第187話 最後の手段
2巻が2月3日に発売します
よろしくお願いします。
===============
魔王の発した閃光に飲み込まれる――すると、どんどんと体から力が抜けていくではないか。
「なんだこれ……!?」
「ふははははは! この禁術――ゼロレクイエムは、装備品やアイテムの効果をなくすもの……! これでお前はもう終わりだな! アイテムが無ければなにもできないでくの坊が!」
「なんだと……!? っく……」
デスマダークの言うとおり、俺の武器や防具は粉々になって崩れ去った。
――バリィン!
「そんな……! 俺の装備が……!」
だが、俺には装備がなくてもこの肉体がある。
俺のステータスも、規格外なんだからな!
「うおおおおおおお! こんなもんで負けるかああ!」
俺は素手でデスマダークに殴りかかる。
だが――。
――ぽふ。
俺の攻撃はまったくもってデスマダークに通じていないようだった。
「そんな……」
「ふわはははははは! 攻撃力ゼロのロインよ! そんな攻撃ではきかぬわ!」
「俺のステータスまで……」
どうやらゼロレクイエムの効果は、アイテムで上げたステータスにも及ぶみたいだった。
ていうことは、今まであげたレベルも……?
いったいどういう仕組みかわからないが、恐ろしい術だ……。
俺は、どうすればいいんだ……!?
「そうだ……! 俺のスキルで……!
しかし、俺がスキルを唱えても、なにも起こらなかった。
まさか、スキルまで……?
俺は本当に力のすべてを封じられてしまったようだった。
「ふはははは! 憐れだなぁロインよ! 今まで散々貴様には苦しめられたが、こうなってみるとなにもできない小僧ではないか……!」
「っく…………」
俺は、また攻撃力ゼロの、なにもできない頃の俺に戻ってしまったっていうのか……!?
くそ……どうすればいいんだ。
「死ねええええロインよ……!!!! これで終わりだ……!
「っく……」
どうしようもないのか……!?
俺は避けることも、攻撃を受け止めることもできない……。
このまま殺されてしまうのか……!?
しかし、俺を攻撃から守ったのは、クラリスの盾だった。
「ロイン……! 大丈夫!? しっかりして!」
「クラリス……!」
そうだ。俺にはまだ、頼れる仲間がいるじゃないか……!
「ロイン、アイテムの効果が切れたくらいでなんなの! 私がここは守るから、しっかりして!」
「クラリス……でも、俺にはもう……」
「なにいってるの! 今までもピンチを切り抜けてきたでしょ! ロインになら、なんとかできるはず!」
「クラリス……」
クラリスは俺を信じて、俺に盾を張ってくれている。
だけど、俺にはもうなにもできない……。
それが悔しくてたまらない。
「ふははは! 女に守ってもらって、憐れだなぁ勇者ロインよ! その盾もいつまで持つかな!」
どうやらさっきのゼロレクイエムという禁術は、そう何度も撃てないようだ。
クラリスにはゼロレクイエムは使わずに、デスマダークは魔法攻撃を繰り返している。
さすがにあんな禁術、何回も使えたら反則だもんな……。
だが、たしかにクラリスの盾もいつまでも持つようなもんじゃない……。
くそ……俺がなんとかしなきゃなんだけど……。
「ロインさん、ここは俺が代わりに戦います! なにか作戦を考えてください!」
「アレスター……!?」
次に俺の前に飛び出したのは、アレスターだった。
アレスターは果敢にも、魔王デスマダークに剣で挑む。
「ふん! 元勇者のアレスターか……! 小癪な!」
「うわぁ……!」
しかしアレスターはデスマダークにいともたやすく振り払われてしまう。
くそ……仲間がこんなに戦っているのに、俺はなにもできないのか……。
俺は、また見てるだけか……?
「そんなのは……いやだ……!」
デスマダークに吹き飛ばされて倒れるアレスター。
俺はそんなアレスターから、武器を奪い取った。
「アレスター、借りるぞ……!」
「ロインさん……!? なにを……!?」
そんな俺の姿を見て、無駄なあがきだとあざ笑うデスマダーク。
「ふははは! そんな出来損ないの元勇者の武器を手に取ったところでなにができる! 貴様にはもう、手立ては残されていないのだよ! あきらめて死ねえ!」
だが、俺にはまだ一つだけ、試していないことがあるんだ。
「いや、まだ手は打てる――」
「なに……!?」
俺は、自分自身の心臓を、一思いに突き刺した――。
「ロイン……!? なにやってんの……!?」
「ロインさん……!?」
「っは……! 馬鹿め! 追い詰められて気が狂いおったわ!」
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます