第37話 準備は整った!
防具が完成したとの知らせを聞き、俺とクラリスは防具屋を訪れた。
「ほらよ……これが現時点でできる最高の製品さ」
それは、まことに見事な品だった……。
まるであのレッドドラゴンをそのまま型取ったかのような、荘厳な見た目。
ドラゴンキラーと呼ぶにふさわしい見た目をしていた。
全身真っ赤な、ピカピカの鎧。
それも、派手で下品な赤ではなく、暗く深い、味わいのあるワインレッド。
ドラゴンの素材で作られたそれは、まるで着るドラゴンだった。
「これは……ちょっとすごいな……。芸術品だ……」
俺はあまり、見た目にはこだわらないし、田舎者だから芸術にも疎い方だ。
だが、それでも目を見張るほどの、美しい防具だ。
「そいつはどうも。だがな、これは見た目だけじゃないぜ……?」
防具屋の親父は、その性能についても語り始めた。
「まずこれはドラゴンの牙や炎を通さねえ。なにせ奴らの鱗を使ってるからな。さらに、魔法耐性も十分だ。あんたのくれたサンライト鉱石が役に立った」
フクロトロール討伐の時に余ったサンライト鉱石も、素材として役に立ったようだ。
あれは粉末状にして防具にコーティングすると、魔法耐性が上がるらしい。
「じゃあ、さっそく着てみるか」
「うん……」
俺とクラリスは、お揃いの防具シリーズに袖を通す。
この世でこの2着しかない。
女性用と男性用で、細部は異なるが、どちらもとてもいい具合だ。
名付けて、レッドドラゴンシリーズ!
「おお、似合ってるな……!」
クラリスのバージョンのは、真っ赤なドレスのような形状をしていた。
防具としてだけでなく、可愛さや美しさ、セクシーさも兼ね備えている。
「ロインも、とってもかっこいいよ……!」
「ありがとう」
これで防具は整ったことだし、次は武器だ。
武器もこの前、武器屋に注文を出しておいた。
今からそれを取りにいく……。
◇
「いらっしゃい、出来てるよ……。すっごいのが」
武器屋の親父が、自慢げな顔で俺たちを招き入れる。
俺のデモンズブレード……その改良版が、完成したのだ。
「アレは役に立ったか……?」
「ああ、もちろんだ」
俺はあらかじめ、ある素材を渡していた。
レッドドラゴンから得た、龍玉だ。
俺は三つの龍玉を、彼に渡しておいた。
「三つとも全部、はめ込めたぜ!」
「おお! そりゃすごい」
新しいデモンズブレードには、三つの穴があった。
そこに龍玉がすっぽりと収まっている。
デモンズブレードの分厚い刃部分に、三つの龍玉が目のように光っている。
もともとは無骨な感じの剣であったが、それによって禍々しさや神々しさを増していた。
「これは……最強の武器だな……!」
「おうよ! これ以上の武器はめったとお目にかかれねえぜ!」
なにせ龍玉を三つもはめ込んである。
龍玉を使ったアクセサリーの効果は、会心率+15%というものだった。
つまり、この武器も同じく……。
装備するだけで、会心率+45%の武器となる……!
アクセサリーの分と合わせると、実に60%……!
「俺は半分以上の確率で、クリティカルヒットを繰り出せるわけだ……!」
龍玉の使用はどうやらこれが限界らしい。
アクセサリーにするにも複数は重すぎるし、防具に組み込むと、耐久性に不安が出るそうだ。
「今回はなんとか三つも組み込めたが……かなり苦労したぜ? デモンズ鉱石は加工がしにくいからなぁ……。だが、アンタのお陰で、デモンズ鉱石の扱いにも慣れてきたぜ!」
「ああ、助かったよ。さすがはいい腕だ」
ここの武器屋の親父は、本当に信用できる。
さあ、武器も防具も整った……!
俺は店を出る。
「じゃあクラリス、一度家に戻ろうか」
「そうね……サリナさんやドロシーにも言っておかないとね」
俺たちは転移で家に戻る。
いくら俺が強くなったといえども、相手は魔界から来た未知の魔物だ。
油断はできないし、死ぬ可能性だって大いにある。
だが、だからといって挑まない理由にはならなかった――!
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