第6話
「じゃあ誠二さんに慎二くん、荷物は置いて椅子に掛けてもらえるかしら?皆んなでゆっくりお茶でも飲みながら自己紹介でもしましょう」
「そうだね、春乃さん。じゃあ慎二、僕たちも座ろうか」
春乃さんと父さんがこの場を仕切る。
まだほんと少ししか見てないが、息ピッタリだなぁというのが分かる。
父さんが良い人との新たな出会いを見つけられてよかったな。
そして俺は父さんの隣、そして正面にはまだ名前も知らない妹さんがいる位置に座った。
そしてみんな席に着いたタイミングで自己紹介が始まった。
最初は父さんからである。
「じゃあ改めて、僕は風間誠二です。夏帆ちゃんは初めましてだね。色々な縁があって、春乃さんとこれからの人生を歩んでいくことにしました。不甲斐ないところもあると思うけど、そこは皆んなと支え合っていきたいと思う。これからよろしくね」
へぇ、夏帆って名前なんだな、この子。
正直にいうとそこしか頭に入って来なかった。
そして次は春乃さんの番だ。
「瀧本春乃です。これから色んなことがあると思うけど、お母さんとして慎二くんにもゆっくりでいいから、納得してもらえるように、認めてもらえるように頑張ります。お母さんって呼んでくれると嬉しいです」
それを聞いて思ったのは優しそう、ということだった。
俺には母さんとの記憶がない。
他の家庭やドラマ、アニメなどで母親という存在がどんなものなのか理解はしていた。
しかし見聞きしたものと実際に体験するものは違う。
この人はなんか安心できる。
漠然とだが、そんな気がした。
そしてついに俺の番がやってきた。
緊張で心臓は過去に類を見ないほどの早さでバクバクしているのがわかる。
少し震えながらも俺は自己紹介を始めた。
「風間慎二といいます。今年高校1年です。趣味はサッカーです。春乃さんと夏帆さん?とも仲良くできたらなって思ってます。これからよろしくお願いします」
俺はそんな風に締め括った。
無難だが、ここで変にテンパって余計なことをする方がまずいので、こんなもんで十分だろう。
これからみんなの事は知っていけば良いのだ。
そして俺の自己紹介が終わったという事は、残りは夏帆さん?だけである。
とりあえずそっちを見ると目線が合った。
その瞬間ふいっと目線を逸らされた。
「瀧本夏帆です。こ、これからよろしくお願いします…」
短い自己紹介だったが問題はそこではない。
俺、早速嫌われてない???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます