第133話 ステータス覚醒

「ん…………? なんだ……? これ」


 そこには、なんとも見覚えのあるアイテムが落ちていた。


「これって……! ステータスの種じゃない……!?」


 カナンも俺と同じことを考えたようだった。

 そう、そのアイテムは以前に俺たちを大幅に強化してくれたあの、ステータスの種にそっくりな代物だった。


《攻撃力の種EX》

レア度 レジェンダリー

ドロップ率 ???

説明 攻撃力を飛躍的に上昇させる(ステータスカンストの影響を受けない)



「おおお……!!!! これならカナンとクラリスのステータスもあげられる!」


 カンストの影響を受けないということは、上がり切ったステータスをさらに上げることが可能ということだ。

 今までは上位装備に頼るか、レベルアップという方法しか、カンストを突破する方法はなかったわけだが……。

 これを使えば、ほぼ無限にステータスを上昇させることが可能というわけだ。


 先代の勇者もこのステータスの種を使ってステータスを上げたのだろうか。

 だとするなら、彼もまたレアアイテムには事欠かなかったわけだろうか?

 まあ、こんなダンジョンを用意してしまうような人物だから、どんな能力を持っていても驚きはしないがな……。


「ふっふっふ……ついに見つけたか! 第二階層はなんとステータス強化のためのフロアになっている!」

「なるほど……ここで強化して次の階の強敵に挑めというわけだな……!」


 というかネファレムは律儀に説明してくれるし、このダンジョンをクリアされたいのかされたくないのかどっちなんだいったい……。

 まあ、自分の思った通りに攻略してほしいのだろうな……。


「ま、まあ……ここまで一瞬で手に入れられると面白くないがな……」

「すまんすまん」


 ネファレムの想定ではもっと時間をかけて攻略してほしかったのだろうな……。

 まあ、その気持ちはわからなくもない。

 サイハテダンジョンで手に入れたアイテムのおかげもあって、ここでの時間は外部の時間とは切り離されているわけだから、時間はいくらでもあるしな。


「じゃあさっそくステータスの種をもっと集めるとするか……!」

「うん! そうだね……!」「よし、やろう!」


 俺たちはさっそく今手に入れたステータスの種を使い、強化を施した。

 そのあと三人で手分けしてフロア中のモンスターを狩りまくる。

 今まではステータス差のせいで俺しかまともに戦えなかったが、三人で攻略すると一瞬だった。

 ちなみに、今までだったら俺以外がとどめをさすとレアドロップアイテムはドロップしなかったが、なぜだか今になってカナンやクラリスの攻撃でもドロップするようになっていた。

 これは俺の運のステータスが上がったことによって、効果範囲が増えたのかもしれない。

 もちろん、俺がその場にいなかったら、二人にその能力はない。


「よし……! これでもう狩りつくしたかな」

「くぅ……お前たち攻略するのが早すぎだ……!」

「ネファレムの立場的には攻略が早いほうが喜ぶべきなんじゃないのか? お前は魔王を倒してほしいんだろう? 先代勇者の仲間だったんならさ」

「そ、それはそうだが……。それとこれとは話が別だ!」


 なんてネファレムに文句を言われたが、俺たちは早くも第二階層を攻略した。

 フロアに存在したモンスターをすべて狩りつくし、ステータスの種を集められるだけ集めたのだった。

 もちろんモンスターは時間が経つと復活湧きしてくる。

 そうじゃないと、俺以外はレアドロップアイテムを集めることなんてできないわけだからな。

 だが今回は、それすらも狩りつくしてしまった。

 もはやダンジョンに残っているこの階層のリソースは尽きてしまったらしい。

 すべてのステータスの種を集めきってしまったわけだな。

 まあ、ダンジョンの細かいシステムについてはネファレムしか知らないが。

 正直、ネファレムに話をきいてもそこは半分も理解できなかった。


「では、ステータスの種を分配しようか」


 そういえば、いつぞやもこうやってステータスの種をわけあったっけ。

 懐かしいような気もするが、あれからまだ一年もたっていないとはな。

 俺たちの最終的なステータスは以下の通りだ。

 それぞれの得意なステータスと、残りのステータスの種を考慮した結果こうなった。

 どうやらステータスの種EXは数値が固定されて上がるようなものではないらしい。

 それぞれ使用者によって上がる数値も全然ことなるようだ。

 よって、才能のないステータス値の種を食べてもその上昇幅にはマイナスの補正がかかったりする。

 俺の場合はレベルアップのせいもあってか、比較的満遍なくステータスを上げることに成功した。


――――――――――――

ロイン・キャンベラス(装備)

17歳 男

レベル 34

攻撃力 46M(+34M)

防御力 46M(+34M)

魔力  46M(+34M)

知能  46M(+34M)

敏捷  46M(+34M)

魅力  46M(+34M)

運   78M★(+34M)

――――――――――――

――――――――――――

クラリス・キャンディラス(装備)

17歳 女

攻撃力 12M

防御力 54M(+11300)

魔力  11M

知能  11M

敏捷  11M

魅力  27M

運   11M

――――――――――――

――――――――――――

カナン・ルブレージュ(装備)

18歳 女

攻撃力 24M(+750)

防御力 13M(+1700)

魔力  5M(+4500)

知能  11M(+3000)

敏捷  23M(+7000)

魅力  34M

運   17M

――――――――――――



「さあて、お次は第三階層だな……!」


 俺たちは次なる階層へと足を踏み入れるべく、階段を進んだ。

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