第91話 大勝利
俺たちがアルトヴェールまで帰ってくると、冒険者のみんなが出迎えてくれた。
どうやら、モンスターは俺がヘドロスライムと戦っている間に片付いたらしい。
「ロインさんだ……! ロインさんのご帰還だ!」
「うおおおおおおおおおお!!!! さすがロインさん!!」
「ロインさんが調べにいってすぐ、モンスターが止まりましたよ!」
「ボスを倒したんですね!?」
俺はみんなに囲まれながら、さっきあった出来事を話した。
まさかここまで苦労するとは思っていなかった……。
ヘドロスライムと、その中にいた魔術ゴブリン……かなりの強敵だったな。
魔界にはどうやら、まだまだ強敵がいそうだ。
これはこちらとしても、さらに強化していかないくちゃな。
だけど、剣と盾を奪われてしまった……。
そうだ、でも、俺たちには大量のドロップアイテムがある。
アルトヴェールの城まで戻った俺は、さっそくドロップアイテムを確認することにした。
まずは、あのヘドロスライムの体内にいた、ゴブリンからのドロップアイテムだ。
あいつが一番の格上っぽかったから、これが最上級レアアイテムだろうか。
《覚醒石+++》
レア度 ★99
説明 あらゆる素材の秘められた能力を解放する。
「おお……! まじか……! さすがは魔力の高そうなあのゴブリンのドロップアイテムなだけあるな……」
俺は期待に胸を膨らませる。
きっとこれを素材に使えば、さらなる武器が得られるはずだ。
俺はさっそく、ガントレット兄弟の元へ。
残りのドロップアイテムは、ちょっと数が多すぎて処理できない。
一度城の倉庫に預けて、担当者にリスト化してもらうことにしよう。
「おう、ロイン……ってこりゃあなんだ……!?」
「やはりドレッドも知らないか……」
ドレッドは、覚醒石を見るなり、驚きの声をあげた。
「どうやら、この素材を使えば他の素材の可能性まで引き出してくれるそうだ……。これで、なにか武器はつくれそうか……?」
「もちろんだ……! これと、あの大量のモンスターから得た素材さえあれば……きっと今までに見たこともない武器が作れるだろう……」
「そうか……ありがたい。頼んだぞ」
「ああ、任せておけ……!」
新しい素材で、ドレッドはどんな武器を作ってくれるのだろうか。
今から楽しみでならない。
今回得た素材は、どれも+++付きのものだから、きっと今まで武器とは規格外なものがつくれるだろうとのことだった。
邪剣ダークソウルも、所詮は+++のついていない無印武器だ。
だから、そろそろ武器の変え時だったのかもしれないな。
ちょうどいい機会だ。
それから、武器とは別に、俺は俺自身をさらに強化しておく必要があった。
以前ステータスの種で、素のステータスを底上げしたはいいが……。
それでも、ある程度のところで止まってしまっていた。
原因はわからないが、ステータスには限界値があるのかもしれない。
だけど、まだ試していないことがあった。
+++付きのステータスの種だ。
+++付きのステータスの種なら、限界を超えてステータスを上げることが可能かもしれない。
それができれば、ステータスのカンストも夢じゃないかもな……!
俺は期待に胸を膨らませながら、ギルドラモンへと飛んだ。
そして、一人でステータスの種を集めてきた。
帰還して、真っ先にみんなを集める。
アイテムボックスに入ってある、大量のステータスの種を見せた。
「って……ロイン……この種……ぜんぶ集めてきたの……!?」
クラリスが驚く。
「そうだ! みんなで食べよう……!」
そして俺は大量のステータスの種を城からバラまいた。
これで、この街の冒険者たちはかなりのステータスになるはずだ。
もちろん、俺たちも食べる。
「って……ロイン……ほんとにバラまいちゃった……いいの……?」
「なにがだ……?」
クラリスは不安そうに俺を見つめるが、俺はなんのことかわからない。
「だって、ステータスの種をバラまいちゃったら……みんなも強くなっちゃうんだよ……!?」
「…………? それが……どうした……?」
クラリスはなにをそんなに心配しているのだろうか。
すると、カナンが口を開いた。
「クラリスは、たぶんこう言いたいんじゃないか? みんなが強くなったら、ロインだけが強いわけじゃなくなってしまう……。せっかく手に入れた優位性を失って……それでいいのかって……」
ははぁ……なるほど……。
俺はてっきりそんなことは忘れていた。
もはやこれは人類対魔界の戦いだと思っていたから、仲間を強くするのに躊躇などなかったのだ。
それに、俺にはまだ武器やスキルといった優位性もあるからな……。
ステータスで追いつかれても、他にも差は沢山あった。
まあ、その面も、おいおいみんなに分け与えられればとはおもうが……。
「大丈夫ですよ!」
と、サリナさんが俺をフォローした。
「ロインさんには、確定レアドロップという、唯一無二の絶対的な才能があるんですから! それだけは、アイテムの効果なんかでは埋められません! それに、みんなロインさんのおかげで強くなったことに、恩を感じています。だから、ロインさんは心配いらないですよ……!」
「そ、そうですね……。アイテムを集められるのは、俺だけだもんな……」
「それにしても……さすがはロインさんですよね。本当にみんなのことを考えていて……すごいです!」
サリナさんの言葉を聞いて改めて、自分の重要さを認識する。
与えるということは、それに責任も伴うのだ。
一度みんなに物資を分け与えても、それだけで終わりでは意味がない。
俺がこれからもみんなにアイテムを与えて、強くしていかないと……。
だから、俺は絶対に死ぬわけにはいかない。
もはや俺一人の命ではないのだ……。
そんなことを考えながら……俺は、ステータスの種を喰らった。
そして――。
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