第107話 ボスラッシュ
竜殺しの騎士を倒した後、俺たちの前に現れたのは、またしてもボス部屋だった。
しかし、さっきの戦いで、俺は破龍のつるぎを手に入れて、攻撃力がさらに上がっている。
「よし! みんな、どんどんいくぞ!」
意を決して、扉を開ける。
そこには巨大なボストロールがいた。
「また強そうな敵だが……もう俺たちの敵ではない!」
「グオオオオオオオオオオオオ!!!!」
巨大なボストロールは、その大きな体で、俺たちの身の丈ほどもある棍棒をふるう。
今までならクラリスに盾で防御してもらっていたような攻撃だったが……。
今回は俺が前に出て、剣でそれを受け止める。
「ロイン……!?」
これが普通の剣であれば、俺はつぶされていたかもしれない。
しかし、破龍のつるぎは、文字通りなんでも斬れる剣なのだ。
――ズバ!!!!
「グオオオ!?」
トロールの棍棒を、俺の剣が一刀両断する。
そしてそのまま、トロールごと斬り裂く!!!!
――ブシャアアア!!!!
「おお……すごい、一瞬で倒せた……!」
今までこのダンジョンに入ってからというものの、苦戦続きだった。
しかし、この最強の剣を手に入れたことで、もう怖いものなしだ。
まあ、この剣を持っていても、あの竜殺しの騎士は先に進めなかったというのには、なにか少しひっかかりを覚えるけれど……。
「ロイン……! さすが、あの竜殺しの騎士よりもその剣を使いこなしているんじゃない!?」
「そ、そういうことなのかなぁ……」
さすがにあっけなさ過ぎて、一抹の不安を覚える。
そしてその不安は、杞憂では終わらずに現実のものとなる。
「グオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「なに……!?」
さっきのトロールの体が、一瞬でくっついて、立ち上がってきた。
油断した俺たちの後ろから、トロールの攻撃がくる。
しかし、俺はとっさにそれを、再び受け止める。
そして、今度は思い切り、トロールの体にもう一発、叩き込む!
「死ねええ!!!!」
念のために、もう一発。
それからスキルをいくつかぶち込んで、ようやくトロールは再生をやめた。
「ふぅ……危ないところだった……。まさかトロールが蘇ってくるなんてな……。ただのボストロールではないとは思っていたけど、不死身の肉体を持っていたなんて」
このダンジョンのモンスターは、どいつもこいつも一筋縄ではいかないし、まったく油断ならない。
俺でなければ、さっきので油断して、殺されていただろう。
おそらくあの竜殺しの騎士があそこで殺され、アンデットモンスターになったのはこのせいかもしれないな。
「それにしてもロイン……どうしてさっきのトロールが復活したことに気づけたの……?」
「そうだよ、私はぜんぜん気が付かなかった。危ないところだった……」
クラリスとカナンが、そう俺に尋ねる。
そう、俺が復活したトロールに即座に反応できたのは、なにも運だけではない。
俺はあらかじめ、トロールの復活に気づき、見切っていたのだ。
「それはだな……。ドロップアイテムだ」
「ドロップアイテム……?」
普通の人間であれば、そんなことには気づかなかったであろう。
俺が今回生き残れたのは、俺の特異体質のおかげといってもいい。
「俺の場合、敵を倒したら必ず、レアドロップアイテムが落ちる」
「あ……! そうか……!」
普通の人間の場合、ボスを倒した場合であっても、必ずドロップアイテムが落ちるというものでもない。
だけど、俺の場合はドロップアイテムが落ちないなんていうことは絶対にないのだった。
だから、敵がまだ死んでいないことに気づくことができた。
「さすがロインね……。私たちだけだったら、死んでいたかも……」
「ま、俺のこの体質に感謝だな……」
このトロールさえ突破できれば、あとはこの剣の真価がかなり発揮できるかもしれない。
ここからはどんどん進んでいきたいな。
「よし、肝心のドロップアイテムは……っと……」
《不死鳥の首飾り》
★1000
ドロップ率 なし
説明 装備した人間が死ぬと、一度だけ、生き返ることができる。その後、この首飾りは破壊される。
「な、なんだこれ……!?」
いままでも意味のわからないアイテムはたくさんあったが……これはどういうことだ……!?
「生き返るって……そんなのアリなの……!?」
「まあ、モンスターだって生き返ってたし……。人間が生き返っていけないわけではないか……」
まったく、このダンジョンには何度も驚かされる。
普通の魔法の技術なんかではまったく説明もつかないような異物が、いくらでも転がっている。
このダンジョンはどんな秘密があるんだろうか……?
失われた古代の技術でできているのか?
「まあなんにせよ、これはかなり強力なアイテムだ。これがあれば、安心してダンジョンに潜れるな」
「そうね……、これはロインが装備しておいてね」
「え……? 俺でいいのか……?」
「うん」「もちろん」
二人とも、これは俺が装備するべきだと言ってきた。
なにせ、俺がいなければ世界は大変なことになるというのだ。
まあ、そこまで言われたのなら、俺が装備するけど……。
「ロインは一番前に立って戦うからね……!」
「それに、私たちもロインがいない世界なんて生きてても意味ないからね。だから、これは絶対にロインが装備してほしい」
「うん、わかったよ。ありがとう二人とも」
ということで、もう一つの命を手に入れた俺は、さらなる強敵に挑むことになる。
「よし、次にいくぞ……!」
そしてなんと、次の扉を開けた先にも――。
「マジかよ……」
またも待ち受けていたのは、ボス部屋だった。
「ボスラッシュ……」
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