第134話 魔の第三階層


 ステータスによって大幅にさらなる強化を得た俺たちは、さっそく第三階層へと突入する。

 階段を降りていくと、そこはさっきまでとはうってかわって、ダンジョンというよりはむしろ大広間のような感じだった。

 静謐な空間がそこには広がっていた。

 広間の中央には大きな魔法陣のようなものが描かれており、ただならぬ雰囲気をはなっている。


「おいネファレム……これは……?」

「ふっふっふ……ついにここまでやってきたか」

「って言ってもまだそこまで時間かかってないけどな……」

「う、うるさい! お前が予想以上に早く攻略しすぎなだけにゃ!」

「あ、噛んだ……」

「う、うるしゃい!」

「また噛んだ……」


 なんだかこのネファレムとかいうのは、みればみるほどに謎な生き物だな……。

 偉そうで歳をくったイメージと、けっこうポンコツなところがあったりかわいい一面があったりで、ギャップがすごい。


「それで……この大げさなエリアはなんなんだ……!?」

「ここは魔の第三階層だ……!」

「魔の第三階層……?」

「文字通り、ここが最終ボスの部屋といってもよい」

「おお……! ついにか……! でも早くないか? なんだかあっけないな……」


 先代勇者の残した試練というから、もっともっと長いものを想像していたが……。

 まあ、さっきネファレムの言ったとおり俺たちが早すぎるだけかもしれないな。

 本来であればもっとレアドロップアイテムを繰り返し掘ったり、いろいろ時間をかけてクリアさせる予定だったのであろう。

 だがまあ、ボス戦だけというのは手っ取り早くていい。


「ふっふっふ、余裕そうな顔だが、いつまでそうしていられるかな?」


 ネファレムはまるで敵キャラのように言った。

 こいつはマジでどの立場なんだ……。


「どういうことだ……?」

「いでよ! レジェンダリードラゴン!!!!」

「…………!?」


 ネファレムがそういうと、さっきの魔法陣から金色のものすごい強そうなドラゴンが生えてきた。


「グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 ドラゴンが吠えると、それだけで突風が吹き荒れ、足元がぐらつく。

 これまでに戦ってきたどのドラゴンとも違う、非常に威厳のあるドラゴンだ。

 これが……レジェンダリードラゴン……。

 古龍ともまた違った威圧感を感じる。

 こいつが先代勇者の残した最終試練というわけか。

 腕が鳴るぜ!


「さあ、レジェンダリードラゴンよ。このレアドロップ狂いに一泡ふかせてくれえ! そうじゃないとせっかく私が500年かけて用意した試練がなにごともなく終わってしまうううう!!!!」

「って、結局お前はそれかよ……!」


 試練はあくまで、魔王を倒せる勇者を育てるためのものだ。

 だから別に何事もなく終わるのならそれでいいじゃないか……。

 あきれながらも、俺は剣を構える。


「よし、いくぞ。クラリス、カナン!」

「うん!」「任せて!」


 俺たちはいっせいに攻撃を放つ!!!!


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」


 攻撃はみごとにレジェンダリードラゴンに炸裂!

 これにて瞬殺。

 そう思ったが――。


「グオォ……」

「なに…………!?」


 攻撃による粉塵の中からあらわれたのは、無傷のまま鼻息を荒くさせ興奮するレジェンダリードラゴンの姿だった。

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