第19話
「(なんでここに夏帆がいるんだ!?)」
寝起きなのに加え、今まで経験したことのない状況に置かれたことで、脳はバグる寸前の状態だった。
とりあえず俺に抱きついている夏帆を剥がそうとするが、かなり強い力で抱きついているようで中々離れない。
そして剥がそうとすると必然的に身体に触れなければいけないわけで、女子と付き合ったことのない俺にとってあまりに刺激が強すぎる。
抱きつかれている時点でもう触れているのだが、そんなことにも気付かないほどに動揺していた。
さて、しかしどうしたものか。
この状況下で夏帆が目を覚ました場合、叫ばれたりするのではないか?
そうするとその声で父母が心配してやってくるかもしれない。
そしてこの状態下で罪に問われるのは、どこからどう見ても俺なのでは?
ヤバいぞ……ほんとに……。
しかし、このまま放置しても何も変わらないのは事実である。
あとは神に祈るしかない。
アーメン、どうか哀れな子羊をお救いくださいな。
そんなとき俺に抱きついていた夏帆が身じろぎした。
身体の触れている部分から感じる女の子特有の柔らかさ?に、思わず赤面してしまう。
もう起こした方が良いのだろうか。
そう思い肩を叩こうとしたとき、目が合った。
ん?目が合った??
あれ?起きてらっしゃるじゃない……。
オーマイガー……。
徐々に口が開いていく夏帆。
あ、これ悲鳴を上げられるやつだ。
父さん、これ叙情酌量の余地ありますよね?
俺は全てを諦め目を閉じた。
そんな俺に夏帆がかけてきたのは、
「ん、おはよ」
「ん?……おはよ?」
「うん……それじゃ」
そう言うとゆっくり夏帆は起き上がり、のそのそと俺の部屋から出て行った。
え?今の何だったの??
悲鳴を上げられなかったのは良かったのだが、予想外の連続すぎて状況についていけていない。
俺はまだほんのりと義妹の温もりが残るベッドの上で、しばらく唖然としていた。
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