第17話
まだ色々と謎が残ってはいるものの、トロフィーの件については一件落着ということで良いだろう。
そして俺は元々シャワーの用意をするために部屋に戻ってきていたのだ。
もう少しで新しい家族が揃った初めての晩ごはんであり、あまり長時間待たせるわけにもいかない。
「じゃあ、夏帆さん。俺は今からシャワー浴びて来るから」
着替えの服やタオルを用意しながら、俺はそう声をかけた。
しかし義妹はまだ座ったままであり、その場から動く気配はまだない。
まぁ、良いかと思い部屋を出ようとしたその時だった。
「待って!」
不意にかけられた一言、俺は振り返った。
そこには立ち上がり、こっちを見つめる義妹の姿があった。
「本当の兄妹になるんでしょ?敬語はいらないし、私のことは夏帆って呼び捨てにして?あと、し…慎二って呼んで良い……?」
突然言われたことに驚いてしまう。
しかし、それ以上に新しい家族として、兄妹として歩み寄って来てくれているようでとても嬉しかった。
今まであまり異性のことを下の名前を呼び捨てで呼んだことなどあまりない。
緊張は多少あれど、今の俺にとっては嬉しさの方が勝っていた。
「あぁ、もちろん!改めてこれからよろしくね、夏帆」
そして俺はシャワーを浴びるため部屋から出た。
その後、義兄の部屋で名前を呼ばれて嬉しくなり、床を転げ回る義妹の姿があったような無かったような……。
シャワーを浴びた後、家族4人揃って晩ごはんを食べた。
今日作ってくれたのは春乃さんだった。
メニューはメインが唐揚げ、他にも色々な料理が所狭しと並んでいる。
そして父さんと春乃さんはビールの缶を持ち、俺と夏帆はジュースの注がれたコップを持つ。
「じゃあこれからよろしくお願いしますってことで乾杯!」
父さんのそれを合図として食事が始まった。
そして唐揚げを食べた瞬間、
「「うまい!!!!」」
俺と父さんの声がシンクロした。
味の濃さはちょうど良く、外はパリッと、中はジューシーというよく聞く美味しい唐揚げの条件を完璧に満たしている。
本当に信じられない美味しさであり、店に出しても全く問題のないレベルである。
これがこの後毎日のように食べられると考えると、これからの食事が楽しみで仕方ない。
ほかの料理も同じようにどれも本当に美味しかった。
こんなに食べるのは久しぶりというくらいに食べ、腹が膨れた時に突然父さんから声をかけられた。
「そういえば慎二、明日から新しい学校だが用意はできてるのか?」
「……は????????」
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