熱くね?(色々な意味で)

第6話 雨が降り出す中で

危ないんだが。

簡単に言ってしまうと俺はキスの態勢になっていたが.....首を振ってから煩悩を打ち消して直ぐに彼女を離した。


この状態は非常に危険すぎる。

直ぐにでも家に帰さないと、と思ったのだが。

外からかなりの音がする。

雷とか雨とか。


ざー.....。


「.....そういえば.....雨ですかね?」


「.....マジか.....大雨なのか?」


俺達はビックリしながら外を見る。

確かに雨が降っている。

何時の間にか、だ。

俺は.....かなり困惑する。

何故このタイミングなのだ?

この雨では帰す訳にはいかないんだが。


「.....嵐になっちゃいましたね」


「.....何でそんなに嬉しそうなの.....」


「だって.....その.....」


「.....はぁ.....帰れないのは事実だな。このままだと」


「そうですね。.....はい」


その中で俺は佐藤さんの自宅の電話番号とお婆ちゃんが居るそうでそちらの電話番号も聞いた。

両方に電話する。

その事でこんな返事が返ってきた。


片方は親父さんが居ないから分からない、と。

片方はお婆ちゃんが留守だと。

俺は更に困惑する。


「.....こんなもんですよ。親は。.....妹に対しても」


「.....妹が居るの?」


「.....はい。小学生の妹が居ます。.....彼女も家を出たいって言っています。.....宿題の関係でタイミングが合わずに祖母の家に置いてきちゃったのが.....後悔です」


「.....そうなんだね」


「.....私は.....その妹を私が引き取ってから.....2人暮らししたいって思っています。.....だから早く大人になりたいんです」


言いながら意気込む.....佐藤さん。

俺はその姿に、そうなんだね、と言う。

彼女は、そうです、と頷いた。

それから俺を見てくる。


「.....私の代わりに祖母が守ってくれると思います。.....今日の所はとにかく大丈夫だと思いますが.....」


「.....明日になったら直ぐ帰る?」


「.....はい。.....不安ですので。.....明日も学校なので」


「.....お婆ちゃんとは仲が仮にも良いんだね」


「.....はい。毒親から守ってくれます。.....最高の祖母です」


言いながらも。

でも何時までも祖母に頼れません。

と真剣な顔をする。

俺はその姿を見ながら、そうだね、と真っ直ぐに佐藤さんを見る。


佐藤さんは、そんな時に貴方に出会った。.....私は幸せ者です、と笑顔を浮かべる。

また肝心な所でそう言ってくるから。

ドギマギせずに居られない。


「私は.....羽鳥さん。.....貴方があの場所に居た。それも運命だと思ってます」


「.....何でそんなに俺に向いているの?君は」


「.....簡単です。.....私は.....」


いえ。

やっぱり止めておきます。

と肝心な所で話を切る様にして俺にはにかんだ。

今は忙しいですから。私も羽鳥さんも、と言ってくる。

俺は?を浮かべながらも、分かった。君がそう言うなら、と聞かなかった。


「.....でもどうしましょう。私」


「.....もう泊まるしか無いんじゃないかな」


「.....ですかね.....?」


そうしていると。

ドアが、ギギギ、と開いた。

それから、お兄ちゃん?誰と.....、と話してから固まる夕日を見た。

夕日は、お。お兄ちゃん。変態?、と聞いてくる。


「.....違うからな。何を勘違いしている」


「.....だって.....お兄ちゃんが.....女の子.....連れ込んでいる!」


「コラ。そんな事言わない」


「.....じゃあどちら様?」


すると佐藤さんは正座したまま律儀に妹の方を見てから頭を下げる。

そして笑顔を浮かべた。

それから佐藤さんは、初めまして、と笑顔を浮かべる。

目をパチクリする夕日。


「.....は、初めまして」


「.....私は佐藤苺です。お兄さんの事はお伺いしています。.....良い人ですよね」


「あ。分かります!?私のお兄ちゃん.....格好良いですよね!」


何だか初めてなのに意気投合している様に見える。

俺はその姿にホッとしながら、うむ、と思いつつ少しだけ口角を上げる。

今日。嵐だから泊まって行くんだ、と夕日に向く。

夕日は顎に手を添えた。

それから目を輝かせてから佐藤さんを見る。


「じゃあ.....一緒にお風呂に入らないですか!?」


「.....え?.....良いの?」


「.....はい。.....私.....同じぐらいのお年の女の子とお風呂で語り合うのが夢だったんです。ずっと.....。だから嬉しいんです」


「.....そ。そうなんだね.....」


「.....でも.....苺さん.....その。何だか.....初めて出会った感じがしないですね♪」


「.....え?.....いや。き、気のせい.....だと思うけど.....」


佐藤さんは顔を引き攣らせて困惑する。

初めて出会った感じがしないって?

俺はビックリして思いながら.....佐藤さんを見る。

佐藤さんは横を見る。

ん?どういう事なのだろうか.....。

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