第32話 おまけ 俺の周囲の人たち

 俺の護衛は近衛騎士第三部隊が担当している。隊長さんは俺が産まれた時から護衛してくれているベアード。見た目も熊さん。

 護衛は室内、扉前、窓などに常にいる。俺の担当はかなりの人数がいるらしいが、全員の把握は出来ていなかったりする。ごめんよ。


 その中でも私的スペースの建物内にまで入れるのは二十人くらいで、さすがにこの人たちの顔はわかる。

 建物内に入れる人、壁の内側まで、準私的スペースまでと、立ち入りできる区域が人ごとに分けられている。


 最初は見た目が皆茶色で顔も目元しか出ていなかったせいで、誰が誰だか覚えられなかった。


「ライハルト殿下の護衛の熊さんたちですよー」

 そんな俺を全く気にしない乳母アリシアの言葉で、全員が熊さんになった。


「はいっ、熊さん一号ベアードです!」


「二号です!」


「三号です!」


 皆ノリも良かったので熊さんで落ち着いたのだが、毎回名乗る時に自分の名前を付けくわえていたベアードだけ直ぐに名前を覚えた。

 そのことに、他の護衛が後悔と共に嫉妬したとかしないとか。今はお互いにけん制し合って、皆大人しく熊さん号になっているらしい。


 侍女は王子なので少なく、アンナ、ニコール、ナタリー、リーリアの四人。母上は十人以上いるらしい。アンナの師匠以外は把握していないが。

 本来は身近な人たちのはずなのに、把握できていない人が多いな、俺。弟に関しては、正直周囲の人を誰も知らん。見たことあるな程度。


 一日のスケジュールは八時起床。俺は朝が弱めで、アンナは言葉で厳しく、ニコールはボディプレス、ナタリーはくすぐり、リーリアは激し過ぎる揺さぶりで起こしてくれる。個性豊か。


 朝食を食べて身支度を整えたら準私的スペースへ移動。侍女はだいたい三人体制で、一人が付き添い二人が部屋の掃除などへ回る。

 十時に授業開始。十二時半に昼食、夕食は十九時から。合間のお茶休憩だけはまぁまぁ自由だけれど、それ以外はきっちり決められている。

 朝と夕方には散歩の時間まである。


 夕食は両親、弟、叔父さんも揃っているが、そこにだいたい重鎮付き。どっかの部門長とかお偉い貴族様とか。フォード卿も何度か招待されている。

 仕事の会話が多いので、正直静かに食事に専念する時間になっている。


 後は一年は三百六十五日で前世と同じ。数えで十三歳から入学する学園があるが、それが秋入学なくらいで、他は基本同じ。

 学園は三年間で数えの十五歳で卒業、十六歳で大人と見做される。結婚出来るのもこの年齢から。


 大体跡継ぎが領地のあれこれをして伴侶が家の采配をするらしいので、もし俺が婿入り出来たら家の采配がメインのお仕事。

 まぁ、実際はそんなに単純ではなく、嫁も婿もそれなりに領地のあれこれが出来ないとダメ。


 病気もあるし、女性には妊娠出産、男性も今は無いけれど、戦争が起こったら駆り出される。

 跡継ぎ云々煩いけれど、その辺は臨機応変。


 けれど血筋にはとても厳しい。直系相続と決まっており、偽りは許されない。直系の血筋なら養子にも出来るが、該当者がいなければ断絶。

 まぁ男女問わずの直系なので、余程の不運が重ならない限り大丈夫。その為、嫁の不貞は絶対に許されない風潮。愛人がいたりするのが発覚すると、過去に遡り徹底的に調べあげられる。


 でもこれにも抜け道。結婚したはいいものの、お互いの愛情やらが無くなった時。子どもの為に家の為に結婚を継続する夫婦が多い。

 その時はお互いにもういいよね? って書面を交わしていれば愛人を持つのは自由。


 男が当主の場合、外の女性と作った子どもは例外なく籍に入れられない。Web小説でよくある愛人の子どもが家に来る、は無い。

 女が当主の場合、一部の例外を除き夫との子どもが優先される。どうにもならない事があり、さらに他に直系がいない時限定。


 跡継ぎを偽ることになるので、義兄弟姉妹間での浮気にも厳しい。大人になってからの発覚だと、特にヤバい処罰になるみたい。

 小説で弟とカリーナがお互いに初恋だったで許されたのは、小説のライハルトがやらかしたからギリギリセーフ? ちょっとどうなんだろう。


 ちなみに婚約者が早く決まるのは稀。国の政策が絡む政略結婚が多いみたい。後は将来の有望株抑えがちょっとあるくらいらしい。

 どれも中枢に関わる貴族が中心で、ほぼほぼ恋愛結婚。爵位の身分差とかは気にされない。

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