。


俺は赤面しながら居ると。

夕日と山根がジト目で俺を見ていた。

咳払いする。


「約束ですね。.....分かりました」


「宜しい。.....じゃあ私は帰るわね」


それから大谷さんは手を振って帰って行った。

俺達はその姿を見送ってから。

何を話していたんだ?、と夕日を見る。

夕日は、恋バナだよ、と笑顔を浮かべた。


「.....大谷さんの恋バナ」


「.....そうか」


「.....」


山根が少しだけ青ざめていたが。

大谷さん、と聞いてホッとしていた。

すぐ表情に出るよなコイツの感情、と思いながら苦笑する。

それから夕日を見ると。

夕日は窓から空を見ていた。


「.....私も元気だったら普通の恋愛が出来たのかな」


「.....夕日.....」


「.....出来るっすよ」


山根が赤くなりながらそう言った。

俺は驚きながら山根を見る。

すると山根は一歩前に踏み出してから真剣な顔をする。

そして夕日の手を片方の手で握った。


「俺は恋愛出来るって思ってます。今の身体でも」


「.....それはどうかなって思いますよ。.....私は.....誰も求められていませんから。こんな身体じゃ.....妊娠も出来ないと思うから」


「.....俺はどんな身体であっても.....貴方を魅力的な女性と思っています」


「.....え?」


夕日は目を丸くする。

え!?もしやこれって告白するの!?、と思ったが。

山根は笑みを浮かべるだけで言葉を続けなかった。

流星作戦.....楽しみにしていて下さい、と言うだけで、だ。

肝心な所で留保するなよ.....。


「.....山根さんどうしたの?」


「.....まあ男には色々あるんだよ」


「.....???」


目をパチクリしながら夕日は手を離した山根を見る。

山根は、それはそうと何か食べましょうか、と何かを隠す様に彼方に向く。

俺はそんな姿に盛大に溜息を吐いた。

それから、山根。恥ずかしいならやるなよ、と言う。


「ウルセェ。男が廃れる」


「.....意味が分からん」


「.....アハハ。山根さんおかしい」


「ハハハ」


だけどこれで揺さぶりを掛けたな。

思いながら山根を見る。

本気で想いが伝われ、的な感じだ。

俺はその姿を真剣な顔で見ながら.....流星作戦を待つ。


それから2日経った日。

丁度.....土曜日なのだがお見舞いにうさぴょんさんとクロックが来た。

連絡したのだがあっという間に、だ。

まさかうさぴょんさんが来るとは思わず少しだけビックリする。

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