第六章 レベルアップ 編

第117話 休息


 久々にアルトヴェールに帰った俺は、サリナさんとドロシーに出迎えられた。


「サリナさん……! ドロシー! 久しぶりだなぁ……!」


 俺は二人をきつく抱きしめ、胸に顔をこすりつけた。

 ふんわりと石鹸のいい匂いがして、一気に疲れが癒される。


「ロインさん!? ど、どうしたんですか!?」

「ロイン……大げさだな……!」


 二人とも、大喜びする俺に、そういった反応を返す。

 俺からすればサイハテダンジョンにいた間、かなりの時間ふたりと離れていたわけだが……。

 二人からすれば俺と離れていた時間はそれほど多くなく、俺の反応が奇異に映るだろう。


「す、すまん……つい……」


 俺は慌てて二人から離れようとする。

 しかし、サリナさんもドロシーも、その大きな胸に俺を押し付けるようにして、さらに抱きしめてくる。


「ロインさん……甘えん坊ですね……! でもそういうところもかわいくて好きですよ! たまにはこうやって、思う存分私たちに甘えてください」

「そうだぞロイン。このドロシーちゃんに甘えるといい! お前のすべてを受け入れてやろう」


「サリナさん……ドロシー……!」


 俺は二人に抱きしめられて、たくさん癒された。

 そのまま二人は朝まで俺を放してくれなかった。

 クラリスとカナンはさっきまでずっと俺と一緒だったから、サリナさんとドロシーに遠慮したようだった。

 まああの二人もそれぞれ、休息をとっているのだろう。





※三人称視点



「はぁ……はぁ……はぁ……」


 情事にふけるロインたちの部屋の前で、のぞき見をしている人物が一人いた。

 それはカナンだった。

 彼女はつやっぽい顔をしながら、サリナやドロシーをうらやましそうに眺めている。

 カナンの手は無意識に自らを慰めていた。


「うう……ロイン……」


 そんなカナンの後ろから、またべつの人物がやってきた。

 薄い寝間着を着たクラリスだった。

 カナンはロインたちをのぞき見るのに夢中で、後ろからの足音に気づかない。

 そんなカナンに、後ろからクラリスが小声で話かける。


「ねぇ……なにしてるの」


「わぁ……っ!?」


 驚いたカナンが大声を出しそうになるも、クラリスが手でカナンの口を押え、制止する。

 まあそれでなくとも、サリナの嬌声でカナンの声はロインには聞こえなかったであろう。

 カナンは振り向いて、クラリスをにらみつける。

 カナンの顔は、クラリスに見つかった後ろめたさと恥ずかしさで、真っ赤になっていた。


「く、クラリスだって……こんなところでなにしてるのさ! そっちだって眠れずに、さみしくてロインの部屋に来たんじゃないのか……?」


「う……そ、それは……。で、でもね! 私たちはずっとロインと一緒だったから、我慢しないと」


 図星だった。


「そ、それはそうだけど……でも、体がうずいて眠れないんだもん……! クラリスだってそうなんだろ!?」


「わ、私はカナンがなにか余計なことをしないか見張りにきただけだもん……!


 クラリスとカナンはサイハテダンジョンでもずっとロインと一緒だった。

 だからクラリスはほかの二人に遠慮していたのだ。

 しかしカナンは頭ではわかっていても、気持ちを抑えられなかった。


 二人がロインの部屋の前で、そんなやりとりをしていると――。


 ――ガチャリ。


 急に部屋の扉が開いて、中から裸のロインが顔をだした。


「なにしてるんだ……? お前たち……」





「なにしてるんだ……? お前たち……」


 部屋の外が騒がしかったので、扉を開けると――。

 そこにはカナンとクラリスがいた。

 二人とも、俺たちの行為を盗み聞きしていたようだ。


「ろ、ロイン……!? これは……その……ちがうくて……」


 二人は慌てて言い訳を考えるが、俺にはすべてお見通しなのだった。

 まあこういう二人もかわいいところである。


「はぁ……いいから入れよ」


 俺は扉を開いて、二人を招き入れる。


「え……? いいの……?」


「ああ、もちろんだ」


「でも……サリナとドロシーが……」


 なんだ、そういうことか。

 やはりこの二人はサリナさんとドロシーに遠慮をしていたようだ。

 だが俺はみんなを平等に愛すると決めているし、この二人のことも放ってはおけない。

 いくら二人とはずっと一緒にいたとはいえ、二人に我慢させるようなことはしたくないのだった。


「サリナさんもドロシーも、疲れてしまってもう寝たよ。だからさっさと入れ」


「でも……ロインが疲れているんじゃないの……?」


 クラリスは俺のことまで気にかけてくれる。

 優しい子だ。


「俺は……大丈夫だ。二人と愛しあえるなら、疲れなんて気にならないさ。むしろ疲れが癒されるってものだよ」


「「ロイン……好き……」」


 それに、二人とずっと一緒にいたといっても、サイハテダンジョンはあくまでダンジョンの中だからな。

 こうやってベッドでゆっくり過ごすことは、二人とも久しぶりだ。


「さあ、早く入れよ。それともやっぱりやめておくか……?」


「ううん、入る……!」「私も……!」


 俺は二人をベッドに招き入れた。

 俺のベッドはちゃんと、5人で使ってもまだあまりあるほどの大きさだ。

 横でサリナさんとドロシーが寝ていても、問題なく使用できる。


「さぁ……夜はまだこれからだ……!」


 俺はたくさん、彼女たちに癒された。

 まあ、さっきはああ言ったが結構疲れたのは内緒だ。



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【あとがき】


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絶対面白いのでぜひ読みに来てください!


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