第24話 スキル厳選2
俺たちは次なるスキルメイジを探してどんどんダンジョンの奥へ入っていく。
なかなか警戒心の強いモンスターなのか、あまり見つけることができない。
「あ! いたぞ……!」
さっそくもう一匹発見!
ちょうどいいぐあいに距離が離れているから、ここは新しく得たスキルで仕留めたいところだ。
「
俺はスキルを放つ!
――ズシャアアア。
っという音とともに、剣から衝撃波が地面を走る!
「キュイ……!?」
しかし、スキルメイジはそれを器用に避けやがった。
「くそ……そう簡単には当たらないか!」
次はこっちの番だと言わんばかりに、スキルメイジは魔法を放ってきた。
さっきの個体は火の玉だったが、今回のヤツは雷の魔法だ。
――バリリリィイイ!
ものすごい音を立てて稲妻がほとばしる。
「ロイン! 私に任せて!」
「クラリス!」
彼女は俺の前に飛び出ると、器用にその雷をガードした。
さすがは盾職なだけあって、見方を守ることに特化している。
「ロイン、私がひきつける! その間に
「……! よし、わかった……!」
クラリスは俺から少し離れると、盾を大きく構えた!
そして、盾職にしかつかえないスキルを放った!
「
すると、スキルメイジの目線がいっきにクラリスへと引き寄せられる。
まるでその場に俺がいないかのように。
俺のことなど忘れてしまったかのように、スキルメイジはクラリスに対して怒りだした。
「キュイ! キュイ! キュイイイイ!」
そして、我を忘れたみたいにクラリスへと雷撃を連発する。
――バリィ! バリィ! バリバリバリィイイ!
「ロイン! 今よ!」
「よし! わかった!
俺はもう一度、衝撃波を放つ!
今度は一直線に、スキルメイジをとらえた!
ヤツはクラリスに魔法を撃つことに夢中で、こちらへ気づいていない!
「キュイ!?」
そしてヤツが気づいたときにはもう遅い。
避ける間もなく、
――ズシャアアア!!!!
「やったわね!」
「ああ! クラリス、いいコンビネーションだった!」
俺たちは駆け寄って、ハイタッチ。
さてさて、今回も当然、スキルブックがドロップしているはずだ。
これはクラリスの反応が楽しみだ。
「ロイン、次はこの賭け、私が勝たせてもらうわよ!」
「よし……好きにしろ! 俺が負けたらなんでもしてやる!」
「え……! うそ! なんでも……!?」
「あ、えっちなのはなしだぞ」
「……って、誰がそんなこと!」
クラリスは少し顔を赤らめ否定する。
なんだか少し素の部分が見れた気がして、不覚にもかわいいと思ってしまう。
「さあて……お待ちかねのドロップアイテムだ」
「またまた……そんな簡単に二連続で出るわけ……って、ええええええええ!?」
「ふっふーん、またまた俺の勝ちだな」
「っちょっと、ど、どういうことなのよ……!」
「それはだな……」
俺は満を持して自分の能力について説明する。
まあ、クラリスの驚いた顔と、かわいいところが見れたから、賭けはチャラでいいや。
「って……そんなのずるじゃなーい!!」
「はは……ごめんごめん、賭けはなしでいいよ」
「でも……それにしても、すごい能力ね……」
「まあな……おかげでいろいろ苦労していない」
そんなこんなで、俺はスキルブックの中身を確認する。
血で汚れているから、文字の部分を袖でぬぐって読む。
「なになに……」
【
レア度 ★★★★★★★
ドロップ率 ???
説明
一度限り使用可能。
「お、どうやら盾のスキルのようだぞ」
「え、ほんと……!?」
「ほい、使ってみてよ」
「ほ、ほんとにいいんだよね……? あ、後で請求とか……」
「しないしない……」
俺はクラリスに【
あいにく俺は今の武器が気に入ってるし、盾を使う気はないからな。
ただでさえ攻撃力が低い俺がわざわざ盾を持つわけにはいかない。
「えい!」
クラリスが書を使用すると、また書はすぐに灰になって消えた。
一回限りで消えてしまうあたり、かなりスキルというものは貴重らしい。
そりゃあみんな大金を出して買うわけだよな……。
「じゃあ、試しに使って……みるね?」
「おう」
クラリスはさっそく盾を構えると、岩に向けてこう叫んだ!
「
――シュウウウウウ。
――キュインキュインキュイーン。
――ズドーン!!!!
――ドゴーン!!!!
なんと数秒の後、盾から光線のようなものが飛び出し、岩に向けて放出された。
そして岩を粉々に砕いてしまった……。
「おいおい……これってかなり強いんじゃないか……?」
威力だけなら、盾職とは思えないくらいの破壊力だ。
これなら彼女一人でもかなりの火力が出せる。
「どうだろう……けっこう隙が大きいから……」
確かに、光線が出るまでに数秒のラグがある。
それに、盾職が遠距離で戦う場面も少ないだろう。
さらには相手が止まって待っていてくれるわけでもない。
「でも、使いどころさえ選べば、強力な切り札になりそうね」
「ああ、そうだな。必殺技のようなものと思えばいい」
その後も、俺たちは休むことなくスキルメイジを狩りまくった。
さすがに疲れてきたので、夕方には火山を出る。
「はぁ……けっこうな冒険だったわね……」
「まあな、熱いし敵は見つからないしで……」
「「だけど……」」
そう、俺たちは今日一日だけでも、かなりの収穫を得た。
実に、スキルブック15冊――。
これだけあれば、当分は苦労しない。
「じゃあさっそく、ホテルに戻って開けてみようか?」
「ああ、そうだな」
さっきのスキルブック以降、俺たちは集めることだけに集中し、中身は見ないでおくことにした。
すでにスキルメイジを狩るのは楽勝だったからな。
それよりも、ひたすら集めることに集中したのだ。
おかげで集まった15冊のスキルブック。
これを、ホテルで開封するのが今日一日の最後の楽しみだ。
俺たちは
スキルブック集めは数日がかりになりそうだったからだ。
まあ、幸いにも結構な収穫だった。
でも、スキルの中身によってはあと数回潜ってみてもいいかもしれない。
ホテルについて、クラリスが発した最初の一言はこうだった――。
「……って、なんで一部屋しかとってないのよおおおおお!?」
「あーすまん……最初完全に一人旅のつもりだったんで……」
これは困ったことになったな……。
この辺はちょうど観光地とかぶっていて、急にとれるホテルなんてない。
「ま、まあ……いいけどねっ」
「へ……?」
「私……ロインのこと嫌いじゃ……ない……し……」
「へ……?」
これは……けっこう複雑なことになるぞ……?
まず、俺はサリナさんとけっこう親密な関係にある。
だがまあ、どちらも付き合ってなどとは言ってない状態だ。
俺は……この場合どうするべきなのだろうか……。
もちろんサリナさんのことは尊敬しているし、感謝している。
かわいい人だとも思っているし、実際好きなのは間違いない。
だが……クラリスと気が合い、彼女のこともまた可愛いと思っているのも確かだ。
「ちょ、ちょっと……トイレにいってくる……」
俺は、少し一人になって考えてみる必要があった。
ロインよ……。ロイン・キャンベラスよ……。
お前は……どうするべきなんだッ!!?!??!?!
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