第48話 挑戦


 武器屋から邪剣ダークソウルを受け取った俺は、その足でギルドへ向かった。

 まずはこの剣の威力を試してみたかった。


「会心率と会心ダメージ……これがどれほどのものか……確かめたい……!」


 そのため、クラリスとはあえて合流せずに、俺一人で向かった。

 サリナさんは、俺が一人でギルドへ来たものだから驚いていた。


「ロインさん、クラリスさんは……?」

「ああ、ちょっと。今日は武器の受け取りだけだったから、別行動です」

「そうなんですか……」


 クラリスとはいつも一緒だったからな。

 たまにはこうして一人の時間も必要だ。

 それは彼女にとってもそうだろう。


「それで、一人でクエストですか……?」

「ええまあ。この武器の試し切りに」


 俺は邪剣ダークソウルをサリナさんに見せた。


「これはまた……禍々しいですね」

「見た目はね。でも、きっと俺のためにいい働きをしてくれますよ」


 俺はサリナさんのもとへ、一枚のクエストシートを持っていった。

 本来は一人で挑む用のクエストではないが、サリナさんなら了承してくれるだろう。

 この邪剣ダークソウルは、かなりの強力な武器だ。

 その威力を存分に発揮し、強さを確かるためには、それなりの強敵に相手になってもらわねばならない。


「ロインさん……これは……」

「やっぱり、ダメですか……?」


 サリナさんは、心配そうな目で俺を見つめた。

 まあ、これは受付嬢としてではなく、恋人として反対するという感じなのかな?


「ロインさん、コレはちょっと危険すぎます。いくらロインさんでも……」

「大丈夫ですよ。俺はもう、かなり強いです。このくらい、一人でもこなせます」

「本当ですか……?」

「むしろこのくらいじゃないとダメなんです。サリナさんを守るためにはね……」

「ロインさん……」


 なんとか、しぶしぶではあったが、サリナさんはクエストに判を押した。

 これで、俺は一人で危険なクエストに挑むことになる。


「絶対に、生きて帰ってくださいよ?」

「安心してください。俺は、死にませんよ」


 勇者の指輪の加護もあることだし、俺は大丈夫だ。

 いざとなれば、戦場から転移で離脱すればいい。

 それに、一応は一度倒したことのある相手だ。


「では、いってきます」


 俺が転移で向かった先は――以前いったあの場所。



 ――龍の頂ドラゴン・マウンテン

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