第15話
私は今、猛烈に緊張していた。
次に義兄が口を開いたとき、私のこれからが決まるからである。
もしかしたら許してもらえず、母は再婚を逃すかもしれない。
あるいは許してはもらえるが、暴力を受けたり、性的な嫌がらせなどを、受けることになるかもしれない。
しかし、たとえどんな結果になろうとも私は全てを受け入れることしかできない。
それが私の犯した罪への罰、贖罪であり、誠意の証明だからだ。
そして少しして義兄が口を開いた。
私は目を閉じ、何を言われても受け入れるという覚悟を決めた。
「今回のことは許すよ。けどその代わりに1つお願いがあるんだ」
どうやら許してもらえるらしい。
これで大好きな母に迷惑はかけなくて済む。
あとはどんなお願いだろうと聞くだけである。
目を開け、義兄と目を合わせる。
こんな状況だというのに、近くにイケメンの顔があるだけで身体は反応してしまうもので、ゴクリと喉が鳴ってしまった。
しかし、その後に続く義兄の言葉は、私の想像からは大きく外れたものであった。
「俺と家族になってほしいんだ」
え???????
家族になって欲しい??????
私たちは既に親の再婚によって兄妹という関係の"家族"になっているではないか。
まさか、それとは違う意味の家族ということだろうか?
義兄の言ったことを一瞬では理解できず、しばらく頭の中でその言葉を吟味していた。
そして気付いてしまった。
「(もしかして結婚して夫婦になるってこと!?)」
それに気付いてしまった瞬間、私の顔が急速に熱を帯びてくのを感じた。
だって仕方ないだろう。
こんなイケメンに急にプロポーズされたのだ。
結婚はお互いのことをよく知ってからというのが普通ではあるが、今私はこれを断れる状況では無い。
今私が彼について知っているのは、顔がいいこと、サッカーが上手いらしいこと、そして私を許してくれるほど優しくて心が広いということだけである。
そして何度も言うが私に断る権利などない。
つまり私の返答は最初から決まっているのだ。
「ふ、不束者ですが…よ、よろしくお願いします……」
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