第132話 中央都市 魔女の覚醒 使徒の覚醒

「アイリーン、それでどうだった?」


人質を救出した夜、珍しく乱暴に私を貪るように攻めに転じてきた男は、事が終わると私の下腹部から臍に刻まれた"紋様"を優しく指でなぞりながらそう聞いてきた。


"神の加護"と言ってはいたが、本当にこの男は神の"使徒"なのだろうか?


彼曰く、魔力UP(大)と魔力量UP(大)とかどうとか言っていたが、神の使命を果たした見返りにもらえる力を私に付与するというものだった。


まるで悪魔。それとも本人がたまに口にするように、死神であると言われた方がまだ納得がいく。

これは、魂を捧げて、もしくは売った代償に手に入れた"力"であると。


「どんな理屈かは分からないが、今の私は、私が知っているどんな魔法使いよりも強く、かつ早く魔力を練れる自信があるな」


「それは良い買い物をした」

悪魔・もしくは死神は不敵に笑うとそう呟いた。


「でも、まさかこんな紋様が刻まれるとは思わなかったけどな。俺的には色っぽくて好きなんだけど、ごめんよ」小さくアイリーンと私の名を呼びながら臍に口づけする男の体温を感じ安堵する。


「そんな事は気にしていない。お前に刻まれた証だ。私がお前のものである証だ。問題無い」


そうだ、私はこの男に魂を捧げたのだ。

使徒であろうが悪魔であろうが私には関係ない。

代償に、私は力を手に入れた。

圧倒的な瞬間魔力と魔力保有量を


作戦前に「お前が心配だから」と言われて授かった力だが、コレが無くとも私はこの男と共にいるつもりだった。

しかし、この刻まれた紋様を見て改めて誓った。

私は一生この男を支えると。


まさか、自分が他人のモノであると印をつけられて幸福を感じるような人間だとは思いもしなかった。


「お前がそう言うなら……多少増えても問題無いかもな……」

私の目を嬉しそうに見ながら悪魔はそう呟いた。


魔法使いとして、魔導の道を志す者として私は、どれほどの高みまで辿り着けるのだろうか。


「ああ、問題などあるものか」

—私はこの身を……魂を捧げる—


昂りを抑えきれずに男を組み敷くと、私はこの悪魔に全てを捧げるように、男の上に跨った。




翌日、昨晩の儀式で精魂尽きた私が起き出した頃には、既に日は高くなっていた。

気怠い体で聖堂に行くと、あの男の下僕であると言うミルフが何故か泡を吹いて倒れていた。


余程必死に頑張って我々を追ってきたのだろう。

あちこちボロボロだ。


「下僕の分際でこんなところで力尽きるとは、やはり鍛えてやる必要があるが……」


気怠い体とは裏腹に私は気分が良い、「今は寝かせておいてやれ」と周りにいた人間言うと、残念なものを見るような目で見られた気がした。


あの男がよくそんな目で見られているが……


多分、私には関係ないはずだ。



————————


「おはよう」

珍しく寝起きが悪かったアイリーンが食堂に現れたので声をかけた。


昨夜は、俺も一戦目に獣のように荒ぶったが、ピロートークでアイリーンに火が付いてしまった二戦目はより凄い事になっていた。


おかげで体がすこぶるダルい。 


寝起きで、ボロボロになって追いついてきたミルフがうるさかったのでシメてやったが、いまいち調子が乗らない。


昨日、人質確保の報を受けた俺は、横槍のせいで色々と面倒になってしまったベッケルに「明日また来る」的な事を言ってあの場を去ったのだが……


正直面倒だ。


「酷い顔だな」

お前のせいだとは言えない。

だって凄かったんだもん。またお願いしたいだろ……


「お前は大丈夫か?」

「ああ、体は少し重いが気分は良いな。あの力のおかげで、魔力はすこぶる調子が良い」


ポイントでステータスUP系のスキルを自分以外にも付与できる事が分かった俺は、アイリーンに魔力UP(大)と魔力量UP(大)を使ってみた。

定量増加ではなく割合増加だった為、元の魔力がカスみたいな俺ではなく、アイリーンに使った方が有効的な使い道であると思っての事だった。


昨日使ってみたらしいが、あの様子を見るからになかなかのモノだったらしい。


スキル系は一度ポイント交換すると一覧表の文字が灰色になって選択出来なくなってしまったが、魔弾の使用だけは、何故か魔力枯渇する気配がないのでそんなに気にしていない。


それに、俺は地道にレベルUPすればいいのだし。


———————————

ブラックホーク・珍太郎

レベル:26→30※レベルキャップ

職業:まほうつかい改

力:76→92

 魔:26→30

 体:55→66

 速:55→66

 技:47→60

魔法・スキル

バレット改Ⅲup!、生活魔法改、身体強化Ⅱ、初級地魔術

格闘術Ⅳup!、短剣術Ⅱ、短槍術Ⅰ、射撃Ⅳ、隠密Ⅱ、察知Ⅱ、魔力操作Ⅲ、狙撃Ⅲ、魔力感知Ⅲup!


称号

 異世界人、使徒、魔弾の射手(※魔弾の威力小UP・消費魔力低下・精密誘導射撃可能)、粛正者(※神敵特効)、マーダー(※対人戦闘における攻撃力微増)



—————————

オークの討伐で2つレベルUPしていたが、昨日の傭兵皆殺し(大男・ウサ耳女を除く)でレベルキャップまでレベルアップしていた。


侵略者90人達成報酬:900P

侵略者100人達成報酬:1000P

侵略者110人達成報酬:1100P


協商連合の正規兵を殺しても侵略者の"達成報酬"は貰えなかったが、ベッケルの雇っていた傭兵はカウントされたようだ。

"成功報酬"は入っていないところを見ると、多分今回の件に加担した他のタカ派を狩らねばならんという事らしい。


まぁ、他は残らず狩りに行くつもりなので問題無い。


ついに来たか……

『まほうつかい改』よ、さらばだ!



—————————


クソ忙しい日々も、5月は少しだけマシになるはず

投稿頻度も改善される……はず。


そんな訳で、引き続き宜しくお願いします。

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