第5話 ざ・わーるど

(暇だな…)


 かれこれ2時間程度か、体感とMAPから距離を割り出し大体の判断であるが。

 ゲームのように少し歩けば敵とエンカウントしてしまうのも困り物だが。


 あれからさらに3羽の角ウサギを倒し、魔石だけ取り出してアイテムボックスに入れた。

 いずれのウサギもバレットからの短剣で止刺しのコンボである。


 魔石50Pで購入したハイライトを一本咥えて指先から着火の魔法で火を着ける。

 紫煙をくゆらせ目を細めるた。


「ハァーッ、やっぱうめー……」


 元の世界では歩きタバコなんかすれば、親の仇を見るような目で見られるが、ココには人っ子1人いやしない。


 いや、いたわ、ゴブリンが……


 股の高さほどの岩陰に座り込んでいただろうゴブリンと目が合った。

 お互いに驚き、お互いに時が止まった。


 時を止めるスタ○ド使いかな?


 ゴブリンが立ち上がろうとしたため、慌てて近づいて鼻面に右ストレートをお見舞いする。

「オラァァッ!」その醜い無駄に高く尖った鼻面が「グチャッ」という音とともに潰れ、拳に緑の血と思われる液体と粘液が付着し思わず顔をしかめる。


 蹲るゴブリンの脇腹に蹴りを入れ、死なない程度に動きを封じると、暇に任せて考察していたバレットを試す。

 今まで何も考えずに放っていたバレットに意識して魔力を注ぐ。

 先程までソフトボール位大きさだった魔弾が、ハンドボール程には大きくなった。

 確かに威力は上がっているようだが殺傷能力は低いと言わざるを得ない。


 更に魔力を込める!

 限界まで!


 バスケットボール程度まで大きくなった魔弾が出来上がり、顔を上げたゴブリンの顔面に放つと威力マシマシのおかげで、見事に首が折れて戦闘終了となりレベルが上がるのを感じた。

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