全てが分かった今

第12話 俺達の距離

いーちゃん。

その名前は.....俺は今までずっと男と勘違いしていた。

だけど.....目の前に現れた、いーちゃん、は女の子で.....しかも俺のコンビニに毎日来ていた、という事になる。

どうなっている.....。

完全に男だと思っていたのに.....!?


「いーちゃん。.....どうなっている?今まで何故.....黙っていたんだ!?」


「.....ゴメンなさい。.....私.....」


「それは私が解説します」


林檎ちゃんが驚いている俺達に柔和に言葉を発した。

それから.....俺を特に見てくる。

そして林檎ちゃんは、隠していたのは悪かったです。.....お姉ちゃんですが男の子になっていたのは理由があります。私を守る為でした、と言ってくる。

俺は驚愕して見る。

すると燕ちゃんが話した。


「どういう事ですか?」


「.....私がイジメを受けていたから。.....お姉ちゃんは強く居たんです。家でも外でも。だから.....私の為に.....」


「.....そういう事か。だから.....」


それで男の様な格好をして.....居たんだな。

でも何故今の今まで俺に隠していたんだ.....?

思いながら俺は.....いーちゃんを見る。

いーちゃんは、言い出せなかったから、と言葉を発する。

そして俺に対して赤面した。


「私.....言い出せなかったのは.....どうしても貴方に知られたくなかったから。久しぶりの出会いに.....恥ずかしかったからです。緊張するから.....」


「.....そうなんだね。だから君は.....」


「私は.....だからどうしても知られたくなかった。.....君には、です」


すると夕日が首を傾げて話を割って入ってきた。

それって.....、と言いながら、だ。

夕日が?を浮かべている様に見える。

そして.....夕日は言った。


「でもちょっと待って下さい。どうしてそんなに知られたくなかったんですか?」


「.....そ.....それは.....」


いーちゃんは黙ったまま何も言わない。

確かに気にはなるが.....。

だがその途中で言い出さない事にハッとした夕日が、分かりました、と言いながらすごすご言い淀む。

燕ちゃんも納得した様な感じになっていたが.....。


俺だけが納得いかないのだが.....聞かない方が良いよね。

思いつつ俺は押し黙った。

林檎ちゃんといーちゃんは顔を見合わせて、有難う、と言う。


俺だけが何も知れなかった。

うーん.....。

でも聞かない方が良いよな、本当に。


思いつついーちゃんを見るが。

いーちゃんは笑顔を浮かべてから答える。

赤くなったまま、だ。


「そういう事です.....!」


「.....いや。うーん.....でも秘密は秘密だよね。分かった。.....追及はしないよ」


「有難う御座います」


それから俺は笑みを浮かべて頷いて立ち上がる。

そして、トランプでもしようか、と提案する。

良いですね!、とみんな納得した様に見てくる。

でもまあ.....夕日の体調は配慮しないとな。


思いつつ俺はいーちゃんを見る。

いーちゃんは俺を見て笑顔を浮かべる。

しかし男の子が実は女の子だった.....か。

衝撃的だよな。


「あの」


「.....どうしたの?いーちゃん」


「.....もし良かったら昔みたいにはっちゃんって呼んで良いですか?」


「.....え。いや.....まあ良いけど.....恥ずかしい」


「私は恥ずかしくないです。.....だってはっちゃんははっちゃんだから.....」


はにかむ様な笑顔に俺は少しだけ赤面する。

俺はその言葉に少しだけ赤面した。

困ったもんだなこの笑顔は。

普通の.....男子なら惚れているだろう。

美少女の笑顔だしな。


「.....はっちゃん」


「.....何かな」


トランプを出しながら。

俺は呼ばれたので振り返る。

その聞いたけど恋愛で悩んでいるの?、といーちゃんは聞いてくる。


俺はその言葉に手が止まる。

そして、そうだね、と答える。

周りが少しだけ暗くなる。


「俺はもう恋愛はしないよ。.....そう決意したんだ。.....でも何でそれを聞いてくるの?」


「.....な、何でもないです。アハハ」


「.....?」


夕日も燕ちゃんも少しだけ複雑な顔をした。

俺はその子達の姿に、ああ。そうか、と納得する。

それからトランプを置いた。

そして、いーちゃん、と向く。

いーちゃんは、は。はい!、と緊張の顔をする。


「俺の事考えてくれているんだね。.....心配してくれているんだね」


「.....うん。心配しています。とても.....」


「.....ゴメンね。傷付いた記憶は.....治らないから。.....でも君達の前では笑顔で居るから」


「.....そんなの必要無いです。.....泣きたい時は泣いて下さい。はっちゃん」


「.....君は相変わらずだな。.....背後に見えた。.....君が男の子だった時の姿がね」


「私は.....本気で心配ですから。.....お願いです」


「.....分かった。そうするよ。有難うね」


ホッとする.....いーちゃん。

俺はその姿を見ていると。

あーあ、と声がした。

?を浮かべて燕ちゃんを見る。


「私は.....勝てないですね」


「.....勝てない?.....それはトランプが?」


「.....違いますよ。.....今はこの気持ちを言えないですがいつか.....分かりますよ」


「.....?」


俺は目をパチクリする。

そして燕ちゃんは苦笑して夕日と林檎ちゃんと見合った。

夕日も納得してから苦笑する。


林檎ちゃんもハッとしたが.....納得した。

何か謎が.....多いもんだな。

一体何故か知らないけど、だ。

だけどそこには.....重要な意味が込められている。

そんな感じはした。

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