第12話
「俺と家族になってほしいんだ」
俺が自分で言ったことではあるが、なかなかクサいことを言った自覚はある。
ただ、これから気まずい関係で義理の肩書きだけの兄妹として生きていくのは嫌だったのだ。
出来ることなら目の前の夏帆さんとも、もちろん春乃さんとも良好な関係を築いていきたい。
それにトロフィーのことはショックではあるが、原型が無いほど破壊されてたわけでもない。
例えこのトロフィーが無くなっても、俺の努力は無駄にはならない。
そしてトロフィーが欲しければ、更なる努力を重ね、明和高校で仲間になるであろうチームメイト達と成し遂げれば良いだけの話である。
そして多分俺の立場に父さんがいても、きっとこんな感じで怒ることはないと思う。
だから俺はこの条件を提示したのだ。
ただやはりこの台詞がクサいことにも変わりはなく、義妹から引かれてないからだけが懸念点だった。
顔面偏差値30の突然義兄になった人から急に「家族になろう」などと言われたら、流石の俺でも鳥肌くらいはたってしまうかもしれない。
恐らくあそこまで強い覚悟を決めていた義妹のことである。
どんなにキモい、怖いと思っていても了承はするだろう。
そして今後はその感情を押し殺し、俺との家族ごっこを演じるかもしれない。
そんな関係は嫌だった。
俺は反応を見るため、恐る恐る義妹の顔を見た。
するとそこには、俺の予想とは真反対の様子の妹の姿があった。
顔は赤面し、何故か恥ずかしそうに体をモジモジとしていた。
「(ん???????なんで?????)」
必死に脳みそを回転させてみるが、妹がまるで照れている様子になる原因がどこにあるか予想もつかない。
そんな時、義妹がゆっくり口を開いた。
「ふ、不束者ですが…よ、よろしくお願いします……」
……。
ん!?!?!?!?!?!?!?
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