第19話 ボスの威厳

 魔狼のボスの遠吠えが暗闇に響く

 それに応じる手下の狼ども

 距離50m

 まだ視界に捉えることは出来ない

 灯りは最小限に抑えてある


 普通の人間にとって暗闇は敵だ、一部の特殊な訓練を受けた者・装備を有した者以外は。

 囲いの中に入れば視認できるていどの篝火を牧場親子の陣地に二つ。

 後は見張りで使用していた焚き火くらいなものだ。

 それで十分だ、どうせ囲いの中に入ってからしか攻撃しない予定だから。

 暗視装置はないが高性能のレーダーがあるのだ。


 遠吠えを終えた狼の群れは急速に接近してきた

 仲間を殺されて怒りを感じたか?焦ってるか?

 今夜早々に再襲撃しに来てくれて好都合だ

 体力と神経を消耗する前にケリをつけられる


 距離30m 見えた!

 暗闇からヌッと飛び出してきた狼、狼、魔狼

 素早く駆け込んできた狼達は囲いの中に掘っていた穴にハマっていった。


 思わず笑みが溢れる


 あの穴掘り魔法が一番大変だったからな。

 魔力が残り1/5程になったが、まぁダルい。

 これが魔力枯渇かぁなんて思ってたが、症状は結構短時間で治まった。

 というか、結構短時間で魔力が回復したのだ。


「目を瞑れっ!」そう言って灯光の魔法を最大出力で囲いの破れた場所めがけ発動した。


 生活魔法を改良した低性能フラッシュバン音無し


「キャイン!」「ギャン!」と狼の鳴き声である程度効果があったと思い目を戻す。


 穴にハマった狼と目をやられてのたうつ狼と魔狼

 ボス魔狼も敷地内に入っていた


 ここで壺を取り出す

 夕飯でパンを食べている時に聞いたのだ

 この村は小麦・小麦粉の生産を主な収入源とする農家がほとんどだと

 それを聞いてふっと思いだしたのだ

 まぁ物は試しだと思い、一抱えほどの壺に入った小麦粉を頂戴したのだ。


 伊達にレベルアップで力ばっかり上がってない

 砲丸投げの要領で狼達の頭上に壺を投げ、すかさず魔弾で壺を割る。


「松明を投げろ!」


 小麦粉が空中に広がった所に息子の方が松明を投げ込んだ。

 瞬間


 ドン!


 粉塵爆発だ

 成功するとは思ってなかった

 逆にビックリするわこんなの


 火柱を上げながら周りの囲いも未だに生きてる狼も爆発の衝撃波で死体に変わり果てた狼も無差別に焼いていた。


 腰が抜けてる息子と呆然とする父親


 説明が面倒で「成功すれば大きな火がでるから、水を樽に汲んどいて」としかいわなかったからビックリしただろな。


 しかしまだ生きてる個体がいる

 ボスに至ってはまだ立ってる

 APバレットをボスの頭に2発撃ち込む


 キッチリ頭部を貫通している様に見えるがヨロヨロとだがまだ立ってる。


 胴体に6発追加で撃ち込むが反応が無かった


 索敵MAPにもボスの反応がないのを確認し、まだかろうじてろ息のある魔狼と狼にとどめを撃ち込んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る