第65話 ステータス


「問題は……魔力の種と、知能の種だな」

「そうね……これは、まだまだ未知のものだわ」


 魔力と知能。

 俺たちが今まで、あまり意識してこなかったステータスだ。

 なぜか。

 この二つは、魔法の威力や精度に関係する。

 しかし、今までは魔法なんかに縁はなかった……。

 普通の人間には、あまり魔力なんて宿ってはいないからな。


「ねえ、これ食べたら……本当に魔法とか使えるようになるのかな……? 私たちでも」

「まあ、そうだろうな。魔力さえあれば、魔法は使えるはずだ……」


 しかしそのためには、またスキルメイジのようなモンスターを倒す必要がある。

 魔力はあっても、その魔法スキルがないからな。

 またスキルブックを集めて、使いたい魔法が出るまで粘らなければならない。


「っていうか、ロインって魔力あるんじゃなかった……?」

「え……? そんなはずは……あ!」


 そういえば、邪剣ダークソウル。

 こいつには攻撃力だけではなく、魔力のステータス上昇もあったんだっけ。

 今まで魔力なんて意識すらしていなかったから、完全に見落としていた。

 まあ、そうでなくとも、魔法なんてぜんぜん未知のものだから、そうそう挑戦しようという気にはならないんだけど……。


「まあせっかくだから、この際だ。俺たちも魔法を使えるようになってみようか!」

「そうねぇ。だったら、これは三等分ってことでいいかしら……?」


「だな、それでいいか……? カナン」

「ああ、わたしもそれでいい。魔法っていうのも、一度くらいは使ってみたいものだからな!」


 ということで、分配はそのようになった。

 以下に、俺たちのステータスの種接種後のステータスを書いておく。



――――――――――――

ロイン・キャンベラス(装備)

17歳 男

攻撃力 0460(+4500)

防御力 0071(+800)

魔力  0160(+150)

知能  0210

敏捷  0075

魅力  0385

運   1729

――――――――――――

――――――――――――

クラリス・キャンディラス(装備)

17歳 女

攻撃力 0120(+180)

防御力 0270(+2800)

魔力  0160

知能  0195

敏捷  0053

魅力  0796

運   0132

――――――――――――

――――――――――――

カナン・ルブレージュ(装備)

18歳 女

攻撃力 0345(+750)

防御力 0121(+340)

魔力  0160

知能  0110

敏捷  0785

魅力  0923

運   0112

――――――――――――



「はは……! まさか俺が、武器なしでもこれだけ強くなれるなんてな……!」

「私もよ! ずっと悩みだった、防御力ゼロが……!」


 これで、俺たちに欠点はなくなった……!

 今まで補いあってきたけど、それがこれからはもっと息のあった連携ができそうだ……!


「じゃあ、次は魔法を使うために、スキルブックを集めにいかないとな……!」

「そうね……でも、また死の火山にいくの……?」


「うーんそうだなぁ……カナン、この辺で、なにかスキルブックを手に入れられそうな場所はないか……?」


 ダメ元で、聞いてみる。

 まあカナンは1位なだけあって、人気もので、事情通だから、知っていてもおかしくはない。


「そうだなぁ。その、さっき言ってたスキルメイジっていうモンスターとは違うけど。似たようなのなら、出る場所を知っている」

「本当か……! だったら、すぐにそこに行こう……!」


「うーん、でもなぁ……」

「どうしたんだ……?」


「場所が、場所なんだよ……」


 カナンは意味深なことを言い出した。

 どういうことだろうか……。

 まさか高い高い山の上とか……?

 もしそうだとしても、俺の転移ですぐに行けるけどなぁ。


「その場所は、こう呼ばれている……」

「「ゴクリ……」」


 俺とクラリスは、唾をのんで、次の言葉を待った。


「帰らずの穴」


「かえらずの……あな……!?」


 それは、深さ5000ミルボンにもなる縦穴のダンジョンらしい。

 足を踏み外せば、一貫の終わり……。


「ま、まあ……行ってみるしかないな……もしダメそうなら、そのときはそのときだ」

「そうね……! ロインの転移があれば、大丈夫……なはず!」


 そう言ったクラリスは、すこし震えていた。

 もしかして、高いところが苦手なのかな……?

 だとしたら、俺が護ってやらないとな……!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る