第91話 やる時はやる
「話が進まないので、これくらいにしておきましょうかね」
リーリアの攻撃が終わったもよう。
さすがにケビンが可哀想になったので、助けます。言ってくれてちょっと助かったし。
「えーと、自覚はわりと早く。だけどフィリアナさんがどう思ってくれているかに自信が無くて。後、私の今後がどうなるか怪しいでしょ」
さっきまでの表情が嘘のように優しい顔でリーリアが聞いてくれるので、気持ちを話しやすかった。
わざわざ学園に呼んだケビンには悪いけれど、最初からリーリアに相談すれば良かったかも。
いやでもちゃんと側近から話さないとね。ん? 普通は両親か?
「まずはフィリアナ様の意志確認ですね」
「それはわかるんだけどさぁ、私が王太子から逃げられなかったらと思うとね。フィリアナさんは伯爵家を継ぐ気だし、そうなった時にお別れとか跡継ぎを諦めてとか言えない……」
「そうは言っても、フィリアナ様の意思確認が重要です。もちろん、以前からライハルト様が希望されていたので、城から離れる準備は進めてはいます。具体的な要望の方が、今後やりやすくなるのは確実ですよ」
リーリアのこの言い方って、まさか。俺が動けば既にどうにか出来る状態ってこと?
リーリアの顔を真っすぐに見たら、にっこり微笑まれた。そうか……。当たって砕けろなんですね。既に色々準備してくれているのか。
「わかった。当たって砕けて来る」
「砕けないで下さい」
急に復活したケビンがうるさい。気になったので、ケビンに段取りの説明をしてもらった。
「クールベ殿下が、王太子をやる気になっています」
「叔父さんが!? ちょっと意外」
そんな雰囲気は今まで感じたことが無かった。
「婚約したいと思っていた女性が非常に優秀な方で、考え方も変わったようです」
「へぇ~。相手の人が王妃に興味があったの?」
「そういう訳ではないのですが、まぁその辺は色々とありまして」
濁された。叔父さんが俺の境遇に同情したのかな?
後はまだ俺を王太子にする気があるらしい父上を、叔父さんと説得するだけだと教えてもらった。
後日、どうせバレバレだと言われていたので周囲に協力してもらって、応接室にフィリアナだけに来てもらった。
女性と最初から二人で会ったのを知られると後々面倒なことにもなるので、シェリーは遅れて来ると言ってくれている。
本当はすぐ後にゴードンたちと来て、周囲には既に俺の部屋に入っているフリで、廊下の先の熊さんの所に留まってくれているはず。
「あれ? ゴードンさんたちは?」
フィリアナが来た。緊張で手汗が凄いことになっているんですが。
「えーと、私がフィリアナさんと二人にして欲しいって頼んだんだ」
フィリアナは鈍感ではないので、これで全てを察した様子。
実際は全く二人ではなく、リーリアは気を利かせて奥にいるだけだし、熊さんは離れてはいるけれどがっつりいる。
公開告白の気分です。だけれど男は度胸! そうだよね、前世の姉ちゃん!
「今の段階で言っていいものか悩んだのだけれど、私はフィリアナさんが好きです。婿入りさせて欲しいと思っています。固有名詞がなかなか覚えられないけれど、伯爵家を継ぐフィリアナさんの力になりたいと思っています」
「……」
ううーん。返答までの時間が長く感じる。この世界、付き合うっていうのは婚約することで、婚約するってことは結婚するってことで……。
「……はい、喜んで! 私もライハルト殿下が大好きです!」
満面の笑みで言ってくれた。
やったぜ! 思わずフィリアナに駆け寄って抱き着いてしまい、慌てて出て来たリーリアに怒られた。
まだ正式に婚約も出来ていないのに、抱き着いてはダメでした。嬉しすぎてつい。フィリアナも嫌がらなかったし。
二人でにっこにこしながら、廊下で熊さんと待ってくれていたシェリーたちを呼び、皆に報告した。青春!!
「だけど殿下、王太子はどうすんのさ? 確実に辞退できるの?」
カールからの質問。鋭いです。
「元々王太子は嫌だと周囲にも伝えていたから、準備はしてくれていたし、本格的に動き出すだけみたい」
「そっか。踏ん張りどころだな」
カール。
「まぁそうなんだけれど、私は同席しない方が話がスムーズだからって言われちゃって。大人たちだけの話し合いになるみたい」
当事者が蚊帳の外ってどうなのって思うけれど、王子だからそんな感じになるのは当然らしい。
「そう。なら良かったね」
詳しく言えないことを察してくれたエヴァンが話を終わらせてくれたのだが。
その後散々皆にからかわれた。これもまた青春なので許す。
自分の将来なのに話し合いが丸投げでいいのかとやっぱり思って、もう一度同席すると言ってみたが、はっきりくっきり邪魔だと断わられた。
フィリアナとも細かく今後の話をしなきゃなぁと思っていたら、フィリアナは先にリーリアから色々聞いていたと発覚した。
俺の知らないところで皆どこまで動いてくれているの!
しかもフィリアナがそっと教えてくれたのだけれど、たまたま俺が婿入り先を探していると知ったフィリアナが、自ら立候補してくれていたそう。
だからリーリアがずっと影に日向に応援してくれていたらしい。感謝。
「私がライハルト殿下にアピールするので、他の令嬢を探すのは待って下さいとリーリアさんに直談判しました」
誇らしげに胸を張りつつも、真っ赤になって教えてくれたフィリアナが今日も絶好調に可愛いです。
うっかり抱き着いたら、またリーリアに怒られた。だって可愛いし、愛おしいんだもん。止まらない。
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