第43話 終局


 ケロべロスのドロップアイテム。


大鬼オーガの盾》

レア度 ★×15

ドロップ率 0.0001%

説明 ボスが稀に落とす盾

効果 防御+2000

   攻撃+180



「おお……!? これは……!」


 ちょうどクラリスの盾が破損していたから、うれしいドロップだ。

 しかも、防御力だけでなく、攻撃力もアップするらしい。


「これで私も、さらにロインの力になれるね!」


 これは俺も、さらなる攻撃力アップをしていかないとな……!

 まだまだこの世界には、いろんなドロップアイテムがあるらしい。

 ここから先も、どんどん強化を重ねていきたい。


「じゃあ、デロルメリアのドロップアイテムだな……」



《邪剣ダークソウル》

レア度 ★×17

ドロップ率 ?

説明 この世界に存在しない材質でできている謎の剣

効果 攻撃力+4000

   魔力+150



「おいおい……四千……って……」


 たしか、デモンズブレードの最初の攻撃力が450だ。

 その実に十倍もの攻撃力。


 いくら魔界の武器だからって、コレはちょっと……。

 デモンズブレードには会心率+45があるとはいえ……。


「ねえちょっとロイン、これってすごいんじゃない……!?」


「ああそうだな……。俺もびっくりだ……」


 これは装備してみるしかないな……。

 それに、魔力も+されるらしい。

 ということは、俺にも今後は魔法が使えるのだろうか。


「はは……! こいつはすごい……!」


 装備して、実際に素振りしてみると、かなり馴染みがいい。

 魔界の剣だからといって、呪われたりすることはなさそうだ。


「よし、これなら今後どんな魔界の魔物がせめてきても、戦えそうだ……!」


 念のため、武器屋の親父にもみせてやろう。

 未知の材質だから、きっと喜ぶぞ……!

 なんとか工夫をすれば、会心率+もつけられるかもしれない。


「よし、じゃあ帰ろうか……」

「そうね……!」

「だな……!」


 俺、クラリス、ドロシーの三人は、転移を使って城へと戻ることにした。

 今はただ、疲れた身体を休めたい……。





「それにしても、ものすごい強敵だったわね……」

「ああ……俺も、まだまだ強くならないといけない……!」


 今回は、ドロシーやクラリスがいたからこれだけ戦えた。

 しかし、これからはもっと俺が強くなっていかないといけないだろう。

 俺はただ自分が生き残るだけではダメになったんだ。

 これからは、彼女たちをしっかり守れる男になりたい。


「ロインさん、今日は本当にお疲れ様です! ご馳走を沢山よういしたので、皆で食べましょう!」


 サリナさんは、俺たちを大量の料理で癒してくれた。

 金はいくらでもあるから、今は受付嬢の仕事は2日に一度だけに減らしている。


「ありがとうサリナさん! 嬉しいです」


 俺はこんな生活を、いつまでも守りたい。

 そのためにはやっぱり、もっと強くならないと。

 今回の戦いは、俺にそういう気持ちを強く抱かせた。

 今までは何となくで戦っていたが、これからはそうはいかない。


「みんな、俺は明日から正真正銘の世界最強を目指そうと思う!」


 みんなの前で、そう宣言する。


「でも……勇者はもういないので……ロインさんが最強だと思いますけど……?」

「いや……そうじゃないんです。もっと、もっと……魔界の連中を簡単に倒せるほどの、規格外にならないと……!」


「まあ、志が高いのはいいことだ!」


 ドロシーが鶏肉をほおばりながら、賛同する。


「私も、もっと強くなりたい! ロインに負けないくらいにね!」


 クラリスも同じ気持ちのようだ。


「みなさん……くれぐれも、命だけは大事にしてくださいね……」


「わかってますサリナさん、俺はサリナさんを残して死ねませんよ!」


 心配してくれる人がいるというのは、ほんとうにいいことだ。

 サリナさんが信じて待っていてくれるからこそ、命がけで戦える。


「それにしても……勇者がいなくなったのに、また魔界から敵がやってきたら……どうするんだろう……?」


 俺はそんな疑問を抱く。

 普通、魔王と勇者というのは対になるものだ。

 なのにその一方は既に死んでいる。


「それはやっぱり、ロインじゃないの……?」

「ええ……?」

「だって、勇者の指輪はロインが持ってるんだし」

「あ、そっか……」


 そういえば、いつのまにかそんなことになっていたな……。

 俺は別に世界を守りたいわけではないんだけど。

 まあ、それが彼女たちを守ることに繋がるんだから、いいか。


「そういえば、そろそろあれからひと月がたつ……」

「なんのことだ……?」


「あ、ドロシーは知らないか……」

「冒険者ランキングのことですよね……?」


「はい、そうです」

「今度こそ、ロインさんが一位になりますね……!」


 そう、今は勇者パーティがいない。

 それに、一応あのデロルメリアを倒したのも俺たちだ。

 ドロシーは冒険者登録してないけど……。

 俺とクラリスは、かなりギルドからの評価を得ることになるだろう。


「そうなると、ますます強くならないとな……」


 世間的にもさらに注目を浴びることになりそうだ。

 そうなれば、俺が勇者だと祭り上げられてもおかしくない。

 余計に魔王軍からのヘイトも高まるだろうし……。


「よし! 明日から修行しまくるぞ……!」


 と、いっても、やることがレアドロ集めだが……。



 そして飯を食ったあとは……。


「ロインさん……今日は三人いっぺんに相手してくれますよね……?」

「えぇ……さ、サリナさん」


「そうだよロイン! 今日は特別な日だからね」

「クラリス……」


「私もこうして現世に蘇ったからな! 今までずっと鏡の中でもんもんとしていたんだぞ……!」

「おいおいドロシー……!」


 そういえばドロシーっていちおうお姫さまだったんじゃ……?

 まあ、本人がそういうならいいか……いいのか?


「じゃあ、今日は全員まとめてかかってこい!」


「さすが、ロインさんたくましいです!」


 俺は夜明けまで、頑張った……。

 正直、魔王軍より彼女たちのほうがある意味では手ごわいかもしれない……。


 そんなことを思いつつ、俺は今後、さらなる戦いに巻き込まれていくのだった――。







――つづく。



=============

【あとがき】


書籍版第1巻がBKブックス様より、7月5日発売となります。

各通販サイト様などで予約が開始しております。

大幅加筆による新しいエピソード盛りだくさんなので、ぜひ買っていただけると嬉しいです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る