第4話 俺は鈍感系じゃないからね


 魔法に目覚め、人生でかつてここまで興奮したことはない。魔法にスキル、コマンドによる各種便利機能に「チート満載かよ」と、独り言をつぶやくしまつ。


 最初の戦闘でみせた能力は自前だ。

 学生時代は柔道、自衛隊で徒手格闘と空手をまぁまぁ頑張って、そこそこにまでなった。

 ちょっと戦える一般人、それが転移前の俺だ。

 ゴブリンを倒したことによりこの世界のシステムか神的な物に認識され、ついでにレベルも1つ上がった。


 自分で言うのもなんだが、いきなりこんな状況に陥ったわりに落ち着いて思考し行動を起こせているのは、元々神経が図太いのとゲーマー&ラノベ好きのせいだ。


 さっきのゴブリン程度なら素手でも倒せた。

 数にもよるが、よっぽどの事がない限り、排除もしくは離脱は概ね可能であると判断したため気楽である。

 むしろ魔法の標的替わりに早く出てこないかなぁとか思ってたりする。


 ゲームのようにはすぐに敵とエンカウントしないらしい。仕方がないのでコマンドの魔石の部分を確認した。

 ゴブリンの魔石三つを変換した現在所持しているポイントは30Pである。

 交換リスト画面は、ほとんどの項目が灰色でポイントが足りていないし、所々⁇⁇で全く内容が確認出来ない物もあった。

 でも、問題はそこじゃない。


 目を強く瞑り空に顔を向ける。

「チートかよ…」と

「温ゲーかよ…」と


 ラインナップを見ると、元の世界の食品から生活雑貨まで多種多様な物まで取り揃えられてる。


 恐らくこちらの世界の物であろう品々も、そのラインナップは豊富である。


「聖剣とかもあるのか……」


 勿論、必要Pはアホみたいな数字が並んでいる。しかし、今は無理でもいつか手に入れる可能性があるという事は非常にモチベーションが上がる。


 神への願い事も、誰得なものから世界を牛耳れそうなものまで様々だ。


 まぁ、必要ポイントもそれぞれの価値に比例しているので、直ぐにどうこう出来るような物でもなさそうだが、将来的には手に入れられるかもしれない。

 可能性があるなら、やるしかないだろ?



 元の世界の食べ物が手に入るのは相当ありがたかった。

 人間、食い物は大事だからな。


 ゴブリンの魔石がこっちでどれくらいの価値があるのかはまだ分からないが、恐らく元の世界の食品を基準に換算すれば10P=100円程だろう。

 缶コーヒー10P、菓子パン10Pだし…タバコが50Pだし。

「んあぁぁ!吸いてぇー!」

今までタバコのことなんか思い出しもしなかったのに、入手可能であることが分かったとたんこれである。

 これは早々に魔石を入手しなければ!と意気込むと、視界に角ウサギを捕らえた。(神に感謝してもいいかも!)


 右手で指鉄砲をつくり獲物に向ける

「バレット!」指先に魔力を集め、唱えた。

 ソフトボール大の魔力弾がプロ野球選手の投球速度位はでてたであろう速度で発射。

 スキルの射撃Ⅱのお陰か横っ腹に命中し、中型犬ほどの大きさの角ウサギが倒れてピクピク痙攣していた。

 近寄って短剣をアイテムボックスから取り出しとどめを刺す。

 角ウサギはゴブリンと違い普通の獣が魔力を貯め込んで変化した魔獣なので、死体が残る。

 解体すれば素材や食料として利用できるし、もちろん売買も可能である。

 逆に解体しないと魔石も手に入らない。


 幸い獣の解体は何度か経験しているのでざっと解体し魔石を還元。「5P…」

「まぁ、ゴブリンより弱いしなぁ」と諦め解体した毛皮と肉を収納し町か村で金に変えようと次の獲物を探す方に気持ちを切り替え歩きだした。

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