悪夢と絶望の日々。(全4話)

第4話 44番と47番の悪夢。

47番と44番…自称シーナとシーシーは夕食後、入浴を済ませるとある場所に呼び出されていた。

代理マスター達は油断をしていて「44番、47番、今日も呼び出しだ、行ってこい」と言うだけで自分達は酒盛りに戻る。

言われたシーナとシーシーは自分の意思はあったが余計な真似はせずにスレイブの顔を意識したまま言われたとおりにする。

代理マスター達と距離ができると無限術人間の支配力が落ちる事は悟らせたくない。



これから行われる事は実験という名の性奉仕。

このことに目をつけたのは少女趣味のあるこの屋敷の主…エグゼ・バグでトロイに性奉仕をさせる事は可能かと持ちかけていた。


「可能だと思いますが、実験なさいますか?」と言うトロイの言葉で全てが始まった。


セカンドロットとサードロットの生き残りの中に居た少女2人を選出し、一時的にエグゼを代理マスターにする事で心ゆくまで奉仕をさせられる2人の術人間達。


トロイの施術は未熟な施術で、記憶の消しムラに始まり眠るたびにまだらに消える記憶、そして何よりトロイも気付いていない夢を見ている状態で術人間に意識がある事。マスターが近くにいなければ身体を動かす事も会話をする事も可能になってしまう問題点がある。


少女達は文字通り悪夢のような時間を過ごすことになる。

生理現象で身体はエグゼに反応をしてしまう。

そしてどんな要求も可能な限り飲む術人間。

これによりエグゼの実験はこれでもかとエスカレートしながら続く事になる。


だが所詮はセカンドロットとサードロット、トロイは気づかなかったが近くにトロイが居なくなり代理マスターだけの状態になると数日して不満の態度を見せて、最終的に拒絶を口にした。


トロイはかつてバロッテスから製法を聞き、王都で使用人の子供を術人間に作り替えたダイナモ・ドスパーよりは有能な男で、自身が何をしているかは理解できないがただ作り出すだけではなく色々な手法を試していて確かに10人を一つのロットと呼んでいるが、セカンドロットで言えば21番と30番では完成度が明らかに違っていた。


セカンドロットとサードロットが拒絶を口にした事でフォースロット、シーシーとシーナにお鉢が回ってきてしまった。

エグゼの少女趣味からすれば早晩被害にはあったがそれでも早くに順番が回ってきてしまっていた。



シーナはエグゼの部屋に向かうシーシーの顔色で全てを察して「シーシー、あなた記憶が消えてないのね?」と聞いた。


この言葉に困った顔のシーシーに向けて「記憶が残っている事がバレると何を言われるかわからないから大人しくしていよう。大丈夫、この前聞いた王都に逃げたファーストロットがもしかしたらエグゼ達の敵、ミチト・スティエットを呼んでくれて助けに来てくれるかも知れないからその日まで待とう。トロイと違ってミチト・スティエットなら私達を助けてくれるよ」と言うとシーシーは泣かないようにグッと堪えた顔で静かに頷いた。



地下に用意されたエグゼの性奉仕専用の部屋にはトロイも居た。


エグゼの「着替えろ」と言う言葉で安物の黒いシャツと紺色のズボンを脱ぎ捨てると色気も何もない下着姿になる。

2人ともトロイが近くにいる事で身体は支配されていて何も出来ないが悪夢を見るように目の前の出来事を見ていく。


そして年齢に不相応の下着を渡されるとそれに着替える。

それだけでエグゼのテンションが上がって気持ち悪い気分になる。


その格好で始まる性奉仕…性接待。

シーナ達ではお目にかかれないご馳走を器用にフォークで取ってエグゼの口に運び、酌をする。


「ほら、食べさせてやる」

エグゼはそう言って掌に乗せた鶏肉をシーシーの前に出す。

シーシーは四つん這いになってそれを食べると犬のようにエグゼの手を舐める。

これは前にエグゼに仕込まれた。

シーシーが覚えているかのチェックに使われたのだろう。


「美味いか?そんなに手を舐めて卑しい奴だ」

言葉で嬲られると悔しさと悲しさで胸が押し潰されそうになるが「ありがとうございますエグゼ様」と口は開いてしまう。

そして更に悔しいのは食べた鶏肉はとても美味しく胃から脳に幸福感が行き渡る事だった。


「エグゼ様、本当に22番はよかったのですか?」

「構わん、壊さなければ何をしても構わない。普段から尽くしている兵達への労いだ」


この言葉でセカンドロットの少女は22番で兵達の玩具にされた事をシーナは痛感していた。


「トロイも35番を好きにするといい」

「ありがとうございます。それではこの後でいただきます」


「憎きスティエットの討伐があるから壊すなよ?」

「はい」


悪魔同士の会話。

座学の度にミチト・スティエットを悪魔と呼んでいるがこの2人の方が余程悪魔に見える。


「だがやはりこの者達は着飾ると見られるな。少女だけでも衣服を変えさせるか?」

エグゼがいやらしい目つきでシーナとシーシーを見て言うとすぐにトロイが「なりませんエグゼ様」と注意してくる。


「あくまでもこの者達は家畜と同じ扱い。今エグゼ様が召し上がられている豚肉と同義。愛玩、ペットではございません」


家畜…。この言葉が更に胸を押しつぶしてくる。

だが今も奉仕活動は止まらない。

今も手に持ったフォークで肉を口に運んでいる。


単なる言葉の責めではなくトロイの本心。これに「そうか?トロイは真面目だな」と言うエグゼはどこか不満げでもあった。


「だがこの47番は本当なのか?」

「はい。資料の通りロエスロエの重度中毒者で日常生活に支障をきたす程でした」


ロエスロエの名を聞いてシーナは心が押しつぶされそうになった。


「では王都のキャスパー派の言う通り、胸に病を抱えたウシローノ・モブロンが悪魔の手で術人間化した時に寛解したのと同じ状況だな?」

「はい。無限術人間にすると治療不可能と言われたロエスロエの中毒者すら治してしまうようです」


「面白い、それでは47番にロエスロエを飲ませてみるか?」

この言葉にシーナは恐怖をし必死に拒絶を表そうと試みるが体は言う事を聞かずに無表情で奉仕活動を続けている。


今ばかりはトロイの真面目さに救われた。トロイは何のことも無く「困ります。やるならディヴァントに攻め込んだ後にしてください」と言う。

ディヴァントの名を出されて幾分冷静になったエグゼが「ふむ。そうだな」と納得をすると更にとんでもない事を口走った。



「だがトロイよ、これは立派な産業になるな」

「は?産業…ですか?」


「我が領地は国の北西端でいつでも北と西から侵略の危険が伴い名産品という名産品もない。だからな…、女どもの性を産業にして観光地化する。そしてロエスロエで壊れた女は術人間にしてしまおうではないか?無論戦闘目的ではない。性奉仕特化の術人間を扱った店も用意すれば我が領地は潤うだろう!」

「おお!素晴らしいですね」


「トロイよ、房中術という物も術であろう?術人間達に仕込ませるのだ」

「では悪魔を討伐してから試しましょう!」


どちらが悪魔かという気持ちでシーナとシーシーは聞いていた。

身の毛がよだつ悪魔の会話の後は悪夢のような時間。


エグゼの精力は尋常ではなく毎晩シーナとシーシーを、その前のセカンド、サードロットを相手にしても未だ尽きない。


この日のシーシーは声を上げる事を禁じられてこれでもかと責め立てられ、逆にシーナはオーバーリアクションを命じられて責め立てられ続けた。

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