第18話
今言われた言葉を理解するのにはとてつもなく長い時間を要した。
まさか、引っ越してきた日の翌日、まだ片付けや準備すらできてないであろう時期に学校通い始めることになると思うか?
たしかにサッカー部に早く入って、練習に参加したいという気持ちはあった。
しかし、これとそれとは話が違うだろう。
まだ物の準備も、心の準備も出来てはいない。
「いや、それ初耳なんだけど。何の用意もできてないよ?第一、制服とかどうするの?」
「それなら問題ない。ほら、お前のサイズのものはもう用意できてるぞ」
そう言って父は隣の部屋から新品らしい制服を持ってきた。
え?仕事早すぎない?
「どうやら先生曰く、教科書は無くても大丈夫なようにプリントのコピーなりで対策してくれるそうだ。定期テストも近いし、なるべく行っておいた方が良いぞ」
そういえばもうそんな季節か。
定期テストでこけて、留年なんて恥ずかしい真似は出来ない。
俺は渋々ではあるが、早速明日から新しい高校に通うことに決めた。
「じゃあ、夏帆ちゃん。慎二を学校まで案内するの、頼んでも良いかな?」
「わ、わかりました!じゃあ慎二、明日の朝は7時半に出るからね!寝坊しちゃダメだからね!」
「おっけー、夏帆。今日は最低限用意したら早く寝ることにするよ」
「あらあら、2人とももう大分仲良くなったみたいね。じゃあ慎二くんも夏帆のことよろしくね」
そんな暖かい雰囲気で1日は終わった。
初日から遅刻なんて出来るはずもないし、今日は早く寝ないとな……。
そう思い、まだ日が変わる前に俺は自室のベッドで眠りについた。
そして翌日。
何か身体に重量を感じ、目が覚めた。
ん?なんだこれ??
何か柔らかくて大きなものが身体に乗っているような……。
寝起きでまだぼんやりとしている目を擦る。
そして視線を下ろすと、そこには俺に抱きついてすやすやと眠る義妹の姿があった。
「はぁっ!!!!!?????」
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